25-7.パトロンさんとの出会い⑦
朝目が覚めると、何かいい匂いがしました。昨晩はとても酔っていたのと、二日酔いが酷いのとで僕は今自分がどこにいるかイマイチ分かりませんでした。ただ体を起こすと、そういえば服を着ていないことに気付いたことで思い出しました。
『あぁ、そういえばOさんの家に来たんだ…』
携帯を見ると朝の10時過ぎ。新着メールが一件、Kさんから来ていました。「おはよう。昨日はどうだった?今日は家にいるから暇だったらまた連絡して」僕はなんて返そうか少し考えて、とりあえず後にしようと思い携帯を閉じました。それから服を着たいので風呂場に行こうと思いました。ただお尻が少し痛くて、いつもより歩きにくい気がします。『他人から見たら分かるかな…?』と少し気にしながら、服を探しました。その時、キッチンではOさんが朝ごはんを作っていました。
「たいくん、おはよう。ゆっくり寝れた?もうすぐご飯ができるからシャワーでも浴びておいで」
そう言われて僕はシャワーを浴びることになりました。頭が痛いからぬるめのお湯でシャワーを済ませて服を着ると、それからリビングに戻りました。テーブルの上には一人暮らしのオジサンが作ったとは思えないくらい、ちゃんとした朝ごはんが用意されていました。焼き魚、卵焼き、漬物、味噌汁…僕がビックリしているとOさんが、「無理に食べなくてもいいからね(笑)好きなものだけ食べてね」と言ってご飯をよそってくれました。
『家で食べるお母さんの料理みたいに家庭的な味でとっても美味しい!』
僕はまたビックリして、夢中で食べていました。それを見たOさんは
「慌てなくても大丈夫だよ(笑)僕は昼から少し仕事に行くけどたいくんはどうする?昨日の場所の方まで一緒に行こうか?」
そう言われて、僕は『はい』と答えました。朝ごはんを食べてOさんが支度をしてる間に、僕は食器を洗いました。それから支度が終わったOさんと玄関でキスをして、一緒に駅に向かいました。扉の外は見たことのない風景が広がっていて、電車も初めて乗る路線でした。
それから30分ほど経つと、見慣れた街まで戻ってきました。「じゃあ僕は仕事に行くから気を付けて帰ってね!またデートしようね」とOさんが言いました。僕は笑顔を作って『はい。昨日、今日と色々ご馳走様でした。また遊んでください』と言って手を振ると、Oさんは仕事場に向かいました。
僕はその後なんだかKさんと会う気になれなくて、家に帰る方向の電車に乗りました。メールで『おはようございます。今日は疲れたので帰ってゆっくりします!また連絡しますね』と返信すると、「わかったよ。お疲れ様(笑)」とすぐメールが返って来ました。返事を読むと僕は携帯を閉じて、電車の外の景色をぼーっと眺めながら昨日からのことを思い出していました。
僕はお気持ちだけでも十分嬉しいのです。読んでくださってありがとうございます🥰