ダイパリメイク発売前日に一番くじでイーブイぬいぐるみ当てて絶望に突き落とされた話

この文章はダイパリメイク前日という時事性を維持して日付が変わらないうちに公開したいがため、頭回らない中ろくに推敲せずに放り投げるように公開してるnoteになります。もし問題のある文を見つけた方はTwitterに連絡をいただけると助かります。

アバン、もしくは掴み


そう、俺は疲れていたんだ。とっさの判断力が足りなかった。そのせいでこのザマだ。
誰も悪くはないんだ。店長さんも、パートさんも、女の子も、ポケモンも。
強いて挙げるとするなら、悪かったのは機転の利かなかった、この俺だ......


これまでのあらすじ


クライマックスシーンを最初に見せるというラノベの導入のようななにかを済ませたところで、ことの顛末を語る前に、まずは筆者である俺がどのような経歴を経てこのアポカリプス・デイを迎えたのかを順を追って説明したい。
まず俺のステータスだが、高卒後進学も就職も果たせなかったコンビニバイトのフリーターである。はいそこ既に救えない屑男じゃねえかとか言わない
そんな屑にも希望があった。そう、皆さんお待ちかねダイパリメイクである。二十代前半の俺にとって世代直撃のリメイクゲームが出るのは初めての経験で、めちゃくちゃ楽しみにしていた。ブリリアントでシャイニングな、一筋の光。いちダイパキッズとしてうきうきで発売を待ちわびる日々。そしてついに発売を金曜日に控え、一週間が始まる。今週もバイト頑張ろうと意気込む俺。この週に、転落の道が待ち構えているとは露知らず......


試練


今週は、何一つ心配事のない週だった。というのも、今週の勤務は二日のみ。月曜はそれなりに長い時間きっちり働かねばならないが、水曜の勤務は昼間に少しだけ。二日勤務をこなすだけで、あとはゲーム三昧のパラダイス。フリーター生活最高!(将来から目を背け)
まずは月曜の勤務をそつなくこなし、適度な疲労感とともに帰宅。早めの睡眠を取った翌朝、第一の試練が訪れる。ん、店長から連絡だ。

「お疲れさまでした。土曜日の夕方なのですが、シフト入れないでしょうか?」

俺は二秒で返事した。「入れます。」
もともと週二勤務はさすがに少ないと感じていたのだ。発売当日にも被っていないし、翌日の夕方なら遊び倒して夜が明けようと睡眠時間は確保できる。最も都合のいい時間帯に入れるのはむしろラッキーである。
一晩明けて水曜。午前中の勤務を終え優雅に帰宅を決めようとする俺に、第二の試練。

「今からあと数時間、入ったりできない?」

なんだと。なぜじゃ!なぜ勤務の延長とやらをせねばならんのじゃ!(某世話やきキツネ風)話を聞くと、どうやら平日の昼勤務担当のパートの方が腰を痛めてしまったらしい。なるほど。急な話ならまず現場にいる人間に話が回ってくるのは納得がいく。とはいえ俺も週末に大きなタスク(ポケモン)を抱えている身。そんな忙しい状況のうえまた長時間勤務なんて、そんなの、そんなの......


なんだか、正社員みたいじゃないか!!!

......このとき俺は、より多くの稼ぎが増える喜びと、皆から頼られている実感に舞い上がっていた(いいように使われていただけとも言えるが、使ってほしいのはフリーターでオールフリーなこっちのほうなので問題はなかった)。まあ、金曜には入ってないし、お金は稼げるし、むしろアドだよアド......。

ついでに木曜日(発売前日)にも昼シフトの交代を頼まれた。ついでだし引き受けた。


アポカリプス・デイ


ついに迎えた発売前日。なんだかんだで週二から週四に増えた勤務。水曜の長時間勤務で疲労は着実に溜まりつつある。本来なら今週のシフトは全完了して家でゴロゴロしている時間だが仕方無いので家を出る。なんとか乗り切る覚悟を決め到着、「おはようございま......!?!?!?!?」
自動ドアの開いた先、目の前に飛び込む、

「ポケモン 一番くじ」

俺、大興奮。

さらに勤務中の飲み物を買いに向かうと

「対象商品二個購入でアクキープレゼント」

俺、大歓喜。

そうか、発売記念となると、こんなにも周辺グッズが潤うのか。しかも一番くじの景品には、俺の最推しポケモン、フワンテがたくさんいるじゃないか!(正確には最推しはフワライドだが、フワライド族がフィーチャーされているだけで嬉しい)
発売前日にして、興奮はピークに達する。正直シフト中一番くじ目に入るたび鼻息荒くなってた
勤務、何事もなく終了。さて、ガチャの時間だ。当たり枠はD賞あったかブランケット。フワンテが描かれているのはもちろん、俺は毛布系の布がとても好きだ(おそらく小さいころブランケット症候群のような状態だった名残)。が、当たりは一枠しかないため期待はできないだろう。現実的な線での目当ては、フワンテが大きく描かれているG賞デザインタオル。次いでオシャレさが贔屓抜きに気に入ったH賞グラスコレクション。F賞ポーチコレクションにもフワンテは描かれているが、ポーチは他の物をたくさん持っているため間に合っている。まあ個数の少ないE賞以上はどうせ当たらんし、量産型のF,G,H賞揃え狙うかあ、とくじを引く。

一枚目。F賞、ポーチコレクション。個人的には外れだが、一応フワンテの描いてある種類が貰えるので良し。

二枚目。G賞、デザインタオル。当たりやすい等賞のうちフワンテの描かれてるグッズが揃った!もう十分だが、これで被らずH賞グラスコレクションが引ければ万々歳である。もう一回引いて被っても被らなくても身を引くか......

......

......

ん?

C賞?

えーとD賞がブランケットでその上ってなんだっけ

「C賞 まったりイーブイぬいぐるみ(当たり二枚)」

大 勝 利

まさかまさかの大勝ちである。そうして私はおっきなイーブイちゃんを抱え、帰路に着......

「えっ、それもしかして当てたんですか?すごーい!」

誰だ?(失礼)振り向くとそこにいたのは次のシフトで出勤してきた夕方勤務の女の子。確か最近入った子で、同じシフトで入ったことはなくて、見た目的に多分JK、......
などと失礼な分析をよそに、「いいなー、私も引こうかなー」と一番くじに興味を示すJK。うん、元気でいいね。(疲労でローテンション)
そこでは特に何もなく会話は終了、俺は裏に賞品を取りに行く。その時点では誰も一番くじを引いておらず、まだ賞品の荷ほどきがされていなかった。そうだ、せっかくだし実物を見せてやろう。ちょうど何かの作業で裏に顔を見せた女の子にイーブイの顔を向ける。「わあ、思ってた三倍くらいのサイズある、えー、めちゃくちゃかわいー!」うんうん、いい反応だ、と満足しかけたところで、ついにその時は訪れる。それを眺めていた店長さんからたった一言、

「ほら、かわいいって言ってるよ!」

この一言が、すべてを狂わせた。この一言で、俺は深い海の底、絶望の海へ叩き落されることになる。


瞬間、心、重ねられていれば


※ここから先はすべて筆者である自分の主観と想像であるため、すべて勘違いだったり見当はずれだったりする可能性もあることにご注意下さい。半ば筆者の脳内でのフィクションみたいなものだと思っていただければ幸いです。

その一言を聞いた俺の反応は、
「あーなんか気を使われてるけど考えるの面倒臭い......」
だった。というのも、その店長さんの発言から
「それをプレゼントすればすごく喜んでくれるよ!」
という言外の意図を俺がくみ取ったためである。ここで、気前よくプレゼントとして手渡せるのが、いい男ってやつなのだろう。そんな男になりたかったものだが、数秒の思考の末俺がとった行動は、「気付かないふりをして素知らぬ顔でやり過ごす」だった。
当然と言えば当然である。まずもって自分でくじを引き自分で当てた賞品なのでこれをどうするかは俺の自由。俺もポケモンを愛するトレーナーである。想定していた当たり賞品ではなかったにせよ凄くうれしかったし手元に置いておきたいという思考が真っ先にあるのはごく普通だと思う。
何より、だいぶ疲れが溜まっていて頭が回らなかったのである。

こうして店長の(推測上の)善意をスルーし店を出た俺だったが、考えてみるとこれをプレゼントにするという選択肢はかなりありだっただろう。女の子は大なり小なり喜んでくれるはず。店長も善意が成就し喜ぶのではないだろうか。肝心なのは俺の損得だが、当時の俺は「まあ俺のもんだしなあ」と深く考えずすぐに店を出た。

と、店を出た直後、ふととある思考がよぎる。


「あれ、女の子と仲良くなれるなら、イーブイぬいぐるみは手放してもよかったのでは?」

そう、俺が偶然当てたイーブイぬいぐるみちゃんは、ここで女の子と天秤にかけられることになる。このイーブイは、大事に連れて帰り手持ちのポケモンとして愛で続けるべきだったのか。それとも、女の子のもとへ明け渡されるべきだったのか。ここで重要なのは、女の子に明け渡す場合、純粋に喜んでもらう目的の他に、下心による色欲の要素が混じってしまうことである。その場合、ポケモンを好感度を上げるための道具として使うことになってしまう、ということになる。

数分の思考の末、天秤は傾いた。傾いてしまった。

「あげときゃワンチャンあったかなあ......」

俺のポケモン愛が、性欲に負けた瞬間である。

こうして俺は、ワクワクで満たされていた心を虚しさで上書きして帰宅したのであった。

ちなみに昼勤務のパートさんの腰痛は続いているらしく、明日のシフトも代わりは存在していないらしい。

お休みイーブイ、明日も頑張ってくるよ。

おしまい

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