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『ピタゴラスイッチ(はるくん3歳)』

★絵本シェルフ★

『ピタゴラスイッチ(はるくん3歳)』

ハルキは話し始めがはやくて、1歳になる前に「ママ、パイパイ」みたいなことを言ってたのですが(パパは二の次(笑))、ことば覚えたての最初期に転がり出てきた言葉の中に

「あーごーちーん」

というものがありました。

私「あーごーちん?」

0歳児「あーごーちーん」

しばらく謎でしたが、「あーごーちーん」のときのポーズで何を意味するか判明。「あーごーちーん」とは、「アルゴリズム行進」のことだったのです。

NHKで放映されている『ピタゴラスイッチ』が好きなんです。もうすぐ10歳になる今も、ハルキの録画リストに『ピタゴラスイッチ』が入っています。すごいことだなと思います。

ピタゴラスイッチの中の、『ピタゴラ装置』については「ふつう50~70テイクとります」と語るのは佐藤雅彦さん。

「ピタゴラ装置は、失敗ばかり。まれに成功する。そうしないと見たときに消費されてしまう。何でここがこうなるのか。かなりの確率で掛け算でなるわけですよね。それを続けないと消費されます。だから何度見ても、動物として人間がはらはらするっていうところをやっているんです」


おとといの塾で、中学生2年の女の子2人の時間帯が30分ありました。テスト前だし、どうしようか迷ったけれど、いつもやらないことをやってみようと思い立ち『ピタゴラスイッチうたのCD』をかけてあげました。

すると……予想以上に大喜びでした。

「どの曲が好き?」

私がCDジャケットの裏を見せると……

「もうもう、ぜんぶすき!」

「あ、これ知ってる」

「スーのうた、かわいい!」

そして、アルゴリズム体操を二人でやり始めるのでした。


『もりのおく』

もりのおく くまのおやこ ことりのうた

たにまをわたり りすのすあな

なかよしきょうだい

この曲について佐藤雅彦さんは、茂木健一郎さんとの対談でこう語っていました(音楽が好きな子の参考になるかなと思って引用しておきます)。

ある歌をうたっていたときに、くちびるがすごく気持ちよかったんです。それでこれは何だろうと思ってですね。そしたらある言葉とある言葉の、言葉が一緒だけでなく、音程まで一緒だったんです。するとラクでいいんですね。すごくつらつら、つらつらくるんです……それで歌を作ってみようと思ったんです。ものごとを作るときってこういうことがないと作れないですよね。

佐藤雅彦さんのことを語り出したら大好きすぎて朝になってしまいますが、一つだけ。佐藤雅彦さんは「ひらめき」について

地震に近い。自分の枠を超えたものが動いている感じ。自分が立脚しているものが崩れた感じ。思わず机をおさえてしまう感じ

と表現されていました。佐藤さんが20代のときのことです。

ルービックキューブをカシャカシャやっているときに、急に構造が図になって表れたんです。ひとつカシャってやると事象が変わるわけです。無限というか、有限ですけどかなり多い事象があって。六面ってその中の事象のひとつにすぎない。たまたま現実で六面あっているだけで、価値は同じですよね。そこに行くためにどうしたらよいかっていうのを……ここからここにいくためには、特別なことをやらなくちゃいけなくて現実的には、自分で名付けたp変換とq変換を演算しないとそこにいけないということがわかったんです。まあ、群論です。それが群論なんて知らないときにそれがでたときに……一番大きかったですね

p変換とq変換、pダッシュ、qダッシュと演算をカシャカシャ繰り返しているうちに、六面をそろえることができたそうです。そのインタビューも、YouTube上にあります。

私とハルキはこの動画が好きで、ときどきp変換、q変換とつぶやいてます。サッカーのドリブル習得にも状態遷移図は生かせるとひそかに思っています。

そんなハルキは先日、ルービックキューブを六面そろえられるようになりましたが、手順にそってそろえるのは全然すごくなくて、それはただ面白いだけで、本当にくらくらするのは、イメージがパッとひらめくこと。

ひらめいたイメージに沿って自分のp変換、q変換を発見し、それらを組み合わせて表現することだと思います。そして表現されたら、今度はそこからすぐに飛び出して次に向かう。

毎日授業をやっている。毎日文章を書いている。毎日サッカーをしている。

そういう毎日において、自分が自分を消費しないように、クリエイティブでいるためにはどうしたらよいか。現実的な演算をしつつ、自分の枠を超える瞬間を待つ。

あたまがこんがらがっち。

どっちにすすむ? おそるおそるすすめ! あっちこっちすすめ!


このあと午後から学校に行って、ハルキの『2分の1成人式』に参加します。

下の写真は生まれてから1096日後の写真です。誕生日に『とんとん相撲』をもらってうれしくて仕方がない表情。笑顔が大切って聞くけれど、こんな笑顔でいつもいられたら。

母親のおなかから出てきて、ブルーナさんの毛布にくるまれて。泣くことと眠ることと見つめることしかできなかった赤ちゃんが、1000日経つと、字も読めたり、お相撲のことが好きになったり、ピタゴラ装置で遊んだりできる。

人間の成長ってすごいと思うし、願わくば私もハルキの成長に負けず、ずっとずっと毎日成長したい。




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Jの先生 / 藍澤誠
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