2023年度 自治体外部デジタル人材支援特集
2024年度、AITFは今年度の活動方針に則り、自治体デジタル化支援プロジェクトを発足いたしました。
政府の掲げるデジタル社会を実現するため、IT専門家である当機構会員のデータベースを活用し、外部人材確保の観点から自治体DXの支援を進めてまいります。
第一弾の今回は、2023年度に当機構会員が実際に支援した自治体の事例を掲載いたします。
実際の事例をもとに、外部デジタル人材活用のイメージをお持ちいただければと思います。
事例①:長野県茅野市(サーキュレーション社)
■抱えていた課題
2021年にデジタル田園健康特区の指定を受けた茅野市。
2022年度を「DX元年」として打ち出したものの、組織的な準備も、専門メンバーも不在。住民の利便性を向上させたいという思いや、デジタル田園健康特区との事業連携など実現したいことは多数あるものの、デジタル技術やAI等をどのように組み込むべきか、手探り状態でした。
そこで、異なるスキル・経験・属性を持つDX人材複数名からなるチームの派遣及び支援が行われる「令和4年度 DX地域活性化チーム派遣実証調査事業」(内閣府)に2022年9月より参加。
当該事業を受託したサーキュレーション社の支援を受けることとなりました。
■サーキュレーション社による支援と効果
プロシェアリング事業を展開するサーキュレーション社は、自社に登録しているプロフェッショナル人材(以下:プロ人材)の中から、プロジェクトマネジメントとセキュリティ対策において高度な専門性を持ち、職員と共に取り組みを推進する下記ポジションの2名のプロ人材を支援しました。
・CDO(最高デジタル責任者)補佐
・セキュリティスペシャリスト
特にセキュリティに関しては、昨今悪質なサイバー攻撃が増えている中で重要ポイントとなっていますが、今回は最新技術を活用する先進的な取組みであったため、より一層欠かせないテーマでした。
今回のプロジェクトでは金融機関等で多数実績を積んできたセキュリティ専門家の登用により、組織としてのデータの取扱いや情報管理について基準を明確化・徹底することができ、安全に事業を進めることができました。
そうした実績が評価され、支援した2名ともに契約更新となり、うち1名は常勤で今後も対応いただくこととなりました。
「知のめぐりを良くする」を掲げるサーキュレーション社ならではの、官民一体となって進めた好事例といえます。
事例②:兵庫県神戸市(レバテック)
■抱えていた課題
市民向けポータルサイト「スマートこうべ」を運営する神戸市。
給付金や相談窓口など、市民が欲しい情報にアクセスしやすくするためのプラットフォームとして開発され、2023年9月にサイトリニューアルされるなど、神戸ライフに欠かせない存在として日々進化を遂げています。
そんなスマートこうべの開発・運用は、大手ITベンダーに委託されており、さらに別会社に再委託する体制となっていました。
今回は神戸市の各種支援制度を検索できるサービスを開発したく受託企業と相談していたところ、諸事情により開発時期がずれ込んでしまい、開発会社から年度内の作業工程に組み込むことが難しいとの連絡が…。
急ぎ他の受託開発会社も検討してみるものの、かなり短い工期であったことから対応いただける企業は少なく、途方に暮れていました。
■レバテック社による支援と効果
そんな中、レバテックフリーランスの存在を知っていた職員からの提案で、フリーランス人材の活用を検討することになりました。
相性次第では合わないこともあるのではないか、と初の試みに不安も抱えつつ、レバテックフリーランスの担当者に相談。
短工期ということでスピード感をもってご提案を進めつつ、担当者の不安を踏まえて意思疎通の取りやすさも重視。結果としてマッチするプロ人材の参画を約1か月間で支援できました。
ご参画後は、神戸市が提供する様々な支援制度を検索できるよう、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース:ソフトウェアやプログラム、Webサービスの間をつなぐインターフェース)を活用する計画の実現に向け、DB設計からAPI開発など機能拡充に尽力していただきました。
開発企業を挟まず直接的にフリーランスの方とやり取りすることでコミュニケーションラインが短くなり、スピーディーかつダイレクトに要望が反映。モックアップの共有や改修もよりスムーズに作業が進みました。
結果、短工期の中で機動力に優れた新規機能開発を実現。フリーランスの方の契約終了後も、将来的に機能の拡張ができるよう、柔軟かつ簡単に改修が行えるシステム設計を実現していただきました。
また、勉強意欲と技術力の高いフリーランスの方に対しても高い評価をいただきました。
業界No.1登録者数を誇るレバテックならではの、スピード感を持った対応が功を奏した事例でした。
そのほかにも、「デジタル田園都市国家構想推進交付金(type2)」に令和4年度と令和5年度に採択された石川県能美市など、複数の自治体において、自治体職員ではカバーしきれない専門的領域へのご支援を行っております。
2024年度も自治体DXの支援事例を積み重ね、デジタル社会の実現に貢献できるように活動を続けてまいります。