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【本紹介】「高校入試」

お初にお目にかかります。起業部1年の髙橋です。新加入メンバーです。これからいろいろ発信していきたいなー、と。よろしくです。

私が紹介する本はこちら、湊かなえ作「高校入試」です。

あらすじ

県下有数の公立進学校である橘第一高校では翌日の高校入試に向け、準備が行われていた。その中、新任教師である主人公・春山杏子は教室の黒板に「入試をぶっつぶす!」という張り紙を見つける。張り紙の犯人もはっきりしないまま入試は始まってしまうが、試験内容がネット掲示板に次々と実況中継されていく。


見どころ

実はこの作品、2012年に地上波で放映されたドラマ版を基に書き下ろされているのですが、小説版とドラマ版で結末が違っているんです。しかも単なるif世界線の話ではない。たくさんの会話から構成されるドラマ脚本と多くの心理描写で登場人物を書き表す小説、同じ作品でもここまで変わるものか、と読了した時にはとても感心しました。

この本は学校、入試を舞台とするものの、そのテーマの一つは「正義」という一見入試とはかけ離れたものです。自らの「正義」に基づいて行動を起こす登場人物、その行動の結果、周囲に及ぼす影響を見ていくことが、この作品の根幹に近づいていくことにつながります。

「ネット掲示板」の存在もこの作品を面白くしている要因の一つです。入試という閉じた世界、関係者以外は覗けるはずもない世界をどこかから見ている人物がいる。掲示板の書き込みを時間軸として物語は進んでいきます。

はじめは異なる世界だったはずの学校と掲示板は物語の中でつながっていく。誰が計画に関わっているかは終盤まで語られません。誰かが情報をリークし、入試をつぶそうとしている。疑念の中で、様々な問題が起こる。それらは意図的に行われたものなのか、単なる人為的ミスか。首謀者の目的とは。謎はすべて一つにつながっています。ミステリーの醍醐味ともいえる推理をぜひこの作品でもお楽しみください。

最後に

いかがでしたでしょうか。私は「高校入試」という、簡潔なのに小説の題名としてはミステリアスな題名に惹かれてこの本を手に取りました。(正直、僕が手に取る本は題名が不思議なものばかりだったりします笑)本を手に取るきっかけは人それぞれです。ぜひ皆さんの動機をコメントに…なんて露骨なコメ稼ぎはやめておきます。

この本を読んでいるとどうしても、「自分の見えないところで動く他者」を意識したくなります。知らないところで情報が洩れている、知らないところで夜遅くまで採点業務に等々、作中の人物たちはそれはもう人間らしく動いています。それがこの物語を謎めかせているのかもしれませんね。

つたない文章でしたが、皆さんに「ちょっと気になる…」と思っていただければ幸いです。ドラマ版と合わせて読んでみてください。以上、髙橋でした。

(余談ですが、私がプログラミングをしてみたいと思うようになったきっかけの一つが、この作品のとあるシーンです。こんなん作ってみたいなぁと今でも思います。)

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