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スプラッタ・リゾット・オブ・ムギメシ

【これまでのあらすじ】

 一人暮らしを契機に、自炊にチャレンジしたわたしさん。お袋の味はおいしいが、再現するのに手間がかかる。段々サボりたくなり、レシピのガードレールをブチ破り谷底へDive! なんと! メシマズテスター・クッキングバグに変身したのだ。

 そしてnote大陸に不時着したクッキングバグ。うまいうまいと思って料理のレシピを省略ハックしていたはずが、実は自分の味覚を改造ハックしていただけのではないかと気づいてしまう!

 バグっていたのはレシピではなく「おまえ」だ──その事実の重みに耐えられるか!? 負けるなクッキングバグ! 立ち上がれクッキングバグ!

※このストーリーは実際リアルなニンジャ風エッセイです※

スプラッタ・リゾット・オブ・ムギメシ
〜麦飯と雑穀で雑炊、それは実際雑〜


「ヌウ…またも500g・ヒキニク…」クッキングバグは肩を落とした。思い出したくもない、サウザンリーフ・リージョンの戦火を生き延びてしばらく。このシティは実際ハナヤカだ。ミナトク・キャバレーも見紛う石造りの街。

 だが、クッキングバグのアパルトメントは違う。いかなシロカマチも壁外に塁及ばず。霧深きこのヤマテにおいてはドラグストア・クリエイツが頼みの綱。あるだけカミサマなのだ。実際望ましいのは完全食品であるスシ。しかしモミゲヤ・マーケにシイレを頼むにはフモトへ降りねばならぬ。

 チョットのヤスイも五分の魂、タダモノガイは青天井ガチャ。そのキリツを胸にここまで凌いできたが、やはりこの500gパックがブタコマ・ヒキニク・ブタコマ・ヒキニク……無限にルーティンするソーマト・リコール走馬灯にめまいを覚え始めるもセキサカ。

 サウザンリーフのギョーム・マーケ、ビッグヤスイ・エース、そしてドラグストアのヤスモト・マサシ。三種の神器を喪った痛手はあまりにディープ。だが戦士たるもの歩みは止められぬ。限られた手札で戦うのだ。セナカリバー・ポジションを固める。ヒキニクの覚悟。


◆◆◆


 即断即決。鍋にヒキニク。恐らくは脂質過剰、しかし非情にもオリーブオイル噴射。リスクを取らぬチキンはタイガーの晩餐。そしてブラック・コショー。より非情に。鍋一面を敷き詰めるほどの量でマキビシ・ワーク可能。なぜなら小瓶でなく業務用ゆえに。コショーは東から昇り、西にシオ。ミルで削り入れる。

 そしておもむろにムギメシ噴射。「いつものゴハン」のビジョンをイメージ──ゴハンより鍋のヒキニクは少ないだ。ではムギメシはより多く噴射。だが、これではソボロライスと何が違うか。リゾット。それはどこか白いイメージ。だが実際ニク。白いはアブラミ。白いに比肩するは赤。トマトだ。

 しかしもちろん、トマトなどない。いやある。100%野菜ジュース(トマトベース)。これを水分としてボイルすれば無加水調理のジツともいえよう。それは素材の味に豊かな評判。

 ただ100%野菜は実際、ピュアな酸味。なにかリゾットたるべく──そこで戯言を遮断しトマトケチャップを非情に噴射──つまりヒキニクに赤いジュース、そこへ粘性のある赤黒い危険物! サツバツ! ああ……なんという……チェンソー・ペルソナのスプラッタ・カブキが通り過ぎた後のようなネギトロ……。

 しかしひるまず点火。撹拌しながら中火。ヒキニクの色が変わり、具材は均等に混ざる! あとはヨワビあるのみ。蓋を閉めザゼン。ナガラワークとフキコボレは一生の恥。デジタル・ゲドクだ。

「スゥーッ! ハァーッ!」深く慎重にチャドー茶道呼吸を繰り返し、集中。このとき未来にさらなるバグが起きようとは、知る由もない。ムギメシに水分が程よく吸収された頃合いを見て、パンドラの蓋はひらかれた。


◆◆◆


 出来上がったものを見てジャッジ。これはいったい何なのだ……? 私は何を作ったのだ……? 実際安全。妙なものは入れていない。何かあるとすれば量の問題。しかしナマゴミ許すまじ。味は見てから整える。煮込み料理のアブナイは途中で味を見れぬイクサ。ゆえにハイクラス・オフクロミール。

 だが──おお、ゴウランガ! ふくよかな香辛料と肉の風味、温まる体、踊るムギメシの食感。アイジョウ。これは……さわやかにパスタ……。そうムギゆえに。去年の年末にシタガキしたストーリーとは思えぬオフクロメモリー。だがなぜ。食べたことのない味に涙するか?

 それはスパイシーな。ゆえにカレー。レッドカレーだったのだ。

 だがバグの魔の手は、テングノーズの後にアイサツする。この後、尽きたムギメシの代わりに純粋に雑穀なルーティンを回し、いずれ劣らぬハガネ・リゾットに膝を折ることになるのであった。

 このイクサのトゥルー・フォームを知ることもなく。

 実際チリコンカンには豆が必要。つまりナットーな。

(ジャンル:サイバーパンク・ニンジャエッセイ)


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aizuk
われわれが深淵を覗くとき、深淵もまたわれわれを覗いているのだ……