藍の不安定な美しさ
こんにちは、藍屋テロワールです。
今回は、藍染の藍色の不安定さについて話したいと思います。
藍染の藍色は不安定
藍染の藍色はとても不安定な色です。
藍染の藍色は染め上げた瞬間が一番綺麗な藍色ではありません。
たくさん着て、たくさん洗うことで、より美しい藍色へと変化していきます。
一方で、日に当たるところで管理をすると日焼けをしたり、染めた後に手をかけてあげないと灰汁が浮いてきてしまうことがあります。
藍色の持つその不安定さにどこか温かさを感じ、服にとっての劣化や消耗こそが藍色を美しくする。藍染をした藍色は着る人によって育つ藍色なのです。
藍色の不安定さは、あなたが藍色と寄り添うことで最大の魅力となります。
藍の染料液は不安定
「不安定」それは藍の染料液についても言えます。
藍の染料液は、染料を溶かせば完成するわけではありません。
僕たちの藍の染料液は、➀蒅(すくも:藍の染料)、➁灰汁、➂貝灰、➃ふすま(小麦の皮)という天然の素材だけで発酵させる天然灰汁発酵建てという方法で染料液を作っています。一度染料液にすると、色が出なくなるまで、(染める量にもよるが)約一年ほど使います。
最初は濃い藍色に染まりますが、調子がいい時や、悪い時を経て、最後は淡い空のような色となり、その一生を終えていきます。
藍の染料液は不安定でいつも違った表情を見せてくれます。
一日の終わりに必ず撹拌といって液をかき混ぜてあげ、たくさん染めた日には微生物達のえさとなる、ふすまを与え、調子が悪そうな日には還元の手助けをする貝灰を与え、頑張ってもらう日もあります。
そんな不安定な藍とコミュニケーションをとりながら、微生物たちの力を借りて藍色を引き出していきます。
藍の染料づくりは不安定
そんな染料液のもととなる蒅づくりも非常に不安定です。
乾燥させた藍の葉を発酵させることで、蒅(すくも)は生まれます。
始まりは10月の最初の大安、それから週に一回行われる切り返しという作業を約16週間、1月の終わり頃まで行います。
切り返しは、藍の葉にまんべんなく水を打ち、熊手という鍬のような物で切り空気に触れさせる作業のことです。
水をうち空気に触れさせ発酵し、温度が下がってくれば、また切り返しを行う。その繰り返しの中で、水の量が多ければ腐敗へ進み、水が少なければ完全に発酵しない、そんな不安定さの中で蒅は生まれます。
藍の栽培は不安定
蒅の原料となる藍の栽培は自然と寄り添いながら行います。
藍の栽培は3月に種を蒔き、4月に植え付けを行い、梅雨時期の6月中頃から9月終わりにかけて刈り取りを行います。
雨を望む日には降ってはくれず、刈り取りの準備を始めれば雨は降り、自然は身勝手で不安定なものです。
そんな、不安定な自然と共存しながらこの藍色は生まれるのです。
あなたに寄り添い完成する色
このように藍染の藍色の不安定さは、その生い立ちからも考えることができます。
しかし、この不安定さこそが、この藍色を美しくしているのではないでしょうか。
不安定で、不完全な藍色は、あなたに寄り添い、初めて本当の美しさを発揮します。
藍が生まれながらに持つ、揺らぎや、不完全さ、曖昧さ。
それらを感じるのはいつもあなたです。
染め上げた瞬間が完璧ではないからこそ、あなたに寄り添い、美しくなっていく藍色を、そうして生まれるあなたと服との関係性を、僕たちは届けたい。
紺屋|koyaというサービスを始めました。
1月31日まで送料無料となっているので、ぜひこの機会に僕たちの藍色を楽しんでみてください。