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savepoint(ほとんど)できました!

はじめに

これはCivic Tech Advent Calendar 2024 の19日目の記事です。

Code for Living Lab.で活動している矢野です。ふだんは会津の暮らし研究室で、地域のマネージャーとして古民家ラボを運営しています。
今回は、私がCivicTech活動として取り組んだ「プロジェクトを未来に引き継ぐプラットフォーム”savepoint”」の1年の歩みを振り返ります。


私の活動のモチベーション

ひとりで考えていたこと

会津の暮らし研究室は2020年からスタートしました。その中で、よくハッカソンやアイデアソンを運営する機会があるのですが、毎回生まれては消えていくプロトタイプに対して、作り手にリスペクトしつつ、次につながるような方法でアーカイブができないか、というアイデアをほわっと持っていました。

また地方ゆえに、さまざまな実証実験のフィールド先に選定いただくのですが、分野によって似たようなプロジェクトの提案を受けることがあり、しかもいろんな事情で大体2月の報告会が終わると、ささっとモノが引き上げられる不思議。できれば違う場所で何かの機会にリブートできるといいのになぁ、という切なさも溜まっていました。

共創の”現実的な”課題を共有できた

2年ほど前からご縁があったCode for Japanのブリゲート「Code for Living Lab.」で、似たような課題感を持っているメンバーと繋がる機会を得て、年齢、居住地、職種多様な、しかも流動的なチーム(リーダーとかPMがいない)でsavepointを作ってみることになりました。
(昨年までの歩みはチームの今村さんのnote.で)

savepointとは?

うまくいかなかったプロジェクトを未来に引き継ぐプラットフォームです。
プロジェクトをいつでも保存できて(=セーブ)、いつでも誰でも引き継げる(=ロード)場所になっています。

savepointコンセプトの全体像(出典:赤坂さんのnote.より)

そして「データのセーブ・ロード」を有機的に繋げていくためには、デジタルとリアル両方からのアプローチが重要だと考えています。

デジタルな場「savepoint」

セーブされたプロジェクト(非構造化データ)が、ベクトル化されて3次元の空間上に置かれます。近い位置にある=似ているプロジェクトなので自分の探したかったカテゴリーのプロジェクトが直感的に探索できるのが特徴です。

リアルな場「スナック・ギーク」

さまざまな場所で生まれたアイデアやプロトタイプがボトルにキープされているという設定で、ママや常連と語らいながら、プロジェクトを皆で味わうワークショップの場です。

カラオケ用モニターにsavepointが表示される

savepointを使いながらデータ(キープボトル)を見つつ、そのデータを入れた方に詳細を解説してもらいます。安心安全な場で誰かのボトルを味わっていると、なぜか自分のプロジェクトのことも聴いてもらいたくなる、毎回そんな場になっています。

こうやって活動してみると、引き継ぎたくなるデータってデジタルオンリーじゃないんですよね。データだけではわからない温度感、手触り感をちゃんと扱おうとすると、自然と人同士の繋がりがハイライトされる。何回かワークショップを重ねてきての体感です。

今年やったこと

並べてみたらけっこういろいろやっていた

昨年の構想期間をを経て、今年は「まずはやってみよう」で、いろんな人と話をする・そして手を動かす1年でした。

1/31-2/2 WELL-BEING TECHNOLOGY 2024参加
東京ビッグサイトで「わたしたちのウェルビーイングのためのハッカソン」の展示とsavepointのデモを実施。

savepointのデモ中

2//7 スナックギーク開店
福島県柳津町の「スナック斗酒子」にて、MaaSに特化したWSを開催。町民・町長・地元交通事業者の方達も参加して地方の交通について対話。

ハイブリットスナックにチャレンジ

4/1 Code for Japanのアクセラレータープログラム採択
資金面のサポートに加え、CFJからの惜しみない情報提供とアドバイスの機会を得る。

4/26 キックオフ
尾山台のタタタハウスで「どういうプラットフォームならデータを入れたくなるか?」を議論。

坂倉研の皆さんと一緒

6/17 弁護士と契約
利用規約とプラポリ作り始め。セーブとロードが利用規約で定義される。感動。

ほぼ真っ赤に修正された素案

7/27 チームメンバーのオフィス「K会議室」でα版体験会
議事録には「気の引き締まる進捗確認」とだけ。エントランスがシークレットすぎて全員が迷子になる。

話し合い前の穏やかな風景

8/17−18日  Facing the Ocean参加
エンジニア中村くんのプレゼン。「プロジェクトって大体墓に行きますよね」のところで一部笑いと拍手がおきる。

エンジニア中村くんの英語プレゼン

9/7  α版リリース
CFJと関係者にお披露目。

9/13  オンライン体験会
参加者とα版を触りながら、セーブ体験について対話

少しずつ形になってきた

9/28  Social Hack Day#64
α版のユーザーテスト

10/19-20  β版リリースに向けた開発合宿in会津の温泉
1泊で定例開発3ヶ月分を回収

会津の暮らし研究室で開発中

11/16  Code for Japan Summit2024
アクセラレータープログラムのセッションに登壇

エンジニア桃子さんからの概要説明

Future Forum でスナックギーク

セーブ・ロード機能についての対話

12/14  チームメンバーのオフィスでリリースに向けて頑張るぞ会
来週のSocial Hack Dayに向け、ロードシュミレーションカード誕生

ロードするペルソナを考える

(予告)
12/21  みんなでSocial Hack Day#66
これからの活動スタイルをどうしようか考えている中、Code for Japanがほぼ毎月続けているハックの日と同期させれば、ユーザーテストと開発が同時にできていいかも!ということで、まずはみんなで参加してみます。
savepointを触ってみたい、データを入れてみたい、などご興味あればぜひご参加ください。

チームのレジリエンス高めだから今ではいい思い出エピソード

かっこよく階段2段飛ばしくらいでスプリントぶっちぎったお話を書きたいのですが、現実は寄せては返す波のように、いつしか満ちていた(そして脱いだビーサンは流されてた)みたいな、実に凸凹で人間的なバイオリズムのある歩みでした。

〜エピソード1〜
ハッカソンにsavepointデモを持ち込んで「あなたのプロジェクト、セーブしてください」と各チームにお願いに行ったけど「いままさに走っている最中なんで話しかけないでもらえます?」な塩対応。
なるほど、ひとにはセーブしたい時がある。

〜エピソード2〜
ある町に「savepointにいれられそうなプロジェクトありませんか?」と聞きに行ったら、「うまくいかなかったプロジェクトはひとつもありません」と回答あり。
なるほど、ひとにはプロジェクトとの向き合い方がある。

エピソード3〜
Social Hack Dayにひとり参戦、savepoint α版のユーザーテストを実施した今村さんから当日夜、 「コンセプトには共感してもらえるのだけど、実際サービスの中身を見たら「で、これはなんなの...?」と思われている可能性が高い。早めにsavepointの価値を打ち出さないと、このままじゃ誰にも使ってもらえなくなる!」 と連絡あり。
なるほど、世にはsavepointが響かないひともいる。

α版リリース時に、応援してくださった石塚さんのnote.にも「最も大事なことは「セーブポイントは行動した人しかつくることができない」ということです。」とあり、合点がいきました。

こういう「あれあれ??」がある度にMTGを開き、議論が足りていないところを補完し肉付けしていきました。スタートアップの萌芽期にまぜてもらうって、こんなにスリルがあって楽しいことなのだ、という気づきがあり、渦中ですが、まだまだ面白いことが待っていそうな気がしています。

これからのこと

いまプラットフォームは最終調整中で1月中旬には本格的にユーザー登録を開始する予定です。これからはsavepointが使われる・愛されるプロダクトに育てていくフェーズに入ります。
これからもアイデアを出す人と手を動かす人が互いにリスペクトし合って、楽しくものづくりをしていきたいです。

あ、これからはデータをセーブ・ロードするみなさんと一緒に、ですね。

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