これからあたしたち、どうなるのかな
高校生活の終わりに
クリープハイプに出会ったわたしは
今年、29歳になった。
高校の終わりなんて、恋愛真っ只中だったけれど、とてもまっすぐな恋で、
クリープハイプが歌う、
キケンな恋愛やちょっと疲れた社会の話を、
まだ理解できるほど大人ではなかった。
「共感」というよりも、
「刺激」や「あこがれ」で聴いていた。
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その出会いから10年
わたしはたくさんの恋と、人生経験をした。
長く付き合ったり、別れたり、恋愛じゃないセックスもして、
期待して裏切られたり、裏切ったり、
どうしようもなく選べなかったり、すがったり、ダメなところも含め全部が好きな人に出会ったり、将来を話をしたり、諦めたり、
静かに受け入れたり。
ほんっっとうに色んなことを経験して、
いつのまにか、
今までわからなかった歌詞も、その意味も、
全部 わかるようになってしまっていた。
10年って長い。
私は、クリープハイプの音楽と共に
恋をして、仕事をして、なんとか生きてきた。
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ラブホテルを聴くと、
付き合っている人がいながら、
彼に会っていた頃の自分を思い出す。
『一回位減るもんでもないし』
『夏のせいにしたらいい それでも駄目なら君のせいにしてもいい』
これを聴くと、今してることなんてどうってことないから、と自分に言い聞かせることができて、罪悪感を少しだけ消すことができた。
憂、燦々を聴くと、
付き合っていた人と別れて、
関係を持っていた彼と付き合うことになった当時を思い出す。
彼氏になったのに、ずっと片思いみたいな状態だった、あの頃の自分を。
電車に揺られるデートの帰り道、
楽しかったはずなのに心が全然埋まらなくて、虚しかった。
『これからあたしたちどうなるのかな
今どうでもいい事考えてたでしょ』
『連れて行ってあげるから こっちにおいでよ
ダーリン
離さないでいてくれるなら いつでも許してあげるから』
離さないでいてくれるなら、私を一番にしておいてくれるなら、許してあげる。
それくらい、
駄目なところも含めて全部が、好きだった。
身も蓋もない水槽を聴くと、
仕事で疲れすぎて、彼氏ともうまくいかなくて、金曜の夜寂しくて、
ストレス発散で行くヒトカラを思い出す。
男性の声で歌われる高音ほど歌いづらいものはなくて、全然うまくは歌えないけれど、
すっきりするまで自由に叫べる、あの場所が嬉しい。
『あぁもう忘れたはずなのに 落とした過去が溢れ出して 今更になって思い出した
今更になって思い出したんだよ』
『熱帯魚に向かって どうしても最後のピース がはまらないんだとか言ってるんだろうね
ばーか ばーか 』
ばーか とか バイト先のクソが とか
普段言えない強い言葉を歌詞に入れてくれてありがとう。
たくさん叫ばせてもらったな。
しょうもな を聴くと、
見せかけの優しさに騙されて、
すごく浮気症の彼と半年くらいで別れた時の、悲しいとは違う、怒りとか呆れみたいな感情を思い出す。
むしゃくしゃして、当時遊んでいた男の子を急に呼びだしたり、一人でカラオケに行ったりして、
「私ってばかだな...」と、自分に怒り、だれかに届いてくれよって思って聴いていた。
『もう何もかも振り切るスピードで
意味ないこの音の連続で
今は世間じゃなくてあんたに お前にてめーに用がある』
世間に怒ってるんじゃなくて、てめーに、てめーに怒ってる。傷つけられたよ。
でも、最低すぎて、傷ついたとも思いたくねーよ。
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ここ5年くらいは、
色んなことが巻き起こりすぎて、
どうしようもない日々を、たくさん助けてもらった。
眠れない日が度々あった頃、深夜に
クリープハイプを聴きながら、長い散歩をよくしていた。
でも最近は、よく眠れるし、
夜の散歩も、健康のための健やかなウォーキングに変わった。
音楽に浸かって泣く日々は一旦過ぎ去ったけれど
でもやっぱり、今でも私のそばにはクリープハイプがいる。
浮いたり沈んだりする人生だけど、
いつも付き合ってくれてありがとう。
泣きたくなるほど嬉しい日々を
これから先もクリープハイプと共に生きていく。
間違っても笑ってよ
クリープハイプも、それと共に歩んできた私の人生も、だいすき!!!!