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お題リレー⑩ りんによる後編

「あ! ちょっと動いた!」
「うん、3歩、ね」
「でも、動いたでしょ?!」
「3歩で、1mね。……?」
「サキ? どしたの?」
「ね、雨降ってきてない?」
「うっそだー、帰りたいからってそんな……ん?」
「ほら、今ポツって」

まだまだお店らしきものは見えないのに、雨が降ってくるなんて! じーざす!

「この列の人達、みんな傘持ってるっぽいね」

サキの言葉に列から少しはみ出て前を見ると、パッ、パッと色とりどりの傘が開き始めている。なんでよー! 天気予報でも雨なんて言ってなかったのに!

「なんでみんな傘あるのかな? 今朝の予報だと、降水確率0%だったよ? っていうか、アタシたちの後ろ、誰も並ばなくない?」
「ラストワン賞かな?」
「いや、それ意味が違うからね?」

傘、無いのに雨はだんだん強くなる。困ったなぁ……。サキはカバンをゴソゴソしてるけど、折り畳み傘でも持ってるのかな?

「あ! 透明ゴミ袋があった。アヤだけでも被っときなよ。アタシはコートのフードあるし」
「持つべきものは友達だ〜!」

ゴミ袋を頭に掲げて、雨をしのぐ。

「「あ!!!」」

突然前方の行列が霧散し何かが現れた。なんだこれ? アトラクション?

「アヤ……後ろ……」

絞り出すようなサキの声に振り返ると、見慣れた景色がグニャリと歪んでいた。

『やはりここの行列疑似餌が1番ですなぁ』
『えぇえぇ、そうでしょう』

目の前の何かが喋っている。

『じゃあ、この疑似餌を貰って行こうか』
『さすが、お目が高い! 試し釣りで釣れた2匹もお付けします』

「アヤ……」
「……サキ」

『いやしかし、この区域のニンゲンは行列が好きだな』
『この冬のモデルウルトラロング-雨-が覿面なんですよ』
『試し釣りで若いニンゲンのメスが2匹も釣れたんだ、明日からの釣果が楽しみでならんよ』

何を言っているのか、よく分からない。サキも、同じみたい。

『じゃ、また頼むよ』
『ありがとうございました』

〚あとがき〛
はいどうも!りんです。

ゆかによる前編のペアとなる完結編ですね。
作品の全てをハッピーエンドを目指して書くゆかの前半戦を、作品の全てをメリバ(あるいはのバッドエンド)に導きたいわたしが引き継ぐ合作です。

わたしの作風というか、やりたい匂いの空気感に持ち込むまでに文字数かけすぎちまった感が否めないな。とーとつに終わる日常、って感じが、文字の力じゃなくて、文字数の足りなさに出てる感じ。ちくせう。

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創作処 愛染屋
舞台を創ること以外にも創作がしたい、これまで舞台で表現してきた物語や世界をもっと知っていただきたい、楽しんでいただきたい……そんな思いから始めたnoteです。 細々と更新しておりますが、少しでも楽しいをお届けできていれば幸いです。 もしよろしければ、サポートよろしくお願いします!