『潮の匂い』
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潮の匂い
愛楽ゆか
○男
●女
暗闇の中、波の音が聞こえる。
重ねて、男と女の笑い声が段々と大きくなりながら聞こえてくる。
ゆっくりと照明F.I.
潮の匂いに満ちた、とある浜辺。
男、女、板付き。男は舞台中央より少し上手に立っている。女は男より斜め下手後方に座っている。女の膝には掛け物がしてある。二人とも舞台正面を向いて会話を楽しんでいる。
男 だから俺は言ってやったんだ。ちんたらしてたら化け物が追いかけてくるってな
女 あなたの話って本当に面白いわ
男 そうかい? 面白いかい?
女 ええ、とても
男 まあな!
女 その化け物って、どこにいるの?
男 え? ……どこにいるって……
女 山? それとも、海?
男 そりゃあ……街だよ
女 街?
男 ああそうそう、街、この街
女 じゃあ、すぐ追いつかれちゃうわね
男 まぁ、俺なんかはたとえ追いつかれても負けねえけどな
女 強いのね
男 ああ、強いのだ
女 どうやって退治するの?
男 え……
女 ぜひ、知りたいわ
男 知りたいか?
女 ええ、あなたの強い姿
男 そうか?
女 ええ!
男 そうか!
女 どうやって退治するの?
男 ちょーっと褒めて、いい顔して、ヘラヘラしていりゃあ、あっちから逃げてくってもんだよ!
女 ……え?
男 あと、意外と甘いモンに目がないから、それで……
女 甘いものでって……
男 ……おう
女 化け物、なのよね?
男 おう
女 本当に?
男 ……いや、本当にすんげぇ顔してんだぜ、うるさいしいつもいつもガミガミキリキリ、
女 ……
男 ……三丁目の酒場のお局店員
女 あぁ、前に働いていたところのね
男 そうだよ、三ヵ月でやめてやった
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舞台を創ること以外にも創作がしたい、これまで舞台で表現してきた物語や世界をもっと知っていただきたい、楽しんでいただきたい……そんな思いから始めたnoteです。 細々と更新しておりますが、少しでも楽しいをお届けできていれば幸いです。 もしよろしければ、サポートよろしくお願いします!