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Startup Weekend鳥栖vol.1

はじめに

10/18-20の日程で行われたStartup Weekend(以下、SW)鳥栖vol.1にてファシリテーターとして務めさせていただきました。

SWとは?といったご説明は先だってのSWファシリテーター就任所信表明内で記載しておりますので、そちらをご覧いただければ幸いです。

また、当日の様子など、公式レポートはオーガナイザーにより作成予定ですので、こちらは私目線からのレポート、裏話に書かせていただきます。
このくだり、ぼちぼち恒例になってましたので、過去の裏話を観たい方は下記マガジンよりどうぞ。

佐賀県初開催SW、九州全県体制へ

開催経緯

全国津々浦々で開催されているSWですが、九州内で唯一開催履歴がなかったのが佐賀県でした。そんな中、佐賀での開催きっかけとなったのは今年3月に開催されたSW久留米。

ここでリードオーガナイザーを務めた北村さんが鳥栖高校出身、そして参加者の中にはネスト鳥栖の運営メンバーや佐賀県内で働いている方も居たことから、その場でSW鳥栖開催に向けて動くことが決定しました。

会場はSW初二郎系ラーメン店舗内!

会場はSW久留米でジャッジを務めていただいた株式会社夢を語れ 西岡代表が鳥栖で展開する「笑顔が見たいから」というセカンドブランドの店舗内イベントスペースを借りられることに。
夢を語れといえばラーメン二郎インスパイア系で、全国で修行生が3年期間限定で店舗を出すことで有名なお店であり、「笑顔が見たいから」でも「夢の一歩本店」として二郎インスパイア系を提供されています。
「二郎系ラーメン店内でイベント…?」と思われる方も多いかもしれません。私も思いました。
実際には、元々ハーレーダビッドソンの店舗を居抜きで借りほとんどがDIYで改修されたという店舗はとても広く、ラーメンとうどんが楽しめるフードコードのようになっています。
そのうえ、西岡代表の「気軽にライブも開きたい人にも提供できるように」という想いを元に残りのスペースをライブ会場のようにリノベされています。このリノベには地元の学生も関わっていたというのも興味深いです。

会場の様子。奥にはステージもあり、人数が増えればもう少しグループも増やせるくらいの広さ

その様なご縁もあり、いよいよ佐賀県内初となるSW鳥栖の開催を迎えました。

九州内のSWコミュニティ状況

ちなみに、九州内他県のSWコミュニティは以下の通りです(私が知る限り)。

<福岡県>
SW北九州、SW関門、SW久留米、SW田川(若干休止中)、SW福岡(休止中?)
<大分県>
SW別府(休止中)
<熊本県>
SW熊本、SW人吉球磨
<長崎>
SW長崎佐世保、SW長与
<宮崎>
SW宮崎、SW都城(2025/1初開催)
<鹿児島>
SW鹿児島

実質的には大分では活動がストップしているものの、アトツギ関連の人たちと一緒に出来たらなぁと妄想していたりします。ご興味がある方は連絡お待ちしております。

長崎や熊本は県域のキャラバン方式でやっているコミュニティだけでなく、ローカルに根差したコミュニティも出来てきたので、草の根的な広がりが嬉しい限りです。

SW鳥栖を振り返って

交通の要所だからこその多様な参加者(?)

一般的にはSWは地域内での集客がベースとなるので、地域内からの参加者が多くなる傾向があるのですが、今回のSW鳥栖には地域外からの参加者も多かったのが印象的でした。
東京のスポンサー企業からの参加者も2名いらっしゃいましたし、過去のSW参加(周南)がきっかけでその方の同僚で新規事業担当部署の方も広島から来られていたり。オーガナイザーも鹿児島から参加するというフッ軽っぷりを発揮していました。
地元からも鳥栖出身/在住の方だったり、佐賀大学の学生も参加していました。後で知ったのですが、佐賀大学は学園祭期間中だったようですが、そちらに行かずSWに来るのは割とクレイジーだなぁと思います(褒めてる)。

公共交通機関で来にくい場所だからこそ想いが強い人が集まる(?)

さらに言えば、会場となった「笑顔が見たいから」は、最寄りのJR在来線からは徒歩30分以上、新幹線駅からも徒歩25分、バスはあるものの本数は多くない、という状況だったため、「駅前だから気軽に行こう」という感じではなく、このイベントのために、という意思を持たなければ来難い場所。駐車場は100台以上とめられるキャパシティがあるので、車社会でいえば来難いわけではないものの、遠方からの参加メンバーはやはり苦労したようです。
そんな事情があるからかもしれませんが、初日ピッチ後の投票においても敗者復活に名乗り出る人も複数いた結果、ほぼ半数がアイデアオーナーとしてチーム形成に挑戦することに。
補足すると、SWでは60秒ピッチを経て投票で一定数足切りされたうえで残った人だけがアイデアオーナーとしてチーム形成に挑戦できる仕組みになっています。そして自分以外の2人、つまりチームとしては3人以上が最小構成になるのです。
半数がアイデアオーナーの場合は、単純に割り振っても1チーム2人になり、チームとしては成立しません。このため、チーム形成は白熱してなかなか決まらずに、結果としてはアイデアが混ざりながら3チームへと収れんしました。
私がファシリテーターの時の投票足切りでは、概ね「誰かが諦めないとチームとしてまとまらない人数」を残します。例えば参加者が20人の場合、残すアイデアは7つ。7チーム作るには21人必要になるので、どう頑張っても成立し難いのです。今回はさらにそこへ敗者復活を望む人が複数出たのでより一層白熱した、というわけです。
ちなみに他地域ではこの時点でオーガナイザーが参加者に口説かれてチーム入りするというケースも発生しました。今回は元々オーガナイザーもなるべく多めに参加者側にまわっていただいていたので口説く相手がいなかった、というのもありましたが。

交通の要所だからこそのAll Action

SWといえば、外へ出て顧客の声を実際に聞くことを強く求められます。
結局のところチームメンバーでいくら話していても、本当の顧客の声は直接聞くしかなく、そこから課題を発見するしかないからです。
今回も2日目の午前中から1チームが佐賀大学までヒアリングへ行き、課題の発見を進めていました。そして2日目午後のコーチング後はなんと会場に残っている参加者が2人だけ、という状況に。

SWに参加した経験がある方なら想像がつくかと思いますが、2日目のコーチング後というのは一番モチベーションが下がる時間です。なので、通例ではチーム混在で夕食を食べ、「辛いのは自分達だけじゃないんだ」というのを知り、美味しい食事の力も借りて再び前を向くようなフェーズなのですが、コーチングにもめげず全チーム外へ出ていたのは、逆に周りに何もなく、参加者の多くは車で来ていたから、という条件がそろっていたからなのだと思います。また、2チームにおいてはヒアリング先として博多に向かったというのは驚きでした。「どうせ外に出るならたくさん人がいる場所へ」ということで鳥栖市街地よりも博多に行ったという側面もあるかもしれません。
(課題的に博多を選ぶ合理性があったチームもありましたが)

行動の量がアイデアの質を高める

今回は全国で夢を集めまくる西岡さんや、トーマツベンチャーサポートを立ち上げ全国の起業家支援を強力に推進する香月さん、ご自身がシリアルアントレプレナーでもあり全国のSWでコーチ/ジャッジを務めていただいている漆畑さん、そして佐賀県庁(正確には関連団体へ出向中)の松雪さんにジャッジを務めていただきました。
いずれも数多くのアイデアに触れ続けてきた方ですが、その方々をして「今回のアイデアは質が高い」と言わしめたほど、今回の最終ピッチはどのチームも良かったと思います。(3日間で出して検証したアイデアとしてであり、ツッコミどころは当然あるにせよ)
これは間違いなく顧客の声を数多く聞き、コーチのフィードバックにもきちんと向き合ったからではないかと思う次第です。
単純に外へ行けばよい、という話ではありませんが、百聞は一見に如かず、というのは間違いありません。

SWの目的は地域毎のアントレプレナーコミュニティを形成する事

今回の懇親会で目立ったのは、ジャッジやコーチの方々から積極的にフィードバックを得る参加者の姿。そして次回は逆にプレーヤーとして参加したいというコーチジャッジの声でした。
SWをやるたびに思うのですが、SWという場はいわばロールプレイングゲームのようなもので、たまたま今回は参加者という役回り、一方こちらはコーチジャッジという役回り、といった形のロールを担っているに過ぎません。
実際、以前SW北九州では参加者という立場で関わった方が今回コーチとして関わっていただきましたし、そういった循環が生まれ、支え合えるのがSWの意義ではないかと思う次第です。
Startup Weekendという名前だからといって起業しなければならない、というわけではなく、新しいコトへ挑戦するアントレプレナーを地域で発掘し、育て、支え合うコミュニティの形成こそSWの目的なのだと、今回も改めて感じました。

次のAction

今回のSW鳥栖でもそうだったのですが、SWには構造的な弱点があります。
それは「共感性の高い公共的問題がテーマに選ばれがち」という点です。いくらファシリテーション内で「馬鹿げていないアイデアには見込みがない」と伝えていても、結局は投票で選ばれたアイデアが中心となってチームが形成されるので、尖ったアイデアには票が集まりにくい傾向があります。
そして、最低2名集めなければならないという制約上、浮きこぼれてしまうようなアイデアも発生します。でも現実ではその様なアイデアこそ取り組む意義があるケースも多々あります(そうでない場合ももちろんあります)。
これは残念ながら地方開催のSWでは共通する課題だと感じています。
例えば参加者が多い場合には、そのようなアイデアにでも興味を持つ人はいるかもしれません。そしてそういったアイデアに興味を持つ人は都会の方が多いのは傾向的にありそう、という気がこれまでの経験上仮説としてあります。

なので、地方開催も推進していきつつ、都会での開催も推進していきたいと思う次第です。
具体的には、福岡市の隣町、新宮町でもSW開催に向けて動くことが出来たらよいなと思っています。
ちょうど知人が挑戦する人にとって優しい拠点をつくられたこともあり、その場が核となり多様な人があつまるSWの開催を目論みたいと考えています。
そのための第一歩として、10/27にSWについて語る場を設けます。
SW北九州や久留米、そして今回の鳥栖といった各地で運営に関わるメンバーによる座談会を予定していますので、ご興味のある方はぜひご参加くださいませ。

案の定今回も長くなりましたがこの辺で。
またどこかでお会いできれば幸いです。

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糸川郁己
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