2023年の総括
成績
・俺プロ
回収率:94.1% 段位ポイント220pt(2023年+63P)
・ウマい馬券(中央)
3,454R 的中率:11.5% 回収率:92.4%
・ウマい馬券(地方)
15,299R 的中率:13.1% 回収率:81.9%
2023年は前半にAISSの比較的大きいアップデートを施しており、特に中央は上半期の成績が良かったのですが、下半期で苦戦してしまいました。
中央、地方ともに予測精度の向上はもちろんのこと、買目組み立ての部分がまだまだ甘いと感じているため安定した成績を残せるよう引き続き改善していきます。
予測師ウマーブル
2021年末より、AISSと同じくnetkeibaの俺プロでウマい馬券デビューをしたマジックウマさんとコラボした『予測師ウマーブル』の配信をさせていただいております。
2023年成績は、
1,578R 的中率:18.4% 回収率:113.4%
で、年間収益額はウマい馬券全予想家の中でトップとなりました。
また、
2021年 74R 的中率:23.0% 回収率:118.3%
2022年 1,401R 的中率:19.9% 回収率:105.2%
と、これで3年連続プラス収支を達成しました!
マジックウマさんとご協力し、レース数を絞り最適な買目をシミュレーションで探ることで安定した成績の実現を目指していますがきちんと結果で示すことができて良かったな、と感じています。
来年も引き続きの成績をお届けできるよう頑張ります。
※ウマーブルについてはコラムもご覧ください。
netkeibaTV
netkeibaTVにて、昨年から重賞レース(基本G1)のAI予測(複勝圏内に入る確率TOP3)を行い予測要因の分析及び解説を行う動画に取り組まさせていただいています。
過去14回行っており、予測1位馬の成績は、
8-1-2-3/14
単勝的中率:57.1% 単勝回収率:177.1%
複勝的中率:78.6% 複勝回収率:115.7%
と、枠順や調教などの事前データが使えない特別登録段階での予測としてはまずまずの精度となっているのかなと思っています。
こちらの予測用には予測要因が取得しやすいAIモデルを構築していますが、精度面をあまり犠牲にすることなく要因分析が行えているのは一安心です。
つたない説明ですが、動画自体はプロの編集のおかげで魅力的なものになっていますので来年も是非チェックしてもらえると嬉しいです!
AI競馬予想マスターズと馬券戦略の最適化
AI競馬予想マスターズ
2023年10月から12月の3か月間にわたって41名の競馬AI開発者による、日本一の競馬予想AIを決めるための大会が開催されました。
競馬AIの先駆者で抜群の知名度を誇る競馬AIゆまさんも参加されており、比較的注目度が高い大会となったのではないのでしょうか。
AISSもnetkeibaウマい馬券から参戦オファーをいただき大会に参加いたしましたが結果としては、
予選1(10月) 回収率108.4% +¥420,610 5/40位
予選2(11月) 回収率102,4% +¥119,500 4/29位
最終戦(12月) 回収率202.7% +¥10,826,310 2/21位
と、準優勝することができました!(大会結果)
大会について考えたこと
この大会のルールはこちらになります。
ポイントとしては、
予選1,予選2,最終戦はそれぞれ独立しており、予選での足切りが存在
予選はそれぞれ500万、最終戦は予選での獲得払戻金合計の仮想マネーで行う。予選はスタート資金を使い切らないと減額。
獲得した払戻金を再投資することはできない(複利的な運用ができない)。
1レース当たりの投資上限額が決まっている(予選15万、最終戦30万)
といったところでしょうか。
まず、予選については払戻額下位TOP30%が脱落するルールでしたので、基本的に大きめの配当を獲得して最終戦のために潤沢した資金を確保しにいく戦略はリスクが高い、と私は判断しました。
具体的には、的中率20~30%、回収率90~110%あたりの成績が出せればほぼ間違いなく予選は通過でき、かつ最終戦を良い位置からスタートできると考え、併せてシミュレーションを行っていました。
結果として、AISSとしてはおおよそ想定した成績を残すことができ最終戦も手持ち資金3位という絶好のスタート位置をとることができました。
最終戦については、各々の手持ち資金などを見比べ、こちらも基本的には予選と同様に安定した成績を残す戦略をベースとして、やや高めの的中も確保できるようある程度のリスクをとった買目と資金投入をしました。
最終戦は12/24までの4週が対象で、前半2週は上記の戦略で進めていきましたが、ここで大会の形相が一変しました。
最終戦では最後方位置からのスタートとなったAIゆまさんが、12月2週目の日曜日に払戻金2600万オーバーという衝撃的な的中をされました。
当時のSNS等でも大いに盛り上がり、同時に他の参加者は大幅な戦略変更をせまられるポイントとなりました(私も正直、結構な戦意喪失状態になりました笑)。
もちろん、戦略を変えずに残りの期間を戦っていたとしてもある程度の順位争いに加わることができていたと思いますが、12月2週目終了時点で回収率100%を大きく超えている方が少なくなかったこともあり私もこの段階でリスクをとってでも高めが引けるような戦略に変更する判断をしました。
ただし、残り2週で三連単のオッズ高めを狙うような戦略では運要素が大きすぎたため、あくまで出現割合が比較的現実味のあるオッズ帯の中で掛け金を調整するようにしました。
結果として、
12/17日 三連複96.9倍 × 68,000円 = 6,589,200円
12/23土 三連複90.7倍 × 113,200円 = 10,267,240円
の的中により、準優勝の位置をほぼほぼ確保することができました。
上記の的中オッズを見ていただいても分かる通り、三連複100倍前後であれば一般的な感覚としても「レースでちょい荒れすればそれなりに出るなー」となると思いますので、特段大きなオッズ帯を狙っていたわけではありません。
それでも2週間(実質3日開催日)で1500万以上の払い戻しを得ることはシミュレーションをしていても10%以下の割合でしか起こらない想定だったのでこちらについては運があったのかなと感じます。
(優勝争いをするためにはさらに1000万程度の払い戻しが必要で、これについては1%未満の出現割合だったので、ほぼほぼ諦めていました…)
大会を終えて
ある程度のシミュレーションをした上で大会に臨んでいたためしっかり結果を残せたこと自体は素直にうれしいのですが色々と思うところはありました。
まず、予選のボーダーについて、
予選1(10月)71.3%
予選2(11月)74.4%
と、結果だけ見ると控除率を大きく下回っています。
予選通過のために設定回収率下限を80%程度に設定できるのであれば更にリスクをとる戦略ができるため、まるで戦い方が変わってきます。
そもそも大会の性質上、エア馬券勝負なのでオッズが下がらない特性を活かし、三連単の高めオッズにベットする戦略を部分的にでも取り入れるのが有効です。
「優勝を狙う」という目的で大会に臨んでるとして、私の場合は「リスクを取らなさ過ぎた」というのがそもそも敗因なのかなと感じています。
ただし、この大会で上位入賞であるからといって「本当に優れているAIか?」と言われると判断が難しいところです。
このあたりの定義は難しいです。
一般的な機械学習モデルの精度を測るだけであれば、1着予測確率と目的変数(1着フラグ)とのMSEやBCEなどといった一般的な機械学習モデル評価指標で競うなどできますが、競馬の場合は1着を正確に当てられたといってそれがイコール儲かるわけではないので絶対の評価指標と言うのは存在しません(競馬以外にも現実的な予測問題全般に当てはまりますが)。
競馬で収益を測る指標だと回収率などになってしまいますが、たまたまの一発的中で回収率が底上げしてしまうと適切に評価ができません(外れ値のようなもの)。
少なくとも私の個人的な考えとして、優れた競馬予想AIは「自分で安心して馬券で買える(勝てる)AI」だと思っており、月々で大きく収支がぶれていたり、ぶれは少ないけどトータルで見ると収支が大きくマイナス、といった状況では安心して買えるAIとは言えないでしょう。
私の場合、実際の馬券を購入するにあたり特にAI競馬予想マスターズの開催期間中は基本的に同じような戦略で自動購入していましたが、「馬券を購入する」という視点では、下図のように30%前後の的中率で回収率100%超えの設定で購入していたため、とても安心して運用ができていました。
今回の大会では、ルールが存在する仮想馬券大会という性質上どうしても、それにアジャストした戦い方をする必要がありましたが、結果だけで見るよりも、「きちんと開発者が戦略を立ててシミュレーションしておおむねその通りの結果になっている(まぐれでない)か?」といった視点が重要であるかな、と感じました。
以上、あまり戦略的に細かな内容に言及できませんでしたがAI競馬予想マスターズの総括になります。
偉そうなことを記述しましたが、「AISSってすごいんだよ(ドヤ)」みたいなことを伝えたいわけではなく、むしろ改めてまだまだ精度改善に加えて馬券戦略を立てる上で検討が必要、といったことを感じたのでそちらを踏まえての振り返りとなりました。
ルール設定などで他の人も思うところがあったと思いますが、私個人としては「参加して良かったな」と感じています。私が競馬AI開発を初めて初期の頃もこういった大会やメディアで競馬AI先駆者の方々が活躍するのを見て開発のモチベーションが上がったので、今後も同じような機会が増えると嬉しいですね!
2024年の抱負
まずはこれまで同様、AIモデルの精度向上に励みますが自身の技術力向上も踏まえ、これまでと大きく異なる、新たな特徴量組み込みを検討しています。
こちらについてはまだ検討段階なのですが実現すれば様々な分野への横展開ができるので時間をかけてしっかりと取り組んでまいります。
次に、「情報公開」について。
ありがたいことに「競馬AIってどのように作ったらよいのですか?」といったようなご質問をたびたび頂戴するようになっており、「ブログ等で発信しよう!」と思いつつ、結局2023年はあまり進めていなかったというのが現状ですのでこのあたりの準備も進めていきます。
引き続きよろしくお願いいたします。