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#111 ○「内蔵電位」 ✖︎「内臓電位」

毎年、講義で話す十八番(オハコ)を一節。
「半導体工学の”内蔵”(ないぞう)は、体の”内臓”ではナイゾウ。」

半導体でpn接合を形成すると外部電源を接続しなくても、内部に生じる電位差を「内蔵電位」built-in potentialと言います。”ビルトイン”と言う言葉、時々耳にしますね、「ビルトイン・ガレージ」「ビルトイン浄水器」など、予(あらかじ)めその中に”作り込まれた”モノを呼ぶ場合に使います。

 「内蔵」とよく間違えられるのが、部首「ニクヅキ」(肉)がついた「内臓」です。恥ずかしながら、私は昔(比較的最近?)まで、間違えて「ツキヘン」?などと新しい部首名を”創作”して使っていました。ツキヘンという部首は、アリマヘン。「内臓」の「臓」は昔「肉」のへんを「蔵」の横に書いていたそうです。次第に略して書くようになり、「肉」が「月」とか書かれるに至ったそうです。読みは昔のままで、「ニクヅキ」のままです。

 ちなみに「太平洋」と「大西洋」の「太」と「大」の違いも、同じような略字が関係しているようです。よく冗談で、「ハワイがあるから点をつけて”太平洋”」と言って漢字の違いを覚えたものですが、「太」の方が非常に大きいという意味だそうです。(イタリア語なら、フォルテシモはフォルテより大きいというのに似ています。)日本語の大も二つ重ねると、とても大きいという意味になっていたようです。
 しかし、実際の「太平洋」と「大西洋」の漢字表記の名前の違いは、大きさではないようです。(最近まで大きさの違いと、私も勘違いしていました。)「平和な(太平な)」広い海で、”太平洋”(実際は平和ではなく、荒れ狂う時もあります。マゼランが乗り越えた高緯度の海域は、とても太平ではなかったはずです。)もう一つは、「大きな西の海」からと「大西洋」となったそうです。

 今年の夏は、体温を超える気温と新型コロナ対策のマスク着用と、体温が逃げにくくシンドい日々が続きます。皆様も、体調管理にご注意なさり、お太切にして下さい。(とても大切にして下さい。) 、、、お後がよろしいようで。

(※国語のテストで、”太切”と書いたら✖︎になりますのでご注意くださいマセ。)