21-2.ニューハーフの人との出会い②
僕とKさんがタクシーを降りたのは前と同じ繁華街。週末の影響なのか真っ直ぐ歩くことも難しいくらいの人の多さでした。僕は人混みではぐれたくなくて、人から見えないようにKさんの手を握って、Kさんに隠れるように歩きました。でも今日は前に来たときと向かう方向が違いました。いわゆるゲイの人が集まるところじゃなくて、キャバクラとかラウンジとか風俗の案内所が集まるところ。歩いているとキャッチ(勧誘)のお兄さんたちが
「何をお探しですか!?」
なんて声をかけてきます。Kさんは「ごめんね、行くところ決まってるから…(笑)」っていつもの笑顔でちゃんと答えるんです。僕はもっとKさんと喋りたいのに、いちいち話しかけてくるキャッチのお兄さんがちょっとだけ憎く感じました。そんな僕に気付いたのか、Kさんは手を少し強く握り返して僕の顔を見ると、優しく笑って「もう少しだからね」って言ってくれました。
しばらくそんなやりとりを繰り返しながら歩くと、Kさんが「ほら、着いたよ」と指を差しました。でもそこにあった大きな扉の入り口からは続々と人が出てきます。『あれ、もう閉店なのかな?』と思って見てたらKさんに、「たい、もう入れるみたいだからおいで」と言われて僕はKさんの後ろについて恐る恐る中へ入りました。
中に入ってみると、そこにあったのは大きなステージ。そのステージに向かって段差があって、格段毎に少し高めのテーブルとイスが並んでいました。席に案内されるとボーイさんとKさんが飲み物やおつまみの注文をやり取りしていました。僕は『何が始まるんだろう?』と思いながら、カーテンのかかったままのステージを眺めてました。すると…
「Kさん、いらっしゃいませ!」
少しハスキーな女性の声が聞こえました。僕が振り返った先に見たのは、背の大きなモデルさんみたいにキレイなお姉さんでした。
僕はお気持ちだけでも十分嬉しいのです。読んでくださってありがとうございます🥰