大人の都合で子どもは死ぬ
虐待死は一週間に1人
「一週間に1人、虐待で亡くなっています」と言うと、多くの人が驚く。
虐待死はたまにニュースになっているが、報道されるのはセンセーショナルなケースだけ。滅多に起きないことだと思っている人が多いが、実際には一週間に約1人が虐待で亡くなっている。把握されているだけでこの数値なので、実数はもっと多い。
参照:https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000190801_00001.html
虐待対応が現状の仕組みでは不十分であるのは、数値からみても明らか。児童養護施設で働いていた時に身をもって体験したが、児童福祉領域はとにかく人手不足かつ非効率なことが多い。そこで「虐待対応においてはIT化が必須。ITで虐待防止の仕組みをつくりたい」と思い、現在は児童福祉コーディネーターとしてIT企業で働いている。
【大人の都合】で子どもは
自治体の方から「虐待防止プランについて話がききたい」と言っていただく機会も増え、説明会や情報交換などもよくしている。打ち合わせの終わりには「虐待防止に有用だと思うし、導入できれば理想だと思う」とほとんどの方が言ってくれる。でもその後には必ずといっていいほど「でも導入するのはなかなか難しいんですよね」と続く。
導入できない理由は、既存システムとの兼ね合い、個人情報管理、関係者間の調整など、たくさんある。理解できる部分はあるし、特に自治体は現場の人が変えたいと思ってもなかなか変えられない。もちろん現場の人に「変えたいけどどうにもできない」という葛藤があるということもわかっている。
でも、できない理由って全部【大人の都合】じゃん。そういう【大人の都合】に時間を割いている間に、傷つけられて、死んでしまう子が増えていくんだけど。って思ってしまう。子どもの命より【大人の都合】が優先されてるっておかしくない?って。
正直、自社のツールを導入してほしいとかは全くなくて(ごめん)、子どもたちの情報が関係者間で円滑に共有できて、子どもを守ることができればそれでいい(もちろん今の会社のツールがとても有用だと思っているから働いているのだけど)。
「いろいろ大変なことは理解できる。でも現状虐待対応の機能が十分じゃないことはわかっているのだから、なんとか調整しながら改善していくしかないですよね?できる限り支援するから、一緒にがんばりませんか?」そうやって想いを伝えながら、少しずつでも進めていくしかないなと思う。
まあ大人だし。関係性とかいろいろあるから仕方ないよね。とは絶対言いたくない。【大人の都合】が大切なのはわかるけど、【大人の都合】で虐待されている子を、【大人の都合】で放置することがあってはいけないと思うから。