お題リレー⑦ りんによる後編
『目標が覚醒しました』
『ファーストフェイズ、開始します』
『出力40、目標が音波計測装置に接触』
『直ちにセカンドフェイズへ移行します』
我々は、箱の中の生命体を生かす選択をした。
太陽系第三惑星地球。表面は液体を大量に湛え、窒素を主成分とする大気に覆われた星。
我々がこの星の小さな島に不時着した際、多くの生命体を害してしまった。そこで、幸い命のあった個体を保護することにしたのだ。
『音波の解析終了。言語を有する生命体と断定します』
『言語の解析完了。翻訳装置を作動します』
『サードフェイズへ移行します』
「あーたしさくらんぼ♪」
後半は随分よく歌えたと思う。我ながらナイス順応。
頭痛も引いてきたから、もう一度真っ白な部屋をぐるりと見回す。あまりにも白くて、床までの距離感がよくわからない。というか、この部屋には電気もないのによく見える。そして、ベッドにもテーブルにも、影がない。
冷静になればなるほど、不気味な部屋であることが分かり、ベッドの上で縮こまる。……ふと、天井から微かなモーター音の様なものがき声た気がして、ゆっくりと視線を上げる。
「……傘?」
天井からは、持ち手の〈J〉の部分の欠けたビニール傘が生えてきた。そして、傘が喋りだした。少なくとも私にはそう見えた。何故って、口みたいに動くんだもん。
『聞こえますか?我々は地球外の生命体だ。』
え?は?どういう事?口をついてでたのはたった一言。
「もう一度言って」
〚あとがき〛
はいどうも!りんです。
昨晩のゆかによる前編のペアとなる完結編ですね。
作品の全てをハッピーエンドを目指して書くゆかの前半戦を、作品の全てをメリバ(あるいはのバッドエンド)に導きたいわたしが引き継ぐ合作です。
年末のクリスマス編をハイパー楽しいエンドにしてしまった反動で、なんだか気持ち悪い(=読後感が不快)なエンドにしてみました。
ついったランドで、難航してると言ったのは、文字数との戦いでした。日本はおそらく消滅してるはず。書きたかったけど、削ったのだ。。。
次回もお楽しみに!