生き残る回復期リハビリテーション病院とは?
回復期リハビリテーション病院が生き残るためには何をするべきなのか?
今回は2020診療報酬改定以降の回復期リハビリテーション病院の在り方をまとめようと思います。回復期の近未来の在り方ですね。
診療報酬改定は2年おきですが、単回で考えているのではなく数年先の医療の在り方を見ています。したがって2020診療報酬改定も当然ながら2022年、2024年を見据えた改定となります。2020診療報酬改定では挙げられなかった変革を回復期リハビリテーション病院に影響がありそうな項目を絞って以下にまとめていきます。
①地域密着から地域決着、そして地域愛着の時代へ
厚労省がリハビリテーション実績指数を引き上げる目的の一つに、早期の在宅生活への復帰が挙げられます。回復期の在院日数を短縮することによって医療から介護へ早期に移行させたい方針です。では、回復期リハビリテーション病院は患者を在宅生活に復帰させれば、それでよいのでしょうか。
結論から言うと、地域包括ケアシステムでの回復期リハビリテーション病院の役割は、地域でのリハビリテーションの提供です。在宅生活に戻ったからそれで終わりではなく、外来リハビリテーション・訪問リハビリテーション・通所リハビリテーション等の医療・介護提供の機能を持つことが要求されます。
退院後の生活に触れる機会を持つことで医療者側の答え合わせができる機会にも役立ちます。医療者側の答え合わせとは、元患者が十分にその人らしい在宅生活が送れているのかの確認です。外来・訪問・通所を機能に持つことで、生活期リハの現状を学ぶ機会があり、その経験が入院でのリハビリテーションに活かされてくるというサイクルです。おそらく近いうちに回復期リハビリテーション入院料1の施設基準に生活期リハ機能の提供が盛り込まれてくるでしょう。
②回復期DPCの可能性
回復期リハビリテーション病院にもデータ提出が求められました。
データ提出加算です。
このデータ提出加算で厚労省は何を狙っているのでしょうか?厚労省もリハビリテーションの必要性は感じております。しかしながらリハビリテーションの効果については、まだまだ確証を得られていないというのが本音でしょう。必要性の高いリハビリテーションを発展させ、高沸する医療費の抑制も考えていくと、回復期リハビリテーションの整備は必須となります。どのような整備が必要となるのでしょうか?
現在の回復期リハビリテーション入院料はほぼ包括です。回復期リハビリテーション病棟での出来高部分で最も高い医療費は疾患別リハビリテーション料です。前回改定で疾患別リハビリテーション料の一部は包括されました。いきなり全ての疾患別リハビリテーション料が包括されるとは思いませんが、数年後包括される可能性は否定できません。回復期のリハビリテーションは、最大3時間まで保険請求可能です。今後はいかに早く回復に到達するのか量ではなく結果とスピードが求められます。入院して1か月は4時間。2か月目から3時間。3か月目から2時間。なんて逓減性になることもあるかもしれません。包括か。逓減か。現状か。変化に対応できる柔軟性が大切ですね。
③第3者機関の審査機能
数年前から病院機能評価を受審する回復期リハビリテーション病院が増えたと聞きます。厚労省への要望書に挙がったことが要因かと思われます。しかしながら、第3者機関の認定の有無を回復期リハビリテーション病院入院料に組み込むには、まだまだ時期尚早かと思います。2020診療報酬改定では組み込まれないでしょう。個人的には病院機能評価の受審は、回復期リハビリテーション入院料のためではなく、病院の質の向上のために活用していただくことを願います。
④加算がつく職種は?
資格ありきの報酬改定はいかがなものかと思いますが、国家資格で成り立つ医療業界。次々に必要な職種が増やされていきますね。医師、看護師だけではなく、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士に加え管理栄養士も入ってきそうです。次は歯科衛生士?個人的には心理職を追加してほしいなと思います!
⑤地域包括ケア病棟との棲み分け
回復期リハビリテーションと機能が似てるようで似ていない、しかし同じ回復期としての位置付け。「回復期リハビリテーション病棟」と「地域包括ケア病棟」どのような棲み分けで進んでいくのでしょうか?
対象疾患が限られている回復期リハビリテーション病棟。
使い勝手が良い地域包括ケア病棟。
リハビリが充実している回復期リハビリテーション病棟。
リハビリはちょろっと地域包括ケア病棟。
このような認識を持たれている方が大半ではないでしょうか。いまいちハッキリと分からない両病棟。ネーミングと実態が噛み合っていない印象を受ける地域包括ケア病棟。厚労省はこの地域包括ケア病棟の急増と使い勝手の良さから、DPC係数の下請けになっている現状に釘を刺していますね。今回は回復期リハビリテーションのシリーズでしたので、地域包括ケア病棟については別のシリーズでまとめたいと思います。
まとめ
回復期リハビリテーション病院は淘汰されていきます。自病院の『今』に焦点を当てている病院は淘汰されていきます。
回復期リハビリテーション病院はいかに『対象外』の患者を引き受けるのかが重要であり、いかに地域決着できるように『アフターフォロー』をしていくのかが重要です!
殿様商売をしている回復期リハビリテーション病院があるのであれば、見直した方が賢明ですよー!
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