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【DTM・ミキシング】簡単3ステップで電子音声・合成音声感を出すテクニック


忙しい人のために簡潔に書くと

  1. できるだけ平坦な調子で声を録音。

  2. リミッター(コンプレッサーでも可)で音量を一定に。

  3. 10msを目安に音声を2重化(ディレイでも可)。

以上。



前置き

 私、愛須どらいがYouTubeに投稿した
「【歌ってみた】サイバーパンクデッドボーイ【ボイチェン】【愛須どらい】」
の動画が100再生を突破しました!
 ご視聴まことにありがとうございます!!!

 今回は、この動画の冒頭部分で流れる
オカキニナッタ ソンナオンガクハ …」という電子音声、機械音声、あるいは合成音声なんかを思わせるナレーション部分の作成テクニックのHow To記事となります。
 意外とネットを検索してもそれっぽい解説をしている記事が見つからなかったので、同じように悩んでいるかたの参考になれば幸いです。
 DAWさえあれば、特別なプラグインがなくても3ステップ(+アレンジ)で実現できますので是非マネしてみてください。
 ※なお、筆者はミキシングに関しては素人ですので、筆者が見つけたこのテクニックよりもっと良いやり方もきっとあるかと思います。

1. できるだけ平坦な調子で声を録音

 当然ですが、完成イメージの電子音声とかけ離れた調子で録音された音声では、それっぽさが出にくいです。
 ゆっくりとしたテンポ、ナレーションのような落ち着いた声色、棒読みのような抑揚の少ないイメージで録音することをおすすめします。
 可能であれば録音しつつリアルタイムに音量を監視するとよいでしょう。

※以下は私が実際に楽曲で使用した音声のサンプルです(WebアップローダーのURLです。開くとプレビューできます)。

https://s3.ap-northeast-1-ntt.wasabisys.com/ak1520d-filenow-2/files/20241028-1010_72d7cf572c9c2918b2e35385046ec8a0.wav

サンプル音声をDAWで開いたところ。
それなりに平坦。

2. リミッター(コンプレッサーでも可)で音量を一定に

 ステップ1で録音した音声をさらに平坦化するためにエフェクトをかけます。
 リミッター(またはコンプレッサーでも可)を使って、最も小さい音量部分に揃えるイメージでトラックを圧縮しましょう。
 当然、圧縮するだけだと音量が下がってしまいますが、次のステップの操作でクリップしてしまう可能性があるため、この時点では音量はゲインしないことをおすすめします。

※以下は先ほどのサンプルにエフェクトをかけた例です(WebアップローダーのURLです。開くとプレビューできます)。

https://s3.ap-northeast-1-ntt.wasabisys.com/ak1520d-filenow-11/files/20241028-1014_e90ef8c150768c9c8bba9945877a46e6.wav

サンプル音声をDAWで開いたところ。
音量が平坦になったことが分かる。

3. 10msを目安に音声を2重化(ディレイでも可)

 最も重要なステップです。
 と言ってもやることは単純で、音声を2重化するだけです。
 元の音声トラックと同じ音声を10msほど後ろにずらして重ねればOK
 単純に元の音声トラックをコピーして並べてもよいですし、ディレイのエフェクトを使っても構いません。
 ここで気をつけたいのは音量です。
 後ろに重ねた音声が元の音声より小さいと単なるエコー・リバーブと変わりませんので、元の音声も重ねた音声も同じ音量にしてください。
 ステップ2でも触れたように、音量が大きめですと重ねた結果クリップすることがありますので、その場合も必ず元の音声と重ねた音声の両方を揃えて下げる形で調整してください。

※以下は先ほどのサンプルを2重化した例です(WebアップローダーのURLです。開くとプレビューできます)。

https://s3.ap-northeast-1-ntt.wasabisys.com/ak1520d-filenow-2/files/20241028-1023_f3235c05c4ff2a05351998a62459e1f6.wav

サンプル音声をDAWで作成した時の様子。
ステップ2で作成したトラックを10ms(0.01秒)ずらして重ねただけ。

なぜこれで電子音声っぽくなるのか?(考察)

 このテクニックは分かりやすい例を挙げるなら、動いている扇風機の羽に向かって「ワレワレハ ウチュウジンダ…」と声を出すと宇宙人や電子音声がしゃべっているように聞こえるというのがありますが(若いかたには伝わらないかも?w)、アレと同じくそのまま聞こえる音声と扇風機の羽に反響した音声の2重化を再現している形です。
 ここからは筆者の推測なのですが、古い組み込みの電子機器の場合、録音環境が悪かったり再生するスピーカーも低スペックなものを1つしか備えていなかったりで、こもった印象の音声になりがちな環境であったと思われます。
 しかし、イコライザやリバーブ等のエフェクトでそれを解消するほどのコストもかけられないため、苦肉の策として単純に音声を2重化することで、こもった印象を解消するというテクニックが編み出されたのかもしれません。
 (マイコンの歴史なんかに詳しいかたなら何か知ってるんでしょうか?)

アレンジ(オプション)

 先に示した3ステップだけでもかなり電子音声感のある音が出来ているかと思いますが、以下に示すもうひと工夫のアレンジでより求めるイメージに近づくかもしれませんので、例として枚挙しておきます。

  • イコライザ等で敢えて低い周波数帯を残したり強調したりして音をこもらせる。

  • 逆に特定の周波数帯をカットしてラジオや劣化したような印象を与える。

  • ビットクラッシャーをかけて劣化したような印象を与える。

  • サチュレーターやディストーションをかけて劣化やレトロな印象を与える。

  • わざと特定の音を繰り返す、切り取ることで劣化した印象を与える。
    (先のサンプルで言えば「使われておりませせせん」のようにする等。)


 以上です。ここまでお読みいただきありがとうございました。

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