【超短編】快感

 この時間が、永遠に続けばいいと思った。

 彼女の細い指が、僕に触れる。瞬間、僕は体も心も心地よさに包まれる。

「力、強すぎないですか?」

 彼女の可愛らしい声が、耳元で囁いた。
 年下の彼女は、いつも綺麗な敬語で僕に話し掛けてくれる。

 大丈夫だと伝えると、彼女の指が僕の肌を擦り始める。とろけそうな快感に、僕は身を委ねた。

 この時間が、永遠に続けばいいのに。

 
 
 
 

「お疲れ様でした。」

 水の音が止まる。顔にかけられた白い布を外され、僕は体を起こした。

「次はドライヤーで乾かして、その後最終調整のカットをしますね。あちらの席へどうぞ。」

 鏡の前の席へ移動すると、僕は濡れた頭をタオルでくるまれていた。

 

 ここはいいな。どの美容師も、シャンプーが上手い。

 次回は課金をして、ヘッドスパを付けようかな。

 

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