2023 中山大障害ガイド



はじめに

今年も暮れの大一番。この記事は、「大障害を機にジャンプレースもぜひ見て欲しい!!」という気持ちで構成されています。この馬のこんなところがカワイイ!推せる!といった情報は絵描きさんなどが多く挙げられていたりするが、この項は予想的な切り口から書いていく。

熊沢騎手が引退、そして年内で平沢騎手も引退と寂しくなるし、辛抱の時期が来そうだが、そんなタイミングだからこそ、少しでもジャンプレースが盛り上がることを願って。

コースについて

概要

中山の障害4100m。詳しい図(第〇号障害)などはJRAのHPを参照されたし。
スタートは3コーナー側(図の矢印の部分)。障害コースを順回りに2コーナー側まで走ったのち、名物大障害コースを経て逆回り、再度大障害コースを経て順回り。いわゆる八の字型に走ったあと、向こう正面側から順回りに走ってくる。

障害順

障害の順番としては

生垣→水ごう→生垣→生垣→バンケット          ←順回り
→バンケット(大)→大竹柵                 ←大障害
→生垣→バンケット                     ←逆回り
→デカバンケット→大生垣                  ←大障害
→生垣→生垣→バンケット→竹柵→バンケット→生垣     ←順回り

大障害コースにある2つの飛越はもちろん、抜けた先、コーナーを曲がってすぐの2号障害など難関も多い。何よりも大障害コースは年に2回しか使われないので経験のない/浅い馬がほとんど。4100mという距離も相まって、ほかの障害レースの比にならない飛越力・スタミナ等が求められる。

求められるポイントは昨年高田騎手のX内の動画で西谷騎手が語ってくれている。ぜひチェック。


中山GJとの違い

また、春の中山GJとの違いは

・飛越は春より1つ少ない。
・バンケットは1つ多い。
・直線障害なし
・外回りコースではなく4角まで障害コース→直線

というところがあげられる。

データ面から

過去10年では王者2頭、オジュウチョウサンが3勝、アップトゥデイトが1勝2着2回。加工せずこの2頭を含んだデータという点は意識しつつ。

内外・脚質

枠番別 成績
脚質別 成績

スグにコーナーのくるコースではないこと、途中で八の字コースを経由すること、そもそも頭数が多くはならないこと…などが相まって、極端な内外枠の有利不利は見られない。
長丁場で一息にはいかない中山4100m。前に行った馬が有利なのは間違いないものの、他レースよりは脚質で言う先行馬に寄っている。

前走

前走レース別 成績

未勝利から挑んだエイコーンパス(入障戦を0.5差勝利)がキャリア2戦目で2着というケースはあるが、基本は前哨戦か重賞を使ってのローテor直行が基本。以下、主要3レースをピック。

  • 東京HJ

前走東京HJ

東京コースと中山の大障害コース。求められるものも異なり、実際今年のHJでも「GJ好走馬苦戦傾向」と書いたが、こと東京HJ→中山大障害に関しては連動性が高いのは、大障害の前に使うレースとして最もレベルが高くなりやすいからだろう。
その中で前走3着以下になって大障害で好走した3頭はオジュウチョウサン&マイネルレオーネのGJ馬券内2頭&同4着のタイセイドリーム。

  • 秋陽JS

前走秋陽JS

こちらもコースとしては東京HJと同じ東京の3110mで行われる。今年は同ローテの出走はないので軽く触れるが、昨年勝ったニシノデイジーは前走秋陽JS2着からだったものの前走勝ち馬の好走が出ていない。ただし、シンキングダンサーの2年連続4着はあり。

  • イルミネーションJS

前走イルミネーションJS

中山で12月頭に行われ、結果としてもリンクする傾向にあるわかりやすい前哨戦だが、今年は出走馬なし。昨年はミッキーメテオ、一昨年が大障害3着になるレオビヨンドが勝ったレース。今年の勝者ロックユーは春を目指すとのこと。素質光る1頭で、来春要注目だ。

騎手

騎手別 成績(過去10年)

障害レースは騎手の比重が大きい。騎手が馬を作るという障害ゆえの特色、超長距離を走らせる技術、走るだけでなく飛越もあることによる騎手の心理的な部分などなど様々な理由がある。

オジュウチョウサンの主戦石神騎手が4勝(JG1通算10勝)、五十嵐騎手は13.22年の覇者(JG1通算3勝)。ほかでいうと、直近の勝利が09年にはさかのぼるがJG1を4勝しているのが西谷騎手、森騎手はJG1通算2勝だが複勝率60%というさすがの高打率。

いわゆる上位騎手のなかでは、今年引退の平沢騎手は、意外なことにJG1の勝利がない。ラストチャンスを飾れるか。

出走予定馬各馬&鞍上の雑感

ここからは、枠確定前ではあるが出走予定馬の雑感を書き連ねていく。あくまでも現時点の雑感で、枠や当日の天気(馬場)、オッズによっては評価が変わってくる。なお、特別登録からケンホファヴァルトが回避。

エコロデュエル

同レースに出走するハーツシンフォニーの半弟。障害キャリア5戦で3勝、気難しい分大事に入っているが、その分末の爆発力は素晴らしく、前走京都JSは飛び上がり飛び降り台の処理でかなりモタついたが、末脚一閃で勝利。草野騎手を何度も振り落とす気難しさとパワフルさがあるが、鞍上もその素質をかねてから高く評価し続けている1頭。初のバンケット、大障害コースをどうこなすかが鍵。4歳だけにまだまだ上昇局面。草野騎手はJG1ではここまで好走なし。好調な今年、飛躍を。

ギガバッケン

初のJG1出走も、福島・中山で出走を重ねている。差し届きやすい福島で逃げて勝利しているようにタフなタイプで、平地ではダ2100mの勝利もある。500キロをゆうに超える大型馬だが、体重の増減が激しく結果にも現れているし、気難しさもある。前走福島のOPは向こう正面で位置を落としたが最後に盛り返し。今回は当時からの継続騎乗で上野騎手。ここまでJG1は5回挑んで最低人気×4、ブービー人気×1。好走にはスムーズに出していけることが条件となるか

ジューンベロシティ

春のGJは後方からの競馬だったが終いの脚を見せており、平地では短い距離を走っていたロードカナロア産駒とはいえある程度融通が効くタイプか。とはいえスピード質の高い馬で、飛越もどちらかというと低め。前走は馬場も響いたし、勝負どころの仕掛け遅れもあいまっての4着。2走前の阪神JSでは、得意条件で逃げる実力馬ホッコーメヴィウスを捉えて2馬身差の勝利と高く評価できるし打点も高い。良馬場濃厚となれば巻き返しも十二分に。鞍上はベテラン西谷騎手。久々の美酒なるか。

ダイシンクローバー

昨冬から使うごとに実力をつけ、春のGJでも3着、続く京都HJは貫録勝ち。秋2戦は一息の結果も、中山替わり、距離延長はこの馬にとってもプラスとなるか。大障害をこなせる飛越のうまさもある。競馬の上手さを活かせる枠・展開になれば。鞍上は春は乗れなかったものの本来お手馬にしていた高田騎手。復活なるか。

ニシノデイジー

ゲート、飛越、道中の折り合い…と大障害に挑むにあたってクリアすべき点を多く抱えているものの、このレースのディフェンディングチャンピオンであるように、すべてがかみ合った時の最大打点はこのメンバーでも随一。昨年の大障害、そして今春の阪神SJ程度に走れば十分勝ち負け。前走から勝手知ったる五十嵐騎手に手戻りしているが、前回は斤量や馬場の影響も大きかっただろう。平地力は言わずもがななので、良馬場でスピード質のレースを見込むと(かなりアテにはしづらいが)巻き返してきてもおかしくはない。

ネビーイーム

長欠明けから小牧加矢太騎手とコンビを組んで③①②③着で初重賞の阪神JSを好走、平地未勝利馬ながら障害では掲示板を外していない安定感の持ち主。平地力ではやや劣るだけにギアチェンジを求められる展開は不得手で、ここまでの競馬と同様前目につけて立ち回りを活かしたいタイプ。初の中山、初の大障害コースだが立ち回りを活かし。2年目小牧加矢太騎手、減量がなくなり(重賞ではもともと効かないが)我慢の局面。一気に打破したい。

ハーツシンフォニー

エコロデュエルの半兄。先週の阪神OPを除外となってのスライドとなり、飛越の課題などもあるが、2走前はある程度出していった中、不利がありつつも3着。末は比較的安定しているだけに、展開向けば。鞍上は初コンビ蓑島騎手にスイッチ。難しい馬だけに乗り替わりは気になるが、2010年に10番人気バシケーンでの勝利実績も。

ビレッジイーグル

GJ7着から、平地を1回叩いての参戦。前哨戦→G1ローテで、これで平地を挟んで10戦連続の中山障害。大江原騎手とずっとコンビを組んでいるだけに解像度は高いだろうし、先行力も魅力。前哨戦では好走するが本番ではそこそこに…という競馬が続いているだけに、同型もいる今回どう乗ってくるか。もう一押し効けば。

マイネルヴァッサー

この馬の狙いどころは「襷×小野寺」…という評価はいまだ不変。4着だった清秋JSは中山だが非襷だった。しっかり飛越してくるタイプで、10歳での初参戦になるが大障害コースにそこまで悪いイメージは持たない。ただ年齢や使って使っての臨戦過程(狙ってという感じではない)はどうなのかという印象で、相手関係としても一気の強化。ローカル巧者小野寺騎手だが今年は安定感あり。

マイネルグロン

長欠明けからOP→OP→東京HJと3連勝して殴り込む5歳馬。年齢やキャリアを考えるとまだまだ上昇余地もありそうだし、今回は叩き2戦目の狙ったローテ。3連勝の内容も、いずれも先行してさらに伸び脚を見せており、特に東京HJは2頭のJG1勝ち馬やホッコーメヴィウス、ニューツーリズム、ジューンベロシティらを抑えて(パフォーマンスを下げた馬が多かったのもあるが)の勝利と評価できる。テンはあまり早いタイプではなく押し上げていく形の競馬。飛越は無難で、初の大障害コースへの対応や、平地未勝利馬らしくスピード競馬になった際にパフォーマンスをどこまでパフォーマンスを発揮できるかが今回のポイント。コースを勝手知ったる石神騎手で、おそらく上位人気しそうな1頭。

マイネルレオーネ

齢11歳の古豪。JG1は③③着で適性面は全く問題なし。春も阪神SJを叩いて…という感じだったが屈腱炎で回避。師曰く「馬が若い」らしい。幸いにも京都JSを1回使って臨めるのは好材料。その前回にしても飛越は良好だったし、年齢的な上積みは流石にないだろうが、11歳の過去最高体重(といっても418キロなのだが…)を叩いての上昇は見込める。そして11歳にして近走比較的位置をとっている。難波騎手が離脱する格好となってしまったが、もともと乗っていてGJ3着もある平沢騎手が空いていた。平沢騎手は今年で引退。2年連続で引退するジョッキーを背に挑む大障害。障害のトップジョッキーながらJG1タイトルには届いていなかった平沢騎手、最後のチャンスを飾れるか。

ヤップヤップヤップ

前走福島のOPを2着。OPとしてはそれなりにメンバーはそろっていた印象だったが、長く脚を伸ばせるという持ち味を存分に活かしての好走だった。OP未勝利馬だけにハードルは高くなるが、中山コース自体は未勝利を好時計で勝利。ロンスパで前崩れる展開になれば。入障からずっと江田騎手とのコンビ。鞍上はJG1勝利はないがオープンガーデンとのコンビで3度の圏内。


予想

◎マイネルグロン
〇マイネルレオーネ
▲ジューンベロイティ
☆ニシノデイジー
△②⑤⑦

コンセプト

マイネルグロンは血統的に距離の裏付けがあるし、前走道悪で最後しっかりと飛んで、東京のホッコーメヴィウスを差し切ったのは好評価。マイネルレオーネは11歳だが叩いて上昇見込める。本線はここ。
ジューンベロシティは距離延長対応カギも堅実。ニシノデイジーもすべてかみ合えば。全人馬無事に。



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