お題リレー⑤ りんによる前編
『ああ、空が青い』
海に浮かんだまま、空を見上げる。
キラキラ光る海面、眩しい太陽、白い砂浜。
夏休みって感じ。テトラポットに弾ける波と、色とりどりのビーチパラソル。
世の中浮かれてて、アタシの気持ちも晴れやかだ。
『はーぁ、このまま成仏出来ないもんかなぁ』
何を隠そう、このアタシ、どこをとっても立派なユーレイなのだ!
足?ないない。
髪の毛?黒のロング。
着てるもの?白の和装。
ね?何処からどう見ても立派なユーレイ。
ただ、めちゃくちゃ暇を持て余している。
もう、なんでここでユーレイやってるかも思い出せない。
この世の移り変わりの激しさに目が回って、ウラミツラミ的なサムシングはもう記憶の彼方なんだわ。なのに!何故!成仏出来ないの?!
アタシはただ、海に浮かんで、空と楽しそうな人々を眺め、夜は灯台の光と踊る。時々、悲鳴が聞こえるから、視える人には視えているんだよね。
夏季限定ユーレイってのが、何かのヒントかもしれない。
そう、アタシは夏の記憶しかない。しかも、割と近代の記憶ばかり。
見た目はいにしえの霊って感じだから、若く見積っても大正時代から昭和初期って死に様じゃない?
『……。令和になったよな、最近。アタシ、いつまで海に漂うユーレイやってんのよ。しかも、霊友?的なのいないから、ユーレイのセオリーって知らないし。』
成仏の仕方、どっかにマニュアルないっすかねー?的な話してみたいわ。
第5回
・文字数:600字以内(前後編ともに)
・開始の台詞:『ああ、空が青い』(前編)
・〆の台詞:『ああ、空が青い』(後編)
・テーマ:怪談(前後編ともに)
・アイテム:『灯台』『テトラポット』『お地蔵さん』(前後編あわせて左記を登場させる)
これで、わたしが前編のターンは終了です。
第6回からは、ゆかがお題を考えて前編を書くターンに突入です。
さぁ、楽しみですね!