見出し画像

#17 問わず語りは、言わずもがな

 以前、授業の説明の合間に、「問わず語りは、言わずもがなだよね。」と教室で学生たちに語りかけると、目の前の学生が不思議そうな顔をする。「先生、言わずモモが名?って何ですか?」と尋ねられた。「冗談はやめようヤァ。言わずもがなは、問わず語りでしょう。」と答えると、「先生、日本語ですか??」との答え。しばし、絶句。

 寺尾聡の”ルビーの指輪”を小学4年生の遠足のバスの中で、クラスのみんなと一緒に歌った。イントロドラムの後の最初から二節目、「問わず語りの心は切ないね。」あのフレーズが蘇る。

 「近頃の若者は、、、、」と嘆くご老体を昔は、「あぁは、なりたくない。ならないぞ。」と思っていた自分はどこかに消え失せ、「今の若者は、、、、。」と心の中でつぶやく。

 「いうまでもなく、わかるよね。」という意味だと伝えると、不思議そうな顔をして学生は授業に戻った。

”言わずもがな”を辞書でしらべると、「むしろ言わないほうがよいこと」という意味もあった。アラァ、失礼。自分も”近頃の若者”の一人でした。

 何々、「問わず語り」の意味をまだ説明していないじゃないですか? という声が聞こえてきそう。それは、”言わずもがな”ですよね。自分で辞書を引いて、意味を覚えるという古(いにしえ)の作業をして脳に記憶を刻み込みましょう。

 私の頭の中には、寺尾聡さんご本人作曲のあの名曲の一節、”くもり硝子の向こうは風の街” のリフレインが、いつまでも聞こえている。(苗字は違えど下の名前が自分と同じ読みなので、それだけで親しみがあります。)

(写真:どこでしょうか? 問わず語りしている、このnote作成者の研究室です。)