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Ⅱ. 関数の操作 【基礎微積分学:大学数学】



1. 関数の変形

1.1. グラフの平行移動

グラフの平行移動はグラフの形を変えずにそのまま座標平面上の位置のみを変えること。

関数$${y=f(x)}$$のグラフを
$${x}$$軸の方向に$${a}$$だけ、$${y}$$軸の方向に$${b}$$だけ平行移動したグラフの式は
$${y=f(x-a)+b}$$。

1.1. グラフの平行移動

1.2. グラフの拡張と対称

グラフの拡張とは、垂直方向($${y}$$軸方向)や水平方向に($${x}$$軸方向)グラフを引き延ばしたり、圧縮したりすること。拡張の基準は$${x}$$軸と$${y}$$軸と考えていいと思う。

$${1}$$より大きい定数$${c}$$に対して関数$${y=f(x)}$$を
・$${c}$$だけ垂直方向に引き延ばしたグラフの式は$${y=cf(x)}$$
・$${c}$$だけ垂直方向に圧縮したグラフの式は$${y=\displaystyle\frac{\,1\,}cf(x)}$$
・$${c}$$だけ水平方向に圧縮したグラフの式は$${y=f(cx)}$$
・$${c}$$だけ水平方向に引き延ばしたグラフの式は$${y=\displaystyle f\left(\frac{\,1\,}cx\right)}$$

1.2.1. グラフの拡張

グラフの対称とは、文字通り点や線などの図形に対しグラフを折り重ねるように対称させること。
前回の【関数①】パートでもこの話題が出ていた。……少し話は違うが。
(【関数①】:対称しても同じ。 / 今回:対称して新しい関数を作る。)

関数$${y=f(x)}$$を
・$${x}$$軸に対して対称したグラフの式は$${y=-f(x)}$$
・$${y}$$軸に対して対称したグラフの式は$${y=f(-x)}$$

1.2.2. グラフの対称

これらの変形に対するグラフの変化は実際にGeogebraなどのグラフィングソフトを使って確かめてほしい。

2. 関数の結合

2.1. 関数同士の四則演算

二つの関数を四則演算を用いて結合させ新しい関数を作ることができる。

二つの関数$${f}$$と$${g}$$の
和/差の関数 $${(f\pm g)(x)=f(x)\pm g(x)}$$(複号同順)
積の関数 $${(fg)(x)=f(x)g(x)}$$
商の関数 $${\displaystyle\left(\frac fg\right)(x)=\frac{f(x)}{g(x)}}$$

2.1.1. 関数同士の四則演算の定義

また、これによって作られた関数の定義域は元々の関数らの定義域の積集合。
例を挙げておこう。

和の関数 $${y=\sqrt{x^2-1} + \ln\,(x+4)}$$ の定義域は
関数 $${y=\sqrt{x^2-1}}$$の定義域$${X_1=\{x\,|\,x^2-1\geq0\}}$$と
関数 $${y=\ln (x+4)}$$の定義域$${X_2=\{x\,|\,x+4> 0\}}$$の積集合の
$${X_1\cap X_2=\{x\,|\,-4< x\leq-1\vee x\geq1\}}$$である。

2.1.2. 関数同士の四則演算で定義された関数の定義域の例

2.2. 合成関数

合成関数は一つの関数をまた違う関数の入力側に入れてしまう、という
「なんでそんなことするん……?」ということをしだしたことの産物。
定義はこちら。

二つの関数 $${f}$$と$${g}$$に対して
$${f}$$と$${g}$$を合成した合成関数$${f\circ g}$$は$${f(g(x)}$$と定義される。

2.2.1. 合成関数の定義

本を詳しく見るついでに、YKが高校で習ったことを振り返ったりしてみよう。
この本ではあまり詳しく説明されていないが、合成関数に関する細かいポイントが少しある。

合成では交換法則が成立しない
 当然と言えば当然。$${f(x)=3x+1}$$、$${g(x)=e^x}$$としたら
 $${(f\circ g)(x)=3e^x+1}$$、$${(g\circ f)(x)=e^{3x+1}}$$。違うよね。

合成関数が成立する条件
 関数$${f\!:\,X\to Y}$$があるとする。ここで$${Y}$$を終域(codomain)と呼ぶが、合成関数$${g\circ f}$$が成立するには$${g\!:\,Y\to Z}$$である必要がある。
 が、$${g}$$の定義域$${Y}$$に入力されないものがあるならそれは関数とは呼べない。
 ゆえに$${f}$$の終域が値域と同じ、つまり$${f}$$が全射関数である必要がある。

2.2.2. 合成関数に関するいざこざ

また、合成は二つだけってわけでもない。何度でもできるのさ☆。
あと結合法則は成立するよ。$${(f\circ g)\circ h}$$でも$${f\circ(g\circ h)}$$でも変わらん。

$${y=\cos\sqrt{\sin (\tan \pi x)}}$$を一番簡単な関数同士の合成で表したら
$${y=(f\circ g\circ h\circ i\circ j)(x)}$$で表すことができる。ここでの関数は
$${j(x)=\pi x}$$、$${i(x)=\tan x}$$、$${h(x)=\sin x}$$、$${g(x)=\sqrt x}$$、$${f(x)=\cos x}$$

2.2.3. 3つ以上の合成関数の例:『핵심 미분적분학 (제9판)』p. 161より#39の関数

次は指数関数と対数関数について見ていく。

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