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キャンプとは?いろいろ考えた夜~峠の森自然公園キャンプ場

一昨日の雨撤収でずぶ濡れテントを乾かしがてら、土曜日だけど峠の森でキャンプしてきた。

家から往復11km、しかも無料。便利なことこの上なしなのだが、今年トイレと炊事棟を新築した効果はてきめんで週末は人が多い。けど大丈夫、尾根を50m下れば週末だろうがGWだろうがいつも完ソロできるサイトがある。
テントサイトは駐車場から近いのに越したことはないけど、車から使うものだけをリュックに積み替えてちょっと歩くだけで静かな完ソロ環境が選べるのならば、私は迷わず完ソロの夜を選ぶ。

そんなわけで土曜日だけどきっとあそこならば大丈夫の確信で駐車場まで登った。

イベント開催中 スノーピーク祭り

なんだこりゃ!週末にしても込み過ぎ。子どもはいっぱい走り回っているし、受付まである。10張り以上建っているテントは皆スノーピークばかり。どうやらイベント開催中で一般のキャンパーは隅っこに追いやられ軒擦り合うようにテントを建てている。
東屋横の空き地にも6張り。もし下の俺様サイトも混んでいるようだったら帰ろう。
テントとロープと工具カバンだけを持ってテントの間をすり抜けて50m尾根を下った。

俺様専用サイト

やっぱりね。この俺様専用サイトは誰もいない。今夜も完ソロ確定だろう。
ちゃんと草も刈ってあるし専用水場もある。芝生広場と比べれば多少の傾斜はあるけど、真ん中に普通のテントを建てるのならば水平な場所もある。
なぜ使う人がいないのかが不思議でならない。
50mの尾根移動を嫌っているんだろうけど、ちょっとヒイヒイを我慢すればもっといい環境があるのなら、私はヒイヒイも苦とは思わんけどね。

周囲を囲む桜の木を利用してティピーテントを吊るすゼロポール張り。
「ワンポール」や「ツーポール」という言葉があるんだし、ポールを使わないんだから「ゼロポールテント」と呼んでいるのだが、どうやらこの言葉は私の造語らしい。
テントを吊るすアイデアが浮かんだ時にいろいろ検索してみたのだが、類似した張り方は見つからなかった。
「ゼロポールテント」でググってみると、出てくるのは自分発信の記事ばかり。ワンポールテントを広く使うために二股・三股化はよく見かけるけど、ポールを無くしてしまおうという発想のキャンパーやメーカーはいなかったらしい。これはキャンプ界隈の大きな不思議だ。

ゼロポールテント
ゼロポールテント

ポールから開放されるだけで機動力は倍以上になる。
もちろん強風が予想されるキャンプ場や吊り下げる枝が皆無のキャンプ場の場合は、ワンポール仕様で建てたりドームテントを使うけど、テントのど真ん中で伸び伸びと寝てしまうと、まずはゼロポール、ダメなら他のテントの優先順位になってしまった。

ベースになってるテントは中華製のUnafreelyワンポールテント。
ポール無しなら1kgに満たない軽さで、大きさも2Lペットボトルよりも小さくなるすぐれものだ。耐久性に不安はあったけど2022年8月から結構な頻度で使っているけど、大きなトラブルはない。付属のポールは細くてあまりに心細く、初張りでピンピンに張ったらポールが湾曲、他メーカーの太いポールに替えたけど。
今回Amazonを見てみたら値段も3000円ほど値上がりしてる。廃盤→新製品が目まぐるしい中華メーカーが同じ仕様で販売し続けているのも珍しい。根強いファンがいるのかも。
私も、もし修復不可能なトラブルがおきたとしたら、同じテントを買い足すと思う。

今夜の宿を建てたら、車まで戻って荷物運び。
1泊分の装備を慎重に選ぶ。
焚き火セット:焚き火台・防火シート・火バサミ・火吹き棒・着火剤1欠・ノコギリ・ナタ・クサビ
食事関係:1.8L芋焼酎・マグカップ1個・箸とスプーン・豚コマ肉・木綿豆腐1丁・麻婆豆腐の素(箱から出して1食分だけ)・固形味噌汁2個・インスタントコーヒー1瓶・米1合・フライパン・山クッカー・ST310シングルガスバーナー・ガス1缶・ポケットストーブと固形燃料1個・海苔弁当・小テーブル
その他:LEDランタン1個・ヘッドライト・トランジスタラジオ・タオル1枚・軍手

焚き火セットとテーブルを背中部分に入れてノコとナタを底ポケットに忍ばせ、次に焼酎パック。隙間に細々としたものを詰め込んで上に海苔弁当と豚コマ肉と豆腐をそっと乗せる。ポケットにガス缶やLEDランタンやラジオを入れて銀マットをトップにくくりつける。車をロックしたらヨイショと背負って片手に寝袋を持ったら移動だ。

芝生広場では薪は準備しなきゃならないけれど、下の俺様サイトなら焚き火の薪は十分現地調達できる。降り続いた雨で白煙モーモーは覚悟の上だ。
水も専用水場が近くにあるので運ぶ必要もないし、クッカーに直接汲むつもりなので水用の容器も必要ない。
テントポール・薪・水、クーラーボックス。この大荷物から開放されるからこそ50mの尾根道移動ができるのだ。

そして俺様サイトにはベンチ付きのバーベキューカマドとコンクリート製のニセ切り株があるのでチェアーもいらない。今夜はニセ切り株前で焚き火の予定だ。
あればより快適なのはわかっているけど、なくてもなんとか過ごせそうなら持っていかない。
50mとはいえ登りはハアハア息があがる。荷物運びは1回だけで済ませたい。

ポールが無い分、中は広々

荷物搬入が済んだら、寝床作り。
といっても地面にグランドシートを広げて銀マットを敷いて寝袋を広げるだけだから簡単だ。枕はテントが入ってた袋に寝袋や銀マットの袋、上着などを詰めれば事足りる。高さが足りなかったら芯にインスタントコーヒーの瓶を入れれば十分だ。

以前はコットやらエアーマットやらも使ったけれど、キャンプ回数が増えるごとにコットを組み立てたりマットにエアーを入れるのさえも面倒になってきて、今では地面に銀マットだけ。
固くて少々斜めってる寝床。それでも十分眠れるのだから余計な装備は必要ない。キャンプ向きの雑で大雑把な体に成長したのが喜ばしい。
コットは冬の雪上キャンプで使ったきり、ずっと車の隅っこに収まっている。

17時を過ぎれば陽が沈むので薪作りに汗を流さなくてはならない。
桜の小枝は無数に落ちているのでポキポキ折って火付け枝を作る。
伐採した松の丸太から径20cm×長30cm程度のものを2つ見つけてきて、クサビとセットハンマーで8分割にする。いい長さのものを見つけられたのでノコを挽く労働から逃げられたのは助かった。薪割り台を車に置いてきたのでナタを振るわずに済んだのもラッキーだった。

薪割り用クサビなんかもあるようだが、ホームセンターで普通に売ってる安いブロック割用クサビで十分だ。
頭が重いセットハンマーで叩けば径30cmくらいまでなら案外容易に割れる。

クサビとハンマー

そうこうするうちに周囲は真っ暗、もっと早くから動けば良かったと後悔するが、時すでに遅し。焚き火スペース前に垂れ下がる枝にLEDランタンを最小光量で吊るして、ヘッドライトも装着。灯りはこれだけ、だから当然暗い。

今夜もぽつんと一軒家

テントには光源を設置してないから真っ暗。走り回る子どもも怪しい大人もいないから暗くて上等。ソロキャンプって一人でしてるからってわけではなく、自分のことだけ気にすれば済むキャンプ、他人のことを気にしなくていいのがソロキャンプだと思う。ソログルなんてわけが分からない言葉もあるけど、区画で切られたキャンプ場で、周囲を意識しながらするキャンプってのは精神的にはソロキャンプとは認めないってのが持論である。

暗闇で調理はしたくない。
幸いにも30%オフの海苔弁がある。海苔弁をアテに芋焼酎TIME。眠れないくらい空腹だったらリュックの底に一夏越しの袋麺もあったし、それも面倒くさかったら酔い潰れればいい。麻婆豆腐は朝食にしよう。

さて焚き火TIME。
今や焚き火はキャンプにマスト、焚き火をしたいがためにキャンプすると言い切る人も珍しくないほどキャンプとは切って切れないものになっているようだが、そのことにも持論がある。

40数年前にキャンプを始めた頃は、キャンプは宿の一種だったと思う。友人同士で海水浴に行って宿に泊まる金もないから松林でキャンプするみたいな感じ。炊事は備え付けのかまどだったし、キャンプ=貧乏人の宿という位置付けだったように思う。

時代も過ぎて、キャンプそのものがレジャーの主役になり、付随する最大のイベントはキャンプファイヤーを囲んでフォークソングを唄うことから、各自がちまちまと火遊びをする焚き火になった。

時代とともに遊びの形態は変わっていくものだから、昔の方が良かったとまでは言わないけれど、自分の中では昔のキャンプをまだまだ意識しているのは否めない。
だから今でも焚き火はマストではないし、キャンプは貧乏旅の宿という意識は持ち続けている。

火に癒やしを求めるほど心は病んでないし、火遊びがすぎると寝ションベンするぞという先人の教えも覚えている。だから今でも焚き火は熱源という捉え方しかできない。
暖を取ったり調理をしたり、目的があっての焚き火はするけどただ無意味に燃やすだけという楽しみ方はしたくない。

この夜は不本意ながら調理は諦めて、極端に言えば時間つぶし。
お湯割り芋焼酎を呑みながらいろいろ思考を巡らせるために湯を沸かし続けただけだったけど、この考えは私がオイルランタンを使わないのと同じくらい自分のキャンプのポリシーになっている。
だから準備した薪がなくなったら焚き火は終了、いつもその頃にはいい具合に酔っているから終了時間の頃合いもいい。

上のスノーピーク祭りでは薪割りの音がまだまだ止まないようだけど、すっかり熾になった焚き火台に網を被せて焚き火は終了、朝には真っ白な灰になっているだろう。
LEDランタンを枝から外してテントに移動した。

最小光量ランタンの薄暗いテント内で寝袋の上にどっかと胡座をかいて芋焼酎を呑み続ける。
今度はお湯割りではなくストレートでちびちび呑む。テント内での飲酒は酒を楽しむというよりも睡眠導入剤という意味合いである。
ランタンを消して横になって「さあ眠ろう」としてもそうそう眠れるものではない。酔い潰れるまで呑んで自然に眠りに入るスタイルだ。だから小便対策を兼ねて酒はストレートだし、獣対策も兼ねてランタンとラジオは基本朝まで点けっぱなしだ。

酒のアテはラジオと夜に巡る思考だ。
ラジオから流れてくるとりとめもない話に反応したり、スネを這い上ってくる蟻の防御対策、これだけで十分酔い潰れる。ちなみに蟻対策の結論は「度が過ぎる輩は潰す。残りは容認して我慢する。」だった。

私のキャンプでは、灯油ランタンや焚き火はマストではないが酒は必要不可欠だ。最初の一杯をぐびっと呑んで「さあ、もう帰れないぞ」ということからキャンプが始まる。

酒はどんな酒でも大好きだ。365日欠かせたことはない。いちばん好きなのはシングルモルトをロックかな。キンキンに冷えたビールや酎ハイの初めの1杯も大好きだ。
でもキャンプでそんな贅沢は望まない。旨い酒は家や店で飲めばいいことでキャンプ場で同じ贅沢を呑むために高性能クーラーボックスや氷を用意するのには代償が大きすぎる。
簡単設営撤収、フットワークは軽く機動性重視がポリシーなので酒は常温でも呑めるものにしている。

クーラーバックがなくたって

冷えた1杯の旨さには、麓の店で冷却済みを買ってきてテントを建てている間中流水に浸して対応している。平日の無料キャンプ場なんか大抵は完ソロなので、炊事場の水を流しっぱにしててもなんの問題もない。
クーラーボックスを持たないキャンプなので食料は基本当日完全消費、体はディスポーザーと思うことにしている。生鮮食料も風通しのいい場所にロープを張って中空に吊るしておけば案外平気なものである。
クーラーボックスの維持管理が無いだけですごく楽になる。
そんな理由もあって、同じキャンプ場で連泊することは滅多にない。1日の食料費1000円を目安に移動中のスーパーなどで買い足しをしながら転泊するキャンプのほうがずっと好きだ。

コットやふかふかのマットが無くても普通に眠れる雑な体、特別に美味しいものを求めない我慢、テント泊に野外宿泊以上のものを求めない諦め、そんなふうに育ったのは幸せだ。
例えば初めての土地に行けば土地の名物食材を食べたくなるのは普通のことだ。でも自分の料理の腕は熟知してるし、塩胡椒・麺つゆだけの乏しい調味料で無駄な努力するよりは地元の飲食店で食べたほうがずっと美味しいのはわかっている。
だからどこへ行ってもせいぜい地酒を買うくらいで、いつも似たようなもので腹を満たしているわけなんだけど、それが俺のキャンプと悟ってしまえば全然平気で続けられるものだ。

俺のキャンプに求めるものは、絶景と一人になること。人様に見せられるキャンプ道具も持ってないし承認欲求もまるで無い。
何日も前から準備もしないし計画性もまるで無し、「行きたいときがキャンプに行くとき」だから自ずとほとんど予約不要のキャンプ場ばかり使うことになる。

でもそれは今の状況が「しようと思えばいつでもできる」「時間はあるけど金は無い」状況にいるだけのことで、何日も前から準備をして、まるでショールームのようなきらびやかなレイアウトをしている人たちを批判するわけではない。できないとわかっていることには憧れもないからだ。
我慢たっぷりなキャンプが性に合っているということだけだ。

なーんて事を考えながら呑み続けていたら、いつの間にか沈没。
理想的なキャンプの夜だ。

霧雨の朝

尿意で目覚めたときには明るくなっていた。しかも霧と雨。
テントを乾かすという今回の目標は元の木阿弥、また近いうちに出かけることになりそうだ。

土曜キャンプは久しぶりだったけど、日曜朝のラジオのつまらなさはなんなんだろう?宗教がらみと通販番組しか流れてこない。
ガスバーナーで湯を沸かしてインスタントコーヒーがぶ飲みで雨撤収の手順を考える。

1.飯を炊く。
2.炊きあがるまでに焚き火台の撤収。
3.蒸らし時間にガスとフライパンで麻婆豆腐を作る。
4.朝だから腹いっぱい食べる。(食器は使わずクッカー直食い)
5.クッカーを洗って荷物をパッキング。
6.もう一度湯を沸かしてコーヒーに熱湯を注ぐ。
7.テント内にマグカップと工具バッグだけを残してリュック担いで尾根登り。
8.ちょっと冷めたコーヒーを飲む。
9.びしょ濡れテントを袋に詰め込んで工具バッグを持って尾根登りでお終い。

こんな手順かな。
ちなみにマグカップは酒・コーヒー・味噌汁の三種兼用である。
この雑さ加減が俺のキャンプを象徴しているのかも。
ふさわしい容器を使えば見た目もいいし、満足度も上がる。それがわかっているうえで装備の点数を減らすために「兼用」は大事にしている。
クッカー直食いなら皿はいらないし、クッカーも山クッカーなら角があるからお湯を注ぐのもお手の物でケトルはいらなくなる。
万事がこんな感じ、この雑さ加減に我慢できるから俺様キャンプが苦にならない。

ゼロポールテント ペグを外した情けない姿

今回はキャンプ場到着から帰るまでを長々と書いてみましたが、これがマイスタイル。
俺様キャンプなのであります。
100人いれば100種のスタイルがあって当然、それは快く容認するし自分ができないスタイルを批判はしない。それは是非の問題じゃなく、自分ができるかできないかだけのこと。できそうもないスタイルは頑張ってもできない。
性に合ったキャンプ、分相応なキャンプでいい。

「Youtubeの〇〇さんみたいな」とか「雑誌に出ていたキャンプを目指してます」とかを恥じることなく言う真似っ子キャンパーにはなりたくないなと思う。

簡素なキャンプを推奨するわけじゃないけど、想像してみてください。
コットなどの寝具類、クーラーボックス、薪、水タンク、チェアーから開放されたキャンプを…。楽ですよ。

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