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Startup Weekend審査基準解説その②~Execution and Design


はじめに

前回に引き続き、Startup Weekendの審査基準について解説していきたいと思います。今回は二つ目の審査基準「Execution and Design」すなわち「実行とデザイン」についてです。

一つ目の審査基準「Validation」すなわち「検証」については下記記事をご参照ください。

また、SWって何?という方は、先だってのファシリテーター就任所信表明内で記載しておりますので、そちらをご覧いただければ幸いです。

審査基準②~Execution and Design~

ということで、二つ目の審査基準について。実行とデザインという単語自体がもしかしたらちょっとわかりにくいかもしれません。イベント内ではNo talk, All actionという標語を用いながら行動を促しているものの、評価できる行動とそうでないものがある、という事と捉えられようかと思います。
どういうことか、もう少しブレイクダウンしていきましょう。

項目①~Do you have an mvp or prototype?~

項目の一つ目は、「MVPかプロトタイプを持っているか?」

MVPもプロトタイプもイベント初参加者、特にスタートアップ文化にこれまで触れてこられてこなかった方にとってはいきなりよく分からない言葉だと思います。
それゆえに、私がファシリテーターを行う際にはこの概念の解説には時間をかけるようにしています。(SWイベントはTeachingの場ではないとは言っても、さすがに馴染みない概念をいきなり分かれ、というのも無茶ですし)

とはいえ、この概念の説明を行うのが本記事の趣旨ではないので、ここはよくまとめていただいている下記ページをご覧いただければ幸いです。

…読んできましたかね?読んできた前提で進めます(笑)
正直、上記の記事もスタートアップ文化になじみのない方や、これまで新規事業開発に関わられたことのない方にとっては腑に落ちない部分も多いかもしれませんが、そういうものなんだ、という事で一旦飲み込んでください。あるいは個別にご連絡いただければ講座等をご提供させていただきます。

話を戻して。
SWイベントで評価対象となるのは、きちんとMVPとは何かということを理解しつつ、そのMVPを活用して事業検証を行ったかどうか。
審査基準①にも通じているわけです。
逆説的にはなりますが、検証を行っていない製品・サービス画面などを最終発表で示したところで、それはMVPとして機能していないため、評価対象にはならないわけです。プロトタイプとしては評価できる可能性はありますが。だからこそ”実行”なのです。
この事からも審査基準を解説したとしても必勝法とは言えず、結局のところはイベント内での行動で示すしかないわけです。

項目②~How functional is your technical demo?~

項目二つ目はそのまま直訳すると「技術デモはどの程度機能しますか?」です。
これも誤解されがちな点な気がしますが、いわゆるWeb画面のデモを作ればよい、という事ではなく、提供しようとしているソリューション(製品・サービス)がきちんと、ソリューション足り得ているかという事を示す必要があります。
つまり、取り組んでいる課題に対する解決としてきちんと機能するデモンストレーションを実現できているか?という事です。
なにも無理やりWeb画面やITアプリケーションに落とし込む必要はありません。サービスの紹介であれば、寸劇でもいいわけです。(実際、全国では寸劇でのデモ事例も多数あります)
そのデモを通じて、発表を聞く側が具体的なソリューションのイメージを持つことが出来るかどうかです。

項目③~Design matters!Is your product easy to use?~

項目なのに文章かよ、と私も初めて見たときは思いました。日本語訳すると「デザインは重要です。あなたの製品は使いやすいですか?」ですね。

正直なところ、「デザイン」という言葉は非常に幅広い意味を持つので、審査基準の項目としては曖昧過ぎるとは思うものの、ここはいわゆる「UI/UXが適切に設計されているか」ということと読み替えて良いと思います。

UI/UXについては例によって他の記事への参照とさせていただきます。

UI/UXはWebサイトやアプリの話と思われる方も多いかもしれませんが、本来は製品・サービスなど幅広く適用可能な概念です。
サービスを検討する際にも、顧客との接点、そして関係性をどう設計していくかは大事な事柄で、いつ・誰に・どう提供するのかが適切かどうかが本項目にあたります。これは口で言うは易し、行うは難しで、何を誰に提供しようとしているか考え抜くことになります。(もちろん、考えるだけでなく、それが実現可能かを検証することも併せて必要です)

終わりに

二つ目の審査基準、「実行とデザイン」、いかがでしたでしょうか?

簡単にいえば「手を使って作ったか」ですが、そう単純なものでもないことを感じていただけたのではないでしょうか。

No talk, All actionは行動を促すものではありつつも、空回りとはまた違うわけです。空回りしていても成長はありません。むしろ行動自体に疲弊して次の行動を阻害するという逆効果すらあります。
「走りながら考える」という耳障りの良い言葉をもとに考えることを放棄することがままありますが、本当に必要なのは「思考と実践の高速反復」だったりするわけです。

これまでSWに参加されたことがある方に向けてはご自身のイベント内の行動が「実行」として適切なものであったかを振り返るための一助となればと思います。
この記事についてもファシリテーターの同志からのツッコミなども大歓迎ですので、もっとこういう伝え方したら?などのご連絡お待ちしています。

それでは残りの審査基準「ビジネスモデル」についてもお楽しみに。

追記

審査基準の三つ目、Business Modelについても記載してます。こちらも併せてご覧くださいませ。


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