2022年真夏の大冒険⑥小宝島
23:00に鹿児島港を離岸、低く唸るエンジン音を子守唄にすぐ眠ってしまう。最下層の雑魚寝部屋だけど騒ぐグループもおらずコロナ禍の旅行は過ごしやすい。
まだ夜が明けきれない口之島を皮切りにアイランドホッピングが始まる。各島経由の船旅は楽しい。入港が近づくたびに甲板に出てだんだん大きく近づいてくる島、遠のいて薄れていく島を見てるだけでも飽きない。
諏訪之瀬島や悪石島なんかはロストワールド感たっぷりで、噴煙立ち上る島の頂上付近から今にも翼竜が翼を広げて滑空してきそうだった。と思う反面、こんな過酷な島になぜ住み着いたんだろうという疑問も湧いてくる。
平島あたりから波が高くなり桟橋の上を波が洗うこともあった。
出港前に提示されていた条件は『小宝島・接岸条件(※ランプウェイ条件含む)あり』となっていた。海況によっては抜港(小宝島はスルーして次の宝島へむかう)するかもしれんよ。たとえ着岸できたとしても車は下ろせないかもよ。ってこと、ランプウェイ条件とは徒歩で人は乗り降りできるけど、船と車をつなぐゲートが下ろせないので車の積み下ろしはできないということ。
頼む、抜港だけは勘弁してくれ。
やがて小宝島。神業のような操船術で見事に着岸。でもランプウェイ条件が発動されて、人とクレーンでのコンテナ移動だけになったらしい。
民宿での夕飯時に知ったのだが、この便には宿で同宿する人(水洗トイレ等の保守点検業者)が軽バンで乗っていたのだが、軽バンは降ろせず乗せたまま身だけ下船して翌朝着の上り便から車を降ろすそうだ。彼はこの辺の島担当で何ヶ月かおきに定期的に滞在してる常連だそうで、少しも慌てていない。日常茶飯事的なことらしい。
民宿「湯泊荘」にはゲストが3人、トイレ保守点検の彼とケアマネージャーの方とお気楽観光客の私、コロナでずっと観光客を受け入れてなかったこともあってか観光で来島する人は少なく、ほとんどが業者だという。
ケアマネージャーの方は宝島から村内タクシー(船)で来島したらしい。島間移動の船があることは知っていたけど、調べてみると観光客がちょっと隣の島までと出せる金額ではない。自分の懐は傷まず支払いは会社や団体の財布からって人たちが島の経済を支えているんだろうな。
民宿のWiFiが驚くほど速い、超爆速だ。この速さに浮かれてしまったのが、思い返せば大きな間違いの手始めだった。ネットがサクサク動くのに気を良くして先の先まで予約してしまったのだ。
今日から湯泊荘に3泊、ここまでは前日までに予約したもの。
4日後のフェリーとしま名瀬港行きは問題なく出港すると思いこんで奄美大島で民宿2泊、名瀬港→那覇港のフェリー、那覇のビジホ1泊、那覇→石垣の飛行機、石垣の民宿1泊、石垣→与那国の飛行機と、待ちきれずに目的地までの予約を完了してしまった。
今思えば、なぜこんなに先走ってしまったんだろう?暑さとネットの速さのせいとしか言えないんんだよなー。
先にドタバタが待っているとはつゆ知らず、気楽に島内一周、露天風呂を楽しんでいた。
島は歩いて回るには程よいサイズであり、3日もウロウロすればみんな友達になれそうな気もする。
そして夕食。民宿のおかん、海人のおとん、ゲストの3人が一緒に食べる。
そして食後のゆんたく。「◯◯さんは次の下り便までの3泊でしたよね?」「明日の上りは問題ないけど、次の鹿児島からの下り便はたぶん欠航になりますよ」
えっ?マジか~。海人の天気予報はウェザーニュースよりも信用度は高い。ちなみに同宿のケアマネは海人を信じて日程を切り上げて明日の上り便で鹿児島へ戻ることに決めたという。
私は...苦労してやって来た小宝島をたった1泊で去らなければならない無念さ、先の先まで予定を入れてしまった自分のバカさ加減、その予約を取り消し変更するめんどくささ、などなどの葛藤はあったが、島でいちばん信じるべきものは海人の経験値である、ケアマネと一緒に鹿児島に戻ることにした。
部屋に戻って酔い潰れる前に予約の変更。
名瀬→那覇のフェリーと名瀬の民宿、那覇のビジホをキャンセル。キャンセル料が発生しなかったのは幸いだった。
まずは明日の鹿児島ビジホを予約。明日の宿まではなんとか決った。
正直なところ那覇から先の飛行機は動かしたくない。その飛行機を活かすためには鹿児島で1泊したら明後日那覇まで行っちゃって那覇で4連泊すれば予約済みの石垣便に繋がる。よーし、このプランで行こう。
明後日の鹿児島→那覇はソラシドの安いチケットが取れた。
次は明後日から那覇での4連泊、那覇での連泊に何回か使ったことがあるMr.KINJO旭橋駅前を押さえることができた。
Mr.KINJOはホテルと言うよりマンションの部屋貸しみたいな感じ、Wベッドの1Kの部屋でもちろんバストイレ付き、キッチンには電子レンジとIH調理器と冷蔵庫、洗濯機まで付いていて連泊にはもってこいの設備。それでいてお値段は4泊で14040円、取れてよかったー。
那覇での4泊を何して過ごそうなんてのは那覇に着いてから考えればいいこと。まずは1泊に縮まってしまった小宝島に別れを告げなきゃ。
と言ってもガジュマルがまん前に茂っている外のテーブルで、缶チューハイ呑むだけなんだけど。
生暖かい風は吹いているけど星はたくさん見える、
ほんとに天気は崩れるんだろうか?ちょっと信じがたいけど、島に入ったら島に従え、守らなきゃならない大事なことだ。
今回は残念な滞在になったけど、忘れずにいつか帰ってくるぜ。
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