25-3.パトロンさんとの出会い③
高級料理店を満喫すると、Oさんと出会ったゲイバーに行きました。ママが
「あらぁ、私なんか誘われたこともないのにアンタもうデートしてるの?Oさん、私も誘って欲しいわ〜」
と僕を睨みながら言ってて、結構本気で僕を敵視されているのが分かりました。『熊っぽいオジサンに恨まれるのは怖いな…』と思っていたら、Oさんが
「いや、実は僕もこんなに若い子が相手してくれるなんて思ってなかったからね…宝くじが当たったみたいだよ(笑)」
なんて言って流してくれました。それでもママはまだ怒っていたのか、僕のお酒だけ濃い目に作るので僕はますます酔っていきました。
夕方に雨が降ったからかこの日のお客さんは少なく、0時を回る頃にOさんと僕とママの3人で別のお店に行こうっていう話になりました。
向かった先はすぐ近くの年輩のママがやってるお店でした。そこもお客さんはいなくて、僕以外の3人は顔見知りのようです。
(ところでゲイバーと言えば基本的には男性オンリーな空間なわけですが、ママ(オジサン)の手料理がつき出しのお店も結構あります。そして大体がとっても美味しいです。デブ専の店だと大盛りのパスタやカレー、年輩の方の店だと煮物とかおでん、ゲイバーのママはもはやシェフなのです。)
「今日は煮魚なんだけど、お客さん少ないから好きなところ食べてね〜」
そう言って出されたものを見て、正直僕は驚きました。大きなブリが半身丸ごと姿のまま煮物になっていたんです。僕も料理は一通りできる方なので、『この大きさの魚を煮るのにどんなお鍋を使ったんだろう…?』なんてことが頭をよぎりました。
「若い子からどうぞー」
と言われ、僕は無意識にお腹の真ん中の方を選ぼうとした時、前の店のママが
「アンタね、そういうのはご馳走になってる人間は遠慮するもんでしょ!」
ってかなり本気のトーンで怒りました。でもOさんは
「たいくんが好きなものを食べればいいよ!僕は年寄りだから背中の方が好きだし(笑)」
とフォローをしてくれました。この時確信したんですが、僕は正直この熊みたいなオジサンが邪魔で仕方ありませんでした。ゲイの世界をそれなりに経験して僕は僕なりに可愛い子でありたいのに、『ブスの年寄りが文句ばっかり言ってきて迷惑だなぁ…』くらい思いました。
そうです、僕は調子に乗っていたんです。
Oさんの好意とブスの敵意に挟まれながらも、僕はお酒を飲んで『とりあえず楽しかったらいいかな』と思いながら…先のことを考えず、ただただ楽しむことに全力を尽くしていました。
僕はお気持ちだけでも十分嬉しいのです。読んでくださってありがとうございます🥰