【前編】会計・税務だけでなく、そのひとの生き方をサポートしたい。休職をきっかけに見つけた目的、そしてそこに込められた思いとは。/公認会計士・税理士 矢野裕紀様
インタビューシリーズでは、バックオフィスの専門家や、新しいことに取り組む方達からお話をお伺いし、日々の業務のヒントになるようなノウハウや考えを記事として共有します。
本記事では、会計ソフトfreeeの導入支援や経理分野の支援をされている矢野裕紀様にお話を伺いました。
前編となる本記事では、矢野様の現在のお取り組みや今後目指している方向についてお伺いしました。
◆プロフィール
矢野裕紀(やのゆうき)/公認会計士・税理士・クラウド会計ソフトfreee認定アドバイザー
有限責任あずさ監査法人に6年間勤務後、埼玉県の津島会計事務所に勤務。2017年に完全独立し、現在では、freeeを中心としたクラウドツールの導入・運用サポートを手がけるアカウンティングサポート株式会社、経理・税務を土台にフリーランスのビジネスを全面サポートする”やのナビ”を手がける矢野会計事務所、自己研鑽の場づくり事業を手がけるつながるサポート株式会社の3事業に取り組んでいる。
Twitterアカウント @yano_cchi
ー本日はどうぞお願いします!本題に入る前に、以前から気になっていたことをお伺いしても宜しいでしょうか。
はい、どうぞ!
ーTwitterでツイートされている、#妻への貢ぎ物シリーズ・#妻への貢ぎ物実践委員会が気になっていたのですが・・・。
ふふ。あれは、週に一回妻に貢ぎ物をするというキャンペーンです。何かを買ったり、外食したり、だいたい毎週水曜日に実施中です。
きっかけは、知人のジュエリーショップの女性経営者の方に、女性に喜んでもらうためにはどうしたら良いかというお話を伺ったことでして。一点豪華主義も嬉しいけど、常日頃から気にかけてもらえている方が安心するよとお教えいただいたんですよね。
それで、分かりましたと、その日に颯爽とお花を買って帰ったら、逆に怪しまれてしまって・・・。
ーそれは・・・確かに疑ってしまいますね。
そうなんですよ・・・何したの?と聞かれてしまって。それで、これは習慣化しないと怪しまれるなと。以来、2年以上続けていて、それで今週はお寿司に行ってきたんですけれども。
※取材当時のツイートです。
女性からは人気なんですけれど、男性からは不人気な企画なんですよね・・・。委員会と言いつつ、委員長の僕ひとりだけで活動しています!
ー夫を勧誘してみます!
ぜひぜひ。そして何かあったら、多少大げさに喜んでください!「来週は何かな?楽しみんだな」なんて言ったりして。
ー良いですね。今日から実践します!
ーさて、本題に入りますが、まずはご経歴についてお教えください。
2008年に公認会計士試験に合格しまして、その年にあずさ監査法人に非常勤として入社、翌年4月に正職員となりました。監査法人では、建設業やインフラ系企業の監査チームを歴任し、2012年には部署内でも指折りでハードだと噂されているチームに異動になりました。
事業部から期待していただいての異動かと思うのですが、ここが中々大変でしたね。
ーお忙しかったのですね・・・。
そうですね、長時間労働が常になってしまっていました。最終的には体調を崩し、2014年11月に一ヶ月間休職してしまいました。
今振り返ると、長時間労働は「させられていた」のではなく、環境を言い訳に自分から選んでいたことだったんだなと。
会計士は専門職・手に職がつくという印象があり、監査法人に入社したのですが、どうしたら手に職がつけられるのか?そもそも手に職がつくとはどんな状態なのか、といったことが明確でないまま日々を過ごしてしまっていたんですよね。
それから、「社会にとって意義のある仕事がしたい、社会のために頑張るぞ」という漠然とした聞こえのいい目標は持っていたのですが、具体的にどうしたら実現できるのか?社会の役に立つって何だろうといった、明確なイメージも持てていませんでした。
目標が曖昧だから、自信も持てなかった。それで、周囲から見て「頑張っている」という印象を持ってもらえそうな、「たくさん働く」ということに走ってしまっていたのかなと思います。
ー休職中はどのように過ごされていたのですか?
休職前半はほぼ引きこもり状態でしたが、気持ちも落ち着いてからは、この先自分がどのように生きていきたいのか、を考えていました。その結果、組織に頼らず甘えず主体的に生きていくことができるような人間になりたい、という目標に至りました。
それから、リハビリの一環で(笑)社外のコミュニティに参加していましたね。
一ヶ月と比較的早期の復職が叶ったのは、そこで繋がった方たちから良い影響を頂いたからということもあります。その中には、会社を運営している方やフリーランスとして独立して仕事をしている方もいらっしゃったのですが、自分の力でそんなスモールビジネスを営んでいる方々をサポートできないかと考えて、税理士としてならそのような仕事ができるかも!と考え始めるようになりました。
ー休職期間でご自身を見つめ直し、また活動の幅を広げるきっかけにもなったのですね!
はい、今では必要な期間だったと捉えています。それから2015年に監査法人を退職し、休職中にたくさん相談に乗ってくれた義父を頼って津島会計事務所で勤務開始しました。
義父には自身で仕事を広げていくことにも賛同してもらえたので、同時に矢野会計事務所を開設しました。津島会計で税務の仕事に携わりつつ、中小企業の経理マネージャーのサポート役や、freeeを活用し中小企業の非常勤経理マネージャーのお声がけを頂いていました。
また、会計分野にとらわれず、フリーランス・零細企業の様々なサポートや自己研鑽、キャリアプランを考えるセミナーやミニスクールの開催にもチャレンジしました。この活動は、2017年9月からつながるサポート株式会社として事業化もしています。
ーその後、矢野会計事務所として独立されたのですね。
はい、2017年6月のことでした。より主体的に生きたいという思いが強まったこと、また、自分の事業をサポートしてくれる仲間の存在をきっかけにして、公認会計士・税理士事務所として完全独立しました。
それから、この頃から顧問税理士として携わるのではなく、freeeの導入・運用のみをサポートするサービスを開始しました。理解ある先輩税理士の力をお借りして「ダブル顧問」という形でチャレンジし始めました。
この取組は、アカウンティングサポート株式会社に繋がっていて、2019年6月から事業化しています。
―当時のご経験や思いが今に繋がっていらっしゃるのですね!freeeの導入・運用をサポートされているアカウンティングサポート株式会社では、どのようなクライアントがいらっしゃるのでしょうか?
アカウンティングサポートでは、売上300億円・経理担当者も10人程いるような規模の企業さんから、一人社長やフリーランスといったスモールビジネスの方まで、大小様々な規模のクライアントさんをサポートしています。
僕の場合、税理士の方から「クライアントの経理の業務フローを整えてほしい」と紹介を頂くことが多いんですが、この時点ではクライアントさん側に、そうする必要があるという認識が無い状態がほとんどです。
社長や事業主さんは「数字のことは税理士に任せておけば大丈夫」と考えていて、バックオフィスについては知識や関心が無かったり・・・経理専任担当がいないというクライアントも少なくありません。
ーそのような場合、経理の業務フローを整備するにあたっては、どうコミュニケーションを取られていますか?
やりたいことに時間を使うために、やるべき事務作業をなるべく効率化しましょう、というアプローチをします。それから、目標を数字で見える化したり、進捗を数字で計測できるようになったら、自信を持って経営判断できるようになりませんか?という話もします。そのためにも、スピーディに、効率的に実績値を確認できるような体制にしましょうと。
つまり、”バックオフィスの効率化”と”経営状況の見える化”ですね。この二つを軸にして、業務フロー整備のためのコミュニケーションを取っています。
ーなるほど。インハウスの経理担当者が業務効率化や改善を進める場合にも、使えそうなコミュニケーション術ですね。
ところで、画面※の奥にfreeeロゴのTシャツが見えますが・・・。
※取材当時、オンラインで実施しました。
あれ!良く気がつきましたね!(←わざとらしく)僕、とにかくfreeeが好きなんですよ!元々は、2014年くらいから趣味で使い始めたのですけれど。
ー趣味でクラウド会計ソフトを使っておられたのですか?
当時はまだ監査法人に勤務していたので、仕事で使う場面は無かったんです。自分の家計簿をfreeeでつけ始めた、というのが始まりでしたね。
職業病的なところがあるのですが、家計簿を複式簿記でつけていたんです。ただ、当初はExcelでやっていて、ものすごく手間が掛かっていました。クレジットカードの利用状況だったり、銀行の入出金を打ち込むのとかがもう大変で。そんな時に、オンラインバンクやクレジットカードの明細を自動連携できるfreeeという会計システムがあるらしい、ということを知りました。
それで、これは面白そうだなと思い、使い始めたんです。
ーそうなんですか!個人の家計簿に使っていらっしゃる方がいるとは、freee社の方も驚かれるかもしれませんね。ところで、なぜ家計簿を複式簿記でつけていらっしゃったのですか?
監査法人で会計監査に従事していた時、経理担当者の業務内容の詳細や気持ちが想像がつかなかったんです。なので、自分でも生きた数字で経理的な体験をする必要があるなと思っていて。それで、自分の家計簿を複式簿記でつけ始めたのがきっかけですね。ちなみに、純粋な家計簿機能はないので、この使い方はオススメしません!笑
ーまずはご自身で実践・体験し、理解することを心がけておられたのですね。アカウンティングサポートでの導入支援では、他の会計システムを使うことはありますか?
いや、他のものは使っていないです。ご要望があってもお受けしていません。
ー予算やシステム上の理由でしょうか?
いや、そこはもう僕のこだわりです!freeeはアップデートや新機能のリリースが激しいので、それをキャッチアップして、いかにクライアントさんの業務に活用するかを考えることに時間を使いたいからです。また、他の業務系クラウドソフトとの連携パターンも多いので、その研究にも時間を割きたいです。クライアントさんにとっては、じっくり検討している時間もないので、自分が様々なケースを想定して先んじて引き出しを増やすことを心がけています。
ーfreeeへの愛が溢れていますね!
ふふ。本質的にはクライアントさんが実現したいことのサポートをしていきたい、そのためにfreeeを活用できそうなら自分の出番だ!という意識ですね。なぜfreeeが好きかと聞かれたら、僕としては、ゲームのような感覚が持てるところだと答えています。会計ソフトに仕訳を入力することは、作業的になりがちなのですが、freeeはつないだり、消したり、見つけたりと、ゲームをクリアしていくような感覚があって、楽しいんですよね。
ー会計のゲーミフィケーションですね。私もfreeeを使ってみたくなりました!そういえば、以前に矢野様のTwitterで矢野会計事務所から新しいサービスをリリース予定と拝見しました。どういったサービスでしょうか?
フリーランスの方をサポートする、「やのナビ」というサービスです。3年ほど前からテスト的に提供していたのですが、サポートの型や方向性も定まってきたので、今年の秋か冬くらいに本格リリースをしようかなと。
※サービス紹介資料のドラフトを共有いただきました!
僕自身も、現状の自分の生き方をフリーランスだととらえています。。フリーランスだと、経理や確定申告だけではなくて企画や広報、総務など、会社であれば複数の部署で分業すること、フロント活動からバックオフィスまでを全て一人でやっていかないといけません。
「やのナビ」では、僕自身のフリーランスとしてのチャレンジや実体験を活かし、クライアントであるフリーランスの方が仕事を通じて実現したいことと、その実現方法を、一緒に考えながらゴールまでナビゲートするようなサポートを目指しています。
ーてっきり会計に関するサービスかと思っていましたが、コーチングのようですね。
その通りで、ベースにはコーチングの考えがあります。コンサルティングよりは、コーチング的な関わり方をしながら、ときには僕の体験を元にネタ提供もしますよ、というようなサービスです。
ー実際には、どのように進めていくのでしょうか。
一番最初は、その方がどのような想いをもって仕事をしているのか?どのような課題を抱えているのか?についてお伺いします。お話を伺いながら、想いや課題を見える化するために、固い言葉で言えば事業計画を一緒に作ります。
ただ、事業計画と聞くと難しく思われる方も多いので、「お仕事プラン」と表現することもありますね。5年後どうなりたいですか?というような、右脳的なアプローチといいますか、その人がなりたい姿を共有してもらい、僕がそれを数字や言葉で具体的に表現します。
ー例えば、「5年後は有名なライターになりたい」というようなざっくりした夢であれば・・・。
「その頃にはどんな記事を書きたいですか?」「どんな人にインタビューしたいですか?」「どんなメディアに載りたいですか」「そのためには年間何本の記事執筆が必要ですか?」という問を通じて、叶えたい姿の詳細を思い描くところがスタートですね!
ー「やのナビ」のリリースには、フリーランスの方が増えているような時代背景も関係しているのでしょうか?
いえ、結果的に時代に合ったサービスになるのかもしれませんが、意識したわけでは無いです。リリースの背景にあるのは、やはり僕の実体験ですね。
せっかくフリーランスとして独立しているのに、思った通りに事が進まないのは勿体ないと思っていて。それに、僕自分もフリーランスとして挑戦してきたことが山ほどあるので、考え方や便利なツールのネタ提供なんかがしたいし、できると思っています。幸いにも税理士資格も持っているので、確定申告のサポートもできますしね。
ー現在会社勤めで、今後独立したいという方も対象でしょうか?
そうですね!大げさに言えば、その人の生き方のサポートができたら良いなと思っています。
人によってゴールは違いますから、最初の打ち合わせでなりたい姿を描けたことで満足される方もいれば、定期的に自分の方向性を正すようなー健康診断的に利用したいという方もいます。同じように、現在フリーランスでない方であっても、その方の状況に応じて「やのナビ」を使っていただければ嬉しいです。
ーなるほど、仕事を通じて自己実現をしたいという方に最適なのですね!
そうですね、自己実現は大きなキーワードです。
そしてその手段が仕事であり、フリーランスとして生きていくことであるなら、税金からビジネスのフレームワークまでサポートしてくれる存在がいたほうが絶対に良い。僕がそうでありたいなという思いもあります。
ー税理士、会計士でありビジネス経験も豊富な矢野様がいらっしゃれば、経験が浅いフリーランスの方も一安心ですよね!「やのナビ」のリリースが楽しみです。
依頼してくださった方に、安心して自分の想いを実現して頂けるようがんばります!
ーつながるサポートについてですが、サービスサイトを拝見するとアカウンティングサポート・矢野会計事務所と毛色がぜんぜん違うように思えます。どのようなきっかけではじめられたのでしょうか。
そうですよね、つながるサポート・・・「つなサポ」では場づくり事業をしているので、一見全く関連がないように見えますよね。でも、これも実は監査法人時代に感じていたことや、矢野会計事務所の開業時の思いと通じているんです。
先ほどお伝えしたように、休職を機に監査法人を辞め、税理士として再出発したのは、苦労しながらも主体的にがんばっているスモールビジネスの方々のお役に立てるようになりたかったから。ただ、そんな方々をサポートする中で、記帳代行や申告代行だけのサポートに限界も感じるようになりました。
経営状態を数値化すれば、課題の抽出まではできるけど、実際にその課題を解決するようなお手伝いまでできるようになりたい、売上や利益が上がるためのサポートをしたいと考えて、顧問税理士という立場ながら色々と挑戦してみました。
ー例えばどのようなことをされていたのでしょうか?
例えば、レストランのメニューを作ったりですね。
あ、いや、僕は料理が得意ではないので、メニューの中身ではなく「メニュー表」ですけれど。クリエイターに頼むほどの余裕がないという相談を受けたら、じゃあちょっとやってみましょうか・・・お店にお邪魔して、スマホで料理の写真を取ってパワーポイントを駆使して自作したり。
それから、講師業をされている方からは、自分のイベントを実施したいと相談を受けたこともありました。コンテンツはあるけれど、募集ページやLPページの作成、参加者の管理やお金のやり取りをどうしたら良いかがわからないと。そのときには、事務局的なことをお手伝いしたりして・・・そんな税金や会計以外のことも好きでやっていたんです。
ーそこまでカバーされていたのですね!とてもお忙しそうです。
そうなんですよね・・・かなり忙しかったですし、当時は採算度外視でしたね・・・。いろいろチャレンジする中で、僕自身がすべてをサポートをするには限界があるので、その分野のプロと、困っている人を繋げる場づくりにも本気で取り組みたいと思うようになり、会社を設立しました。
ただ単に、むやみやたらにつなぐということはしたくないので、自分がじっくりヒアリングをしてお悩みの根本を理解できた方と、僕自身の事業を助けてくれた方とつなぐ、両者のことを深く理解した上でおつなぎするということを大事にしています。
ーご自身の経験を還元したい、という思いがあったのですね。毎年秋に実施されている「つなサポフェスタ」では、何をされているのでしょうか。
「一歩踏み出す勇気をお贈りする」をテーマに開催しています。設立1年目には、50人くらいの方が参加してくれました。僕に一歩踏み出す勇気をくれたシンガーソングライターさんと一緒に開催し、音楽とコラボしたワークショップをやりました。(2年目はコンサル業が忙しすぎて開催できませんでした・・・。)
3年目の今年は、11月ぶっ通しでオンラインで開催します!、もちろんテーマは、観てくれた方に「一歩踏み出す勇気をお贈りする」です!
ーつなサポへは、どのような方がご参加されるのでしょうか?
そうですね、自己研鑽をしたり、交流の幅を広げたい、だけどなかなか勇気が出ないという方に参加してほしいと思っています。。楽しそうだから参加してみようかな、くらいの温度感で来て頂けると。
ほんのちょっとの勇気を出して第一歩を踏み出して参加してくれた人に、第二歩、第三歩を踏み出すエネルギーやきっかけを提供する、ということがつなサポの考えとしてあります。なので、勇気は出しつつ、あまり構えずに参加していただきたいです。
ーお写真を拝見すると、とても明るくオープンな雰囲気に思えたので、なかなか勇気が出ない方が向いているというのは意外でした。
もちろん、そんなポリシーでの活動を積極的に応援してくれる活発な方も参加してくれているので!僕自身、勤めている時は外の世界に積極的に出ていくタイプじゃなくて・・・。自分に自信がなくて、外の世界と関わるのがあまり得意ではなかったので、そういう人の気持ちには共感できるんですよ。
いわゆるガチガチのビジネス交流会みたいなものよりは、もうすこしゆるい雰囲気で、ナチュラルにすっと入っていけるような穏やかな雰囲気でありつつ、自己研鑽もできるようなコミュニティやイベントを心がけています。
ー矢野様が外との関わりが苦手だった、ということも意外で驚きました!コミュニケーションがお好きで、お得意な方だという印象なので、想像がつきません。
ああ・・・今でも、調子が良いときとそうじゃない時があったりしますよ。少しでも自分のことを知っていてくれるなと思えれば、安心して心を開けるんですが、元々は自己開示はあまり得意じゃなくて。
僕が自分自身を表現できるようになったのは、ここ半年くらい。2015年に開業してから、直感でピンときたことはやってきたのですが、なぜやるのか?誰のためなのか?についてはずっとうまく表現できてなかったんです。
ーご自身のお考えを表現できるようになったきっかけは何だったのでしょう?
形を整えた、ということが大きいかもしれません。矢野会計事務所を立ち上げて、会計以外のことはつなサポに分けて、freee導入コンサルはアカウンティングサポートに分けて・・・こんな風にやりたいことと、それを行う箱を分けたら、自分が取り組んでいることや取り組みたいことをうまく表現できるようになってきました。
ー自信を持って話せるようになるためには、自分の頭の中を整理することが必要なのですね。
ですね。後は、まとまってなくても、伝わらなくても表現し続けてきたことも良かったと思います。僕は、起業家の集まりで話してみたり、事業を考えるワークショップに取り組んでみたりと、かなり試行錯誤しました。それでもうまくできなくて、自分の表現に違和感ばかり感じていて・・・どうしたら良いのか考えながら、頭の中が整理されていなくてもとりあえず表現していましたね。
ー整理されていない状態で発信することに、不安を持つ方もいると思うのですが、どうしたら良いと思われますか?
そうですよね、自分から発信することは、誰かに評価されることのように思えるかもしれないし、そういう場合もあります。戦いの場にいるように思うこともあるかもしれませんね。なので、安心して表現できる場所を見つけることをオススメします。無いのであれば、自分で作ってしまうのも手です。
同じような志の人を集めたり、自分自身が練習台になったり・・・チャレンジすること自体を歓迎するような場所を作れたり見つけられると良いですよね。
ーつなサポのイベントに参加してみる、というのも手段ですよね。
そうですね!最近はオンラインで実施していますので、お気軽にご参加して頂けますよ。
―アカウンティングサポート・矢野会計事務所・つなサポについてお伺いしましたが、現在の取り組みのきっかけは何かありましたでしょうか?
そうですね、「自分に自信をもって主体的に生きたい」という人をサポートしたいという想いと、「僕自身、自分に自信をもって主体的に生きていたい」という想いを突き詰めていたら、気づいたら今の形になっていたので・・・。
正直なところ、これといったきっかけは思い浮かばないのですが、3つの事業ではアカウンティングサポートの仕事が一番自信をもって主体的に事業ができているので、その話をしましょうか。
そもそも、なぜfreeeの導入や運用支援を仕事にしたかったかというと、自分が好きなことや得意なことで、かつ人の役に立てることを軸に自立をしたいという気持ちが根底にあります。freeeの導入・運用支援が周囲に求められていることとマッチしていると分かってきたことと、ある講演がきっかけで会社を設立し活動を本格化しました。
ーどなたの講演ですか?
中学生社長、ってご存知ですか?中学生で起業された加藤路瑛さんという方がいらっしゃるのですが、その方の講演です。加藤さんが、会社を作った理由は、儲かるかどうかではなく、自分のやりたいことを周りに知ってもらうための覚悟として、というようなことを仰っていて心に響きました。それで、矢野会計事務所で少しずつ始めていたfreeeの導入・運用支援を、周りに本気度を知ってもらうために会社にしたというのが、きっかけですね。
ーお母様と親子起業された方でしたよね!起業は覚悟の表明・・・確かにすっと入ってくる表現です。そのようなきっかけがあったのですね。
では続いては、バックオフィスの業務効率化に取り組むにあたって、いくつかお伺いさせてください。
・・・・・
以上、前編では、アカウンティングサポートや矢野会計事務所、つながるサポートについて、現在のお取り組みや込められた思いについてお伺いしました。
後半記事では、バックオフィスの業務効率化に取り組むにあたって重要な考え方や、経営に関わる立場としてのバックオフィス担当者へのヒントになるようなお話をお伺いします!
【本記事でご紹介したリンク一覧】
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