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【備忘録】古代メキシコ展


今年の春に国立国際美術館で開催されていた「特別展 古代メキシコ マヤ、アステカ、テオティワカン」に行ってきたので、その備忘録をまとめてみた。

先史時代、日本では信仰の祭事用途として埴輪や土偶が作られたように、古代メキシコにおいても神々への信仰の対象物として、もしくは天界と地上の人々をつなぐ媒体として、様々な土器、動物や人を模した彫刻が作られてきた。

それらには太陽や雨などを信仰し、神として祀ったメキシコ人の自然への敬意、畏怖が込められている。

この展示では、15世紀から16世紀にスペインに侵攻されるまで三千年以上にわたり繁栄したメキシコ三大古代文明の「マヤ文明」「アステカ文明」「テオティワカン」に焦点を当て、高度な知能を持っていた彼らが儀礼や生贄の際に使用した関連作品を展示。

メキシコ考古学と民族資料の宝庫として名高いメキシコ国立人類学博物館をはじめその他主要博物館から厳選された140件もの出土品を紹介されていた。

都市伝説やオカルト好きの私個人としては、美術作品としての美しさへの興味は勿論のこと、オカルト的な目線からもとても興味深いところがあった。

都市伝説やオカルトの世界でよく言われる話では、819日周期サイクルからなるマヤ暦を作ったマヤ文明。彼らと宇宙には何らの繋がりがあり、宇宙船に乗ったマヤ人の石板なども見つかっている。

パレンケ遺跡
パカル王の石棺のレリーフ(レプリカ)
※こちらは本展とは無関係

そんな彼らにとって最も重要な食料がトウモロコシであったが、このトウモロコシは唯一地球上の植物の遺伝子や成長過程が異なり、祖先となる野生植物がない。本来子孫を残す為の種を散布する機能がない非常に不思議な植物とされていることから、都市伝説では地球外からやってきたものとも囁かれているが、それに対して私は完全に信じている訳ではなく、一つの浪漫、そうだったら素敵だなというくらいの心持ちでいる…。


またトウモロコシを崇拝する彼らは、頭蓋骨を変形させコーンヘッドと呼ばれる後頭部が不自然に伸びた頭を作る習慣があった。 

今回の展示作品のなかにも、そのような形状をした人形がいくつもあって、本当に実在した文化だったのだと感動したのを覚えている。

球技をする人の土偶
マヤ文明、600~950年 ハイナ出土
メキシコ国立人類学博物館蔵
©Secretaría de Cultura-INAH-MEX. Archivo Digital de las Colecciones del Museo Nacional de Antropología. INAH-CANON
チャクモール像
マヤ文明、900〜1100年 チチェン・イツァ、ツォンパントリ出土 ユカタン地方人類学博物館 カントン宮殿蔵

これはMr.都市伝説こと関暁夫さんがテレビ番組のやりすぎ都市伝説にてメキシコに取材に行かれた際にも取り上げていた、生贄の儀式に使うもの。この台の上に心臓を乗せて神様に捧げていた。


その中でもこの展覧会の至宝として、

マヤ時代の代表的な都市国家を築いた「パカル王」の王妃とみられる女性が発掘当時に身につけていた「赤の女王のマスク」が異彩を放っていた。

赤の女王のマスク・冠・首飾

マヤ文明、7世紀後半
パレンケ、13号神殿出土
アルベルト・ルス・ルイリエ パレンケ遺跡博物館蔵
©Secretaría de Cultura-INAH-MEX. Foto: Michel Zabé

墓跡の中からこんな豪華な祭事品が出て来た当時を想像すると、どれほど感動し、先人たちの並々ならぬ強い信仰心に打ちのめされたことだろう。

死のディスクの石彫 

テオティワカン文明、300~550年
テオティワカン、太陽のピラミッド、太陽の広場出土
メキシコ国立人類学博物館蔵
©Secretaría de Cultura-INAH-MEX. Archivo Digital de las Colecciones del Museo Nacional de Antropología. INAH-CANON

こちらは《死のディスク》と呼ばれる石彫。メキシコにおいて太陽は神聖なものとして神格化されており、これは太陽が地平線に沈んだ夜の太陽の姿だとされている。直径1.5mと成人女性の背丈ほどあった。

トニナ石彫171 
マヤ文明、727年頃 トニナ、アクロポリス、水の宮殿出土 メキシコ国立人類学博物館蔵

戦士2人が中央のゴムボールを挟み、球技をする場面。衣装がむちゃくちゃカッコいい。

小座像 
テオティワカン文明、250~300年 
テオティワカン、月のピラミッド、埋葬墓3出土 テオティワカン考古学ゾーン蔵
鷲わしの戦士像
アステカ文明、1469~86年
テンプロ・マヨール、鷲の家出土
テンプロ・マヨール博物館蔵
©Secretaría de Cultura-INAH-MEX. Museo del Templo Mayor

まだまだ未消化な感じではあったが、その日は2件目の美術館巡りという事もあり、ささっと見て帰路についた。

今後もメキシコ文明には、文化芸術とオカルト・都市伝説の分野、双方の角度から観察していく事になりそうだ。

2024.8/14

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