#228 "らくしーな" or "ラ・クチーナ"
台所のリフォームを検討するためショールームでメーカの方とのお話し中，「もしかして，イタリア語から商品名付けてますか？」とたずねた私に，女性スタッフが，「えっ，まさか？！ 奥さんが台所仕事で”楽シーナ”（らくしーな）という駄洒落だと思ってました．」との返答．これには，驚きました．だって，パンフレットのつづりは，はっきりとイタリア語っぽく書かれています．”Lacucina”と（多分、イタリア語の綴り La Cucina を意識していると思います）．ただし、イタリア語の発音は、「ラ・クチーナ」（ラは女性名詞の冠詞）のハズ．（さては、知っていてこのネーミング．素晴らしい、センスです．知的でコテコテ．）
［ ほっとくリーン ］
10年ファンのお掃除不要 レンジフード （パンフレット記載事項）
パンフレットの続きを読むと、さすが関西に本社があるメーカは違いを見せつけています．「10年 お掃除不要」と書かれれば，（ほとんど，掃除しなくて良い，らくちん換気扇）と心の中で読み替えが行われるのは，私一人ではないはずです． カタログ記載のタイトル文字，さすが読み手の目を釘付けにする選び抜かれた字面です．
Kitchen
ところでWebで調べてみると、台所の由来は，
古来語のcycene（クチーナ）、ラテン語のco-quina（火を使うところ）に由来する （引用元： Wikipedia）
だそうです．イタリア語(cucina)の発音が「クチーナ」というのは、イタリア語が古来の言葉に近いことによると思われます．英語の多くは、古代イタリア語から影響を受けながら形作られていったようです．英語のkitchenは，イタリア語アルファベット21文字に含まれていない”ｋ”を使って表しあります．さてどの言葉の影響でしょうか？（ゲルマン？） 素人の私には，この先はわかりません．（ちなみにほかに含まれない5文字は，j, k, w, x, y ．）
イタリア語 ”C”の発音
3年目に突入したイタリア語の一人勉強でラジオ講座入門を聴きながら、イタリア語のCの文字の発音は，”チ”やカ行の音（”ク”）などと変化してややこしくて難しいぁーと思っています．
Cesare
古代ローマ帝国のカエサル ガイウス・ユリウス・カエサル（Gaius Iulius Caesar) 最後の「カエサル」（あるいはドイツ語で「カイザー」）は，彼以降の皇帝に送られ、役職の名前として広く使われることになりました．”Caesar”は英語表記で英語発音は「シーザー」，イタリア語では”Cesare”と書き「チェーザレ」と聞こえます．イタリア語で単に「チェザーレ」と言えば彼（カエサル）のことを指し，それ以外のイタリア男性名では，「チェザーレ ○○○○」というようです．（やはりカエサルは”一目”置かれています．）例えば、塩野七生さんの歴史小説『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』に出てくる”Cesare Borgia”も英語発音すれば「シーザ・ボルジア」です．（ボルジアも英語表記だと多分変わるのだと思いますが、、）
チェザーレとシーザが同じ名前だというのを初めて知ったのは、イタリア語講座の会話文で、イタリアの少年が古代ローマ帝国のカエサル（シーザ）が大好きだとのを聞いたのがキッカケでした。「ラクシーナ」の文字を見て「ラ・クチーナ」La Cucina が頭に浮かんだのと同じくらい、感動しました。
July
7月のJulyは，
［Julius Caesar の生まれた月で，その名から］ 引用元：Weblio
というのはさすがカエサルと言えます．ユリウス暦と呼ばれる太陽暦は，カエサル（ユリウス・シーザ）がエジプト遠征をしてヨーロッパに広めたのが最初と言われているようです．
上に述べたイタリア語アルファベットにはJの文字は有りません．「ユリウス」を”Julius”と書けるのは英語表記なので，本来のイタリア語（ラテン語？）表記では，Jは書けない文字です．ということで，カエサルの本名は，「Gaius Iulius Caesar」と二つ目の部分はJではなくI（大文字のアイ）で書かれています． となると，イタリア語の7月は，，，，
Luglio
英語JulyのJをIに単純に変えただけでイタリア語表記が良いのではは？と思いそうですが，単語末尾の”ｙ”もイタリア語アルファベットに存在しない文字です．と言う訳で，イタリア語の7月は，
”7月にあたるLuglio（ルッリョ）は、古代ローマの偉大なる将軍であったユリウス・カエサルの氏族名にあたる Iulius（ユリウス）、または、そのイタリア語の呼び名にあたるGiulio Cesare（ジュリオ・チェーザレ）に由来するとされる名称”
引用元：イタリア語の1月から12月までの月の名前と発音と具体的な由来のまとめ
やはり，カエサルの氏族名ユリウスに関係しているようです．
つながりを推理する楽しみ
簡単に台所の話を書き始めたはずが，いつの間にか英語とイタリア語の話になってしまいました．日常生活の中で，何気なく使っている言葉の由来や用法にふと”耳”を止めると，過去の時代や遠く離れた土地の人々の暮らしに思いをはせながら”迷”探偵となり頭の運動をするのは，この上ない”至福”のひと時です．
今回は，久々に，長文となってしまいました．オシマイ
（専門家でない私の書く文章ですので，間違えている可能性があります．もしあればご指摘いただけると幸いです．）