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#46 How are you? 波和遊? 半泥子

前回のnoteは、三重の偉人である松浦武四郎についてでした。『がいなもん 松浦武四郎 一代 』(河合和香 著、小学館)には、同時代の人物が生き生きと書かれてあり、もう一人の三重の偉人 川喜多半泥子(かわきた はんでいし)も少年として登場します。幼い善太郎少年(のちの半泥子)が育ての親である祖母の”政”(まさ)さんから、しっかりと教育を受けて育ち始めているエピソードが織り込んでありました。半泥子は、銀行家として人生の成功をおさめた50歳を過ぎて始めた陶芸の時の雅号で、”半ば泥みて(なずみて)半ば泥まず(なずまず)”とのこと。「なずむ」を調べると、「そのことに心がとらわれる。こだわる。」だそうです。

 半泥子は、食と陶芸で有名な”魯山人”と同じくらい有名だったそうです。銀行家と陶芸家を兼ねていたためか,後世にはあまり名が知られていません。私も三重に引っ越して来るまで知りませんでした。私は知らない土地を旅行したり、引っ越したりするときは必ず事前に”その土地の歴史”を読んでから訪れることにしています。最近だと、Wikipediaと言うオンライン百科事典(?)で簡単にざっと見ることができ便利です。三重に引っ越してきて、郷土の歴史の本を3冊読み歴史上の有名人と地名を一通り頭に入れました。半泥子は、銀行家で陶芸家という”普通じゃない人”と記憶していました。禅や茶道にも造詣が深く,三重を代表する文化人の一人だと思います。

 津市にある石水博物館を訪れ、半泥子の自由な作風の味わい深い茶碗や水差しを見て陶芸の面白さを堪能できました.売店で半泥子の図録集(この記事の最初の写真)を購入し,自宅に帰ってから作品の解説や,人生にまつわるいろいろなエピソードを読んで楽しい時が過ごせました.本阿弥光悦・古田織部・尾形乾山の研究をしたり,日本を始め海外各地の”土”を入手して自宅でロクロを引き,自分でつくった窯で焼くという,本格的です。若いころから多芸多趣味で,絵画や書も凝っていて,なかなかユーモアのセンスもあります.茶碗の作品名も笑いを誘うものが多く,書の中で一番私が好きなのは,83歳の病床で書いたという『波和遊』です。見ているだけで楽しくなるような遊び心を持つゆったりと波のような人生で和んでいる人柄が伝わってきそうです.How Are You ?と読むそうです。

では、これは?『喚阿厳』(答えは次回)