⑤ホモって言われたけど何のこと!?
あれから僕とSくんは、定期的に2人でトイレに行くようになりました。正確には、僕はSくんに頼まれてついて行ってただけですが。その度に彼のお尻とちんちんを見ては、少しどきどきしていました。そしてなぜだか、初恋のTさんの存在は僕の中で薄れつつありました。
そんなある日、2人でトイレに入るところを目撃した同級生からこんなことを言われました。
「たいとSってホモなの?」
僕はよく分からない言葉を自分に向けられて困惑してしまいました。だから『よく分からない』とだけ返しました。今だったらただの連れションだとでも言えそうなものですが、よく分からないことを聞かれた僕の頭はパニックで、それ以上の言葉が出てきませんでした。
「そうなんだ!」
そう言って去っていく同級生の後ろ姿を見つめながら、僕の中に一つモヤモヤが残りました。
『ホモって何だろう…?』
僕はホモなんて言葉を初めて聞いたし、全く意味が分かりませんでした。でもSくんと僕のことをホモだと思ってる人がいるんだと知りました。僕は数日後、またSくんに頼まれて一緒にトイレに向かっているとき、聞いてみました。
『この前僕とSくんはホモなの?って聞かれたんだけど、Sくんはホモって何か分かる?』
するとSくんは顔を真っ赤にして、下を向きました。トイレに着くと、いままで一緒に入っていたトイレの個室に1人で入って行きました。そして鍵をかけると、扉の向こうからこう言いました。
「たい、ごめん。お尻はもう見なくていいから、ウンコが終わるまでそこにいてくれないかな…」
僕は『うん。』とだけ返事をして、Sくんが怒ってるのか悲しんでるのか分からないまま、彼のウンコが終わるのを待ちました。用を足したSくんは「ありがとう」と言って、またどこかへ行ってしまいました。
この日を境に、僕がSくんからトイレに誘われることはなくなりました。そしてなぜだか会話することも減ってしまいましたし、ちんちんを見てドキドキすることもなくなってしまいました。
僕はお気持ちだけでも十分嬉しいのです。読んでくださってありがとうございます🥰