ダニーデン22日目
昨日に続いて今朝も深い霧に覆われたダニーデンの朝。ライトを点けノロノロ運転で学校まで向かう。
慣れとは恐ろしいもので、昨日はこの深い霧に驚いたが、今日は子どもたちも運転する夫も慣れたものだ。
今週で3週間の子どもたちの学校生活も終了。今日は長男の授業の様子を見学する。
実は、この数日前にある事件があった。
子どもたちを迎えに学校に行ったとき、ある児童の父親に呼び停められ
”君の家の男の子に僕の娘が怖い思いをさせられた。(殴る真似)今度娘にそんな怖い思いをさせたら承知しない”というようなことを言われた。
先生に相談したところ、たぶん〇〇というクラスで一番小さな女の子の父親だろうと教えてくれた。ただ、長男は殴ってはいないと思う。殴るふりをすしたのではないかと思う、引き続き注意深く様子を見守ると言っていた。
その話を聞いた夜、いつものようにベッドの中で長男と今日一日どんなことがあったのか話をしているときに、女の子に手をあげてはいないかな?と聞いたところ”わからない””忘れた”と言っていた。
クラスでの様子が気になったが、ニュージーランドでは一般的なのか、保護者の授業見学はできないと当初から言われていた。長男が泣いて教室に入れなかった時も授業の様子を見学したいと担任に相談したが”私(担任)を信じていないのか”というようなことを言われ、あきらめていたのだった。
しかし、通学も残り少なくなり、短い時間でいいので見学したいと言ったところ短い時間ならと許可をもらえた。
そこで、この日は長男を教室に送り、そのままクラスの後方から授業の様子を見守る。長男は不思議そうに、しかし嬉しそうにキョロキョロ私たちの方ばかり見ている。
9時から先生が出欠をとり、You Tubeか何かのヒップホップ系ダンスを見ながらのフィットネスタイム。周りの子どもがノリノリで踊りだす中、長男は踊りが苦手なこともあるのだろうが、ほとんど棒立ち。。。
その後、モーニングティータイム。子どもたちは自分たちのリュックサックからお弁当箱に入れたスナックを取り出し、先生が読むお話を聞きながらスナックを食べる。
ここで長男は驚愕の朝弁!スナックどころか、ランチタイム用のサンドイッチとトウモロコシまで食べていた。先生から注意をされていたが、理解できなかったのだろう。先生もお腹が空いているならしょうがないという感じでそれ以上注意することはなかった。お昼ご飯は何を食べているのか心配になった。
その後、先生が簡単な絵のカードを出し、テーマに沿って子どもたちが考え答えさせる授業。今日のテーマは”something change"。木が机になったね。タイプライターはパソコンになったね。地球は今と昔で変わっているね。と先生が絵を見せると生徒が手をあげて自由に発言する。正解は一つではなく、生徒の発想力を伸ばし、自由な発言を促している。
机に座る必要はなく、教科書も使わない。なるほどなかなか面白い授業だと思った。
その後はフリータイムなのか、工作をやる子、パソコンの前に座る子、本を読む子、外遊びする子と分かれた。
長男は仲良くなったボスと一緒にサッカーをしていたが、隣の長女・次女クラスも外遊びに出てきて、長女、次女と一緒に浦山で遊びだした。
児童の自由と個人を尊重し、ダメなことがとても少ない。
クラスには白人の子もいれば中国人、韓国人、インド人、黒人と多種多様な子どもたち。年齢もそれぞれ。年齢が上がれば上のクラスに行くのかと思いきや、その子がそのクラスに残りたければそのまま同じクラスをもう1年やっても良いようだ。
小学校とはそもそも一人一人の子どもの個性に合わせて、その子どもが何に興味を持つか発見するための環境提供の場であると学んだ。
CAPERS@Gerorge st.
授業見学後、学校から歩いて行ける有名なパンケーキカフェ”CAPERS"へ。
学生街らしく大学生が多く、週末は席に座れないほど人気と聞いていたが、平日の午前中だったからか、人もまばらでのんびりと店内でパンケーキをいただく。
フルーツがのったシンプルで甘すぎないパンケーキはとても美味しかった。
しかし、量が多くたべきれないので、お持ち帰りに。
こうして残ったものを無駄なく、どこでも持ち帰れるのも良い。
アラモアナビーチ
子どもたちを迎えに行き、天気が良くなっていたので、昨日お会いしたカップルおススメのアザラシに会える”アラモアナビーチ”へ。
オタゴ半島を挟んで反対側のエリアだ。初めて行くエリアで開拓されたダニーデンの歴史を感じる少し古びた街並みに大きな観光船が停泊していた。
オタゴ湾沿いを海を見ながら30分ほど走ると何もないビーチへの入口に到着。すすきのような長い草が生い茂る丘を越えて浜辺まで歩く。
誰もいなく聞こえるのは草が揺れる音だけ。ここで誰かに殺されても誰にも知られずにしばらく放置されてしまうのではないかと心配になるほど。
子どもたちは砂浜に足をとられながらも誰よりも早くアザラシを発見しようと競争している。本当にいつでもどこでもこの3人は楽しそうだ。
砂の丘を越え、小さな砂浜が広がる入り江に到着するも、動物らしきものは見当たらず。
夫が間違えたかも。と、元の道を戻り、隣のビーチへ。
こちらは駐車場からすぐに広いビーチが広がる。そのビーチを歩いていると道路端に突然寝転ぶアザラシが!
道端の草や石ころと同化していて気づかないほど静かに転がっている。
人間が近づいても逃げる風でもなく、餌でもあげたいほど。子どもたちは間近で見るアザラシに本物?と恐る恐る近づきながら記念撮影した。
家族でモアナプール
この後、子どもたちと約束していたモアナプールへ。
先日一人で訪問した時は気づかなかったが、家族用のファミリーチェンジングルームという部屋があり、家族で着替えをしてシャワーも浴びることができる。
父親一人で男女の子供を連れてきても、女の子を一人で更衣室に入れることはないし、周りの大人も小さな子供がいない方がゆっくり更衣室を使うことができる。
キッズプールの近くにあるので、子供がワチャワチャ騒いでいても気にならなく、とても便利でよいサービスだと思った。ぜひ、日本でも取り入れてほしいサービスだ。
予想通り、子どもたちはこの室内(暖かい)の流れるプール、波の出るプールに大はしゃぎ。帰りたくない。となかなかプールから出なかった。たしかに、プールから見える窓の外の景色はまだまだ明るい。この明るさが子どもたちに時間の感覚をなくしてしまうのだろう。
プールを出たのは20時を過ぎていた。
ようやく夕暮れに染まり始めたダニーデンの街並みを見ながら車で10分ほどの自宅まで。この景色ともあと数日でお別れかと思うと寂しい。
学校帰りに海でアザラシを見て、家族でプール遊び。20時に家に帰るなんて、日本では想像できない。なんて贅沢な時間を過ごしているんだろう。
そして、この国、この地域ではこうしたことが特別でもなんでもなく日常にあるのかもしれない。
そうえいば、長女・次女の通うクラスに中国人の子どもが数名いた。そのうちの一人の女の子のママとお迎え時間によく会い立ち話をするようになっていた。
彼女は上海出身。旦那さんも中国出身で2人の女の子ママだ。一人目の女の子が上海の小学校に入学した際に、勉強勉強の生活。そして厳しい学校のルールに縛られた生活に嫌気がさして、ダニーデンに家族で引っ越したという。
小学校に入って、その厳しい環境から上海ではどんどん無口になっていた女の子はダニーデンの小学校でよく笑い、よく話をする普通の子どもになったと。話してくれた。
そして、オークランドやクライストチャーチなど中国人が多く、その付き合いにも疲れるが、ここダニーデンは中国人も多くなく、仕事も自然も豊かでオタゴ大学がある関係で学習環境も整っているので、このダニーデンでの生活に満足していると言っていたのを思い出す。
子どもは環境で変わる。特に小さなころほど環境が大切なのだと学んだ。
夕ご飯は簡単なパスタで。残った食材も残り数日で使い切らないといけない。