2021年度の寝せ込みが始まりました
こんにちは、藍屋テロワールの湯浅です。
先日の10月8日は大安の日ということで今年収穫した乾燥葉を発酵させ染料となる蒅にするための寝せ込みという作業を行いました。
そして一週間後の10月15日には切り返しと呼ばれる作業を行いました。
今回は、その様子をお伝えしていきたいと思います。
藍染に使われる染料、蒅(すくも)は藍の乾燥葉を発酵させることで出来上がります。
発酵をさせるために藍の乾燥葉を仕込むことを寝せ込みと呼びます。
寝せ込みは約18週間かけて行われ、その間毎週、切り返しという、水分と空気を補給する作業を行い発酵を促進させます。
そうして完成するのが1月の中旬。
そんな土づくりから始まる染料づくり、最後の大事な工程が始まりました。
寝せ込み初日は約300キロの乾燥葉を仕込みました。
今年は約700キロくらいの収量があり、一回の寝せ込みではすべて入りきらないので初日に半分くらい仕込み、あとは次の週から100キロほどずつに分けて入れていきます。
乾燥した葉に馴染むようにまんべんなく水をかけ、混ぜていきます。
水分は少ないと発酵せず、多いと腐敗してしまうため絶妙な加減を手で触って確かめながら、山を作っていきます。
藍の葉を発酵させる場所のことを藍の寝床と呼ぶのですが
寝せ込みから10日目の今日も藍の寝床からはすでに発酵の香りがしてきました。
いまは例えるならルートビアやサロンパスのような独特な香りがほんのりしています。これが醗酵していくにしたがって香りがさらにきつくなり、最終的には甘い香りまでしてきます。
また古くから寝床には藍の神様が宿ると言われ作業を終えると今年もいい蒅ができますようにと藍神様を奉ります。
次の週15日には切り返しという作業を行います。
一週間ぶりの藍たちと、再会し追加の乾燥葉を入れ、全体に水分を与えながら混ぜていきます。
切り返しには普段はなかなか見かけない道具も使われたりします。
下の画像は熊手という道具を使っている様子で、この大きな鍬のようなものを使って山を切り崩していきます。
これは、羽と呼び、大きなヘラのようなもので寝床から綺麗に藍をはがしていきます。
寝床の地面は、瓦に使われるような土を固めて作っており、絶妙な水分の加減を行ってくれます。この地面を削らないように優しく羽で返していきます。
最後に綺麗に山を整えると今度は、藁を編んだむしろが出てきます。
これは、ふとんと呼んでいて文字通り、藍たちの発酵を寒さから守るようにかけてあげます。今週は6枚かけて、冬に連れてふとんの枚数も増えていきます。
今日見てみると、寝せ込みから10日目にして藍たちの温度が60度ほどとなっっていました。
これが冬には70度を超えてくるようになってきます。
そうして今週の切り返しを終えることができました。
来週まで見守ることしかできない、だからこそ、人は神に無事を祈るのかもしれません。