ゴーストライター
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ゴーストライター
愛楽ゆか
・担当
・先生
先生の書斎。
先生の愛用していた机、いす、ペンや原稿など、モノが生活感に溢れて置いてある。
先生、板付き。
先生は立派な絵画を飾るような額を、自分を飾るように持ちキメ ている。つまり、先生は肖像画となっている。
しばらくして、担当、入り。
先生の書斎のあちらこちらを見やり、書斎のあらゆるものを懐かしんでいる。
先生の残した書きかけの原稿を見て、文字をなぞるように触る。そして、先生の肖像画(先生)を見つめる。
その後、客席に向かって改まる。
担当 先生を覚えていらっしゃいますか。……ええ、そうです。覚えていてくださって、ありがとうございます。先生の担当として、お礼申し上げます。なにせ先生は、特定のファンのいない作家ですから……。あなたは、先生のどの作品をお読みになったのですか。……ああ、そうでしたか。他の作品は……そう、ですよね。お読みにはならないですよね。先生は、ミステリから恋愛もの、スポコン、SFファンタジー……その時その時で、全く違う物語を生み出していました
担当、先生の書きかけの原稿を手に取る。
担当 これは、先生の最後の原稿です。先生は、一ヶ月前に突然、この世を去りました。本当に突然に。ああ、それで覚えていてくださった方もいるのかもしれませんね。「天才小説家、謎の突然死」と一時期騒がれていましたから
担当、先生の部屋を見回す。
担当 一ヶ月経った今でも、この先生の書斎に来ると、まだ先生が生きているんじゃないかって、思ってしまうんです。先生は、明るくひょうきんでいい加減でしたが、どんなときでも締め切りだけは守る方でした。何度もここへきて、原稿の催促をしました。なんだかんだ言いながらも、来るたびに先生の原稿は進んでいて。けれど……今は何度来ても、原稿が進むことはありません。そのことに、どうしようもなく悲しい気持ちにさせられます
担当、先生の肖像画を見る。
担当 これは先生の肖像画です。今にも喋りだしそうですね。例えば……
担当、先生が話しそうなことを、先生の真似をしながらいくつか挙げる。
担当 ああ、でも、一番に思いつくのは……先生の口癖、というか、願掛け、のようなものでしょうか。先生はアイディアが詰まると、いつもこういってご自分を鼓舞していたんです
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舞台を創ること以外にも創作がしたい、これまで舞台で表現してきた物語や世界をもっと知っていただきたい、楽しんでいただきたい……そんな思いから始めたnoteです。 細々と更新しておりますが、少しでも楽しいをお届けできていれば幸いです。 もしよろしければ、サポートよろしくお願いします!