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キラーズ・ウェイヴ・カレザンスイ
胸がfxxkな出来事を思い出した。
このところ小さく勝つシアワセに包まれてあれたし、ぼちぼち人生のリズムを下方修正してもいい頃合い。備忘録あるいは心の国境を護る有刺鉄線フェンスとして遺しておこう。
ことと次第によっては「サツイ」が足りない、さもなくば何も成せない。そのような逸話はときどきある。よし、じゃあ持つか…サツイ…とかいう白熊はいない。キレるのが早インパラ。逆に感情コントロールうますぎサイコパスか。
自分が「それ」を放ったのが2020年のあるときであった。しかしそれは誰かの啓蒙を真に受けてやれました、というわけでもなく。ただただ自分の中でもともとあった衝動に由来する。日常的にそうはならんやろがいをならないよう規律を胸に抑えていたものの、なるはなる、という。
だからこれはその規律を破る正当性の嘘の話。
"背景"
このペンギン・アイコンのアカウントはあらほーテスターちゃんである。身の回りにひそむバグを探してたたくだけのカンタンなしごとをしている。実際これはほんとうでありウソだ。カンタンだがカンタンではないのだ。
カンタンそうだから救いようのないバカも集まるが、カンタンではないので救えなかったバカが発生する。世界はだれかの仕事でできていて、そのすべての難易度を正確に測るのは、凡人にはできないし、賢人ならできないフリをする。バカだけができると言ってのける。
それなりにやればそれなりのポジションにつくので、それなりにポジション・トークを利己的にも利他的にもやるようになる。そのバランスがよくないと、バランスは崩れる。生まれと環境の都合もあり、利他的な利己的衝動に傾き過ぎていたのが敗因である。
「ペンギンさんはさァ、仕事を抱え過ぎ~」
と、職場のギャルにゆわれる有様であった。バカが集まるチームだからちゃんとバカがいるのだ。そしてギャルはだいたい陽気なリズムで真理を突く。ペンギンさんは苦笑いで受け流すしかなかった。バカだから他にやり方を知らない。それでもギャルのゆうことは素直に聞くべきだったのである。バカはバカであることに気づかない。リンゴは落ちる。
そしてギャル去りし後、目を背けていたリンゴが落ちた。
"手札"
コロナ禍で騒がしくなり始めた頃だったか。同じ出自である、現場たたき上げの上司的なナニカが栄転した。イッセンマンがさらなる上に行った。元バカがそこまで行くのは他人事ながら喜ばしいことである。
代わりに、違う出自で別部門から妙齢女性上司的なナニカが来た。
幸いにして最大の不幸なのが、謙遜と尊敬とひとつまみの奸計を携えた理性的な方であった。たいへん仕事仲間としてよかった。とはいえ出自は違うのである。畑が違うのに、いきなりなんでもはできない。できることしかできない。そのあたり「敵」である上司の上司的な存在は一顧だにするところがなかった。
そこでついに「壁」が壊れてしまうのだが、少し時間を巻き戻す。
はじめは「敵」の上司がその部下である自分の師匠の人生を、間接的にしかし完全に終わらせてしまった。意図してはいないし、直接証拠はないが状況証拠は豊富であり、結果として終わってしまったのは事実だ。社会的にはなにもおきず、「敵」の上司はガチ泣きした。そして性格は根本的に改められないまでも、態度は確かに改めたのである。
しかし「敵」は直接関与していないので改まらない。
ある失敗の「原因追及」により仲間のおっさんが鬱でいなくなった。栄転した上司的なナニカもチーム全員の前でガチ泣きしたことがあった。この仕事(で扱う謎機材)がすごくすごい好きなんです! とか力説する激レア人材あんちゃんも心がポッキー。詰め詰めの詰めでみなが魂の小指を詰めた。
始めこそ何も言えなかったが、段々と「敵」のワザをラーニングした青魔法で戦うようになった。それでも勝てはしないので、ほとんどの不幸を守ろうとして、守れないままであった。
だから最後の犠牲者たる彼女も詰め詰めの詰めに耐えるほかなく、なぜ詰めが発生するかのメカニズムと、想定されるありとあらゆるシミュレーションをもとに被害を最小限にとどめるべく助言、助力をしてきた。でもやはり守れないのである。自分の力で守れないものはあるのである。
そして、あるとき詰められた彼女の要請を受けて、詰めの場に同席して代わりに詰められ──なかった。ガチガチに詰め返して「話にならない」と言わせるに至った。最初で最後の勝利であった。何も問題は解決しなかった。かなえられない過大な要求はちいさくなることもなく。
深夜。機材に囲まれ、しかし人間は他に誰もおらず、だだっ広くせせこましい空間で思った。もうダメだ。「やる」しかない。社会的に「やる」しかない。文面はとっくに下書き済みだ。すでに色々と訴えの手は回した──しかしこのとき見過ごしていた点は見過ごされていて──今更引けるものでもないと悩んだ。人生ではじめて感じる強度の腹のねじれ。
夜が明けたころ。「ハラスメント」のカードを切った。
"次章"
落ちるものは、落ちるのである。重力がある限り。
通常では関わりのない雲の上のひとびとに、色々な連絡が回っていった。「敵」の上司の上司レベルにお呼ばれをして、理性的な会話が開催された。しかし気持ちは分かるが、やり方はよくないという結論に終始した。実際その通りなのである。であるが、「ただしいやり方」の開示はされない。それが社会というものだ。
自分の上司の上司にもお呼ばれをして、そこでは感情を開示した。そこでは「俺の考えた、ひとつのただしいやり方」の提示があった。そのとき始めて知った。「味方」が視界に入っていなかったことを。しかし実際視界に入っていなかったのである。物理的に「味方」はそこにいなかった。
見えないものを見ようとして、望遠鏡を覗き込むべきではあった。
そして、なにもかもなかったことになった。ギリギリのところで悪運天運が味方していた。なぜなら「もともと自分はいなくなる都合があった」のだ。「そろそろコイツには別の仕事をあてがいたいんで、ここはひとつ」という都合が。
かくして自分は引き抜かれたのか、弾き飛ばされたのかなにもわからないままに変わった。それ以外のなにもかもが変わっていなかった。後で残された仲間に話を聞いて、「敵」が異動したことを知った。左遷、のようでいて左遷、ともいえない異動。
「敵」の部下が「敵」になっただけで、なにもかわらなかった。
話がわかるひとであったが、やはり立場はひとを作る。
"正義"
ふりかえって思うが、自分の正義に疑いはない。
なぜなら人を守ろうとすることは悪いことではないからだ。しかし自分を守ることはできなかったし、人を守れてもいなかった。妙齢の……いや、よそう。普通に縁も所縁もないおばさんを守ろうとして何が良いのかサッパリわからない。でも袖振り合って多生の縁があるおばさんを守ろうとして何が悪いのかサッパリわからない。そもそもチームメンバーの誰もが困っていた。
疑いないので時を巻き戻してもなにもかわらない。
だから「守れてなかったから悪い」としか言いようがない。経緯はよくても結果が悪い。結果が悪いから経緯も実際悪い。別解はあった。だから自分の正義はフェイクにあたる。自分で自分を騙してしまった。しかしバカはバカなのだからやむを得ない。人生で今が一番若いとき。
今にして思えば、仲間を守ろうとしたとかより「女性」を守ろうとしたことが盾となり「なにもおきない」をおこす悪運天運に恵まれていたのではないか、と考えられなくもない。やり方はよくなかったが、やられ方もまたよくなかったのは確かなのだから。喧嘩両成敗が起きたのかもしれない。
なにがおきたのか、なにもわからない。
そして人生最大の「波紋」を使い果たした自分は枯れた。もうなにもかもがどうでもよく──はならなかった。枯れはしたが「敵」を見ると「わァ……ァ……"敵" だッ……!」となってしまう。仲良くないことは良くないという生まれと育ち方の末に、問題は潰さねばならない、という仕事を選んでしまった。このよろしくない正義は生まれつきの病気であり職業病。
問題は無限に世の中にある。無限によくない正義が顔を出し、無限にわるくない悪役が立ちはだかる。なぜか現世は悪役が回復役。自分だけのマイ正義の正義を見破るには人格が無限に必要で、物語を集めてはその仮面を写し取り、リストに加えていく。
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