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yukihi6
きみに読む物語
映画を最初に見たのか、原作が先だったか思い出せない。当時私は日本の文学的な小説に飽き飽きしていたし、文藝春秋に掲載されている小説をよむのが苦痛になっていた。みんな世の中に絶望しきっているように見えた。だからこの小説の紹介文に、作者を純愛文学の騎手と謳っているのを読んで、本当かな?本当にそんな愛あるかな?と疑いと希望を胸に読み始めたのだ。
結果、主人公ふたりの純愛に感動した。
そして、実話と聞いてまたまた感動。アメリカを見直した。こんな素晴らしい愛が人間から湧き上がるものならば、人間はまだ捨てたものではないと思えた。私はそんな愛は感じたことはないが、この小説を通して疑似体験させてもらった。セックスの描写がでてくるが神々しく、羨ましく、絶え間ない愛の波に身を任せて……。アメリカの片田舎の大自然の描写も二人のひととなりを、特に男性の方の魅力を引き出している。女性がそれに惹かれたのがうなずける。
人間はまだまだ愛し合える。惰性を捨てて、結婚という制度を捨てて、ひとりの人間として、相手を尊敬し、自分の良いところを差しだし、1+1=2の世界に行けるんだ。
真剣に自分に向き合い、相手と向き合う。何度も生まれ変わらなくても、後悔ない人生がそこにはある。
わたしもそんな人生を歩みたい。自分を愛し、自分で選んだ人を愛する人生を。
原題は、the note book。