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「エモい」のエスプレッソ
最近よく聞く「エモい」という言葉。
今日はそんな「エモい」の波が一気に押し寄せてきた。秋は哀愁とかも感じるしきっとそういう季節なのだと思う。記録に残しておく。
散歩をしていたら風がかなり強く吹いた。風が強いと思ったその時、ふと今年の夏に行ったフジロックフェスティバル2019の思い出が風とともに心の中に入ってきた。
あの雨の混じった芝生の匂い。
雨が猛烈な勢いで降ってきて、いつも賑わっているはずのご飯を食べる場所にはほとんど人がいなくなっている。温まりたいと思い、売店でうどんを買う。そのうどんにも容赦なく降り注ぐ雨。手で必死に覆っても意味はなく、ええいこうなったら早く食べてしまえ。と思いながら、薄味でぬるくなったうどんと汁を一気に飲む。後から少し香ったゆずの香り。
寒さに凍えながら屋根のある会場で雨宿りをした後、池のようになった水溜まりを「水溜まりを水溜まりだとも思わない人」などと言いながら永遠歩いた先にあった幻想のような世界。
幻想の世界では音楽が流れていて、ギンビスは銀座ビスケットの略だとか、ごぼうを買ったとかそんな緩い歌を歌っていた。
後方では大雨をもろともせずに炎が燃えたぎるキャンプファイヤー。凍えそうな体を火に寄せて温まった。火は暖かい。
宿に帰り、靴を脱ぐと革製のトレッキングシューズだったため、雨を吸って片足2キロはあったんじゃないかというくらい重かったことに気付く。それで1日2万歩以上歩いていた。
北斗の拳かよ。と友達に突っ込まれる。
シャワーを浴びて体の芯まで温まるとすごく幸せな気持ちになり思わず、いいないいな人間っていいなと歌ってしまった。暖かい布団で眠れるって人間っていいな。とすごく思った。あの歌にあれほど共感したことはない。
次の日には何事もなかったかのように太陽が差し込み、音楽が流れ始め、再び皆んなが元気に踊り出す。
トレッキングシューズだけは次の日も濡れたままだった。