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#88 「お言葉に甘えて」イタリア語 事始め(12)

Approfittero della Sua gentilezza.

NHKラジオ講座「まいにちイタリア語(応用編)」の第6課でのキーフレーズ。「あなたのご厚意を遠慮なく受け入れさせてもらい、活用させてもらいます」ととらえて”approfittare di ~”という全体で一つの決まりきった表現(慣用表現)となっているらしい。

言葉の「守備範囲」

日本語を外国語に翻訳するとき、”文字通り”単語をそのまま訳すと、不思議なフレーズが出来上がるのはよくあることだと思います。それぞれの国の単語(ことば)がカバーしている”守備範囲”(意味)が異なるために起きることだと思います。

「甘い」

「甘える」が関連するのは、「甘い」が持つ意味だと思います。辞書を引くと、

1)砂糖のような味である。2)辛くない。3)人をたぶらかす。4)うっとりさせる。5)仲が良い。6)厳しさに欠ける。7)しっかりした心構えができていない。8)本来の機能・状態に達していない。

などがあります。味覚以外では、他の言葉で言い換えるなら、「魅惑の」「ゆるい」「不十分」など対応するかと思います。

「甘える」

辞書で「甘える」をひくと、

1)かわいがってもらおうとする。2)ねだる。3)他人の厚意・親切を遠慮なく受け入れる。

があります。「お言葉に甘えて」は、当然3)の場合に相当すると思うのですが、「甘い」のどの意味とつながっているのでしょうか?別の言葉と言われればそれまでなのですが、「甘い」の5),6)あたりとつながっている気がします。(もし3),4)だったら、それはオソロシイ。)

”幸せ”のバロメータ

「幸福度調査」なるものが時々、マスコミなどで紹介されますが、主観的な”感覚量”を定量化するのは、もともと難しいと思います。私自身の「幸福度」を評価する項目をえらぶなら、「自分が甘える」「他人から甘えられる」の二つが有力候補です。人間は社会的な存在ですから、どこかに所属(帰属)して、その中で”なくてはならない人”と認められることの他に、もし自分が困ったら誰かに「助けを求め」、誰かが困ったら「助けを求められる」人であることがわかることで、「安心」と「満足」を感じることができ「幸福度」が増加すると思います。

「甘えていい人」

つまりは、「この人に甘えてもいいんだな」と思える人が何人いるか、甘えてくれる人が何人いるかが大事かなと思います。(実際に”甘える”かどうかは問題ではなく、そうなったときの”避難所”としての機能があるかどうかが重要でしょうね。)

さてさて、いつになったら”Approfittero della Sua gentilezza.”を実際に使う場面が来るでしょうか?ちなみに、私の周りにイタリア人はいません。来たる(?)その日に向けて、イタリア語の”甘い”勉強をコツコツと続けることにしようと思います。(ちなみに「甘い」の6)の意味です。笑)