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「ガラスボールリジェクション」のAメロの不思議なメロディ

『ラブライブ!スーパースター!!』の楽曲、若菜四季の「ガラスボールリジェクション」のAメロはポップス離れした少し不思議なメロディになっている。
この記事では当楽曲のAメロについて分析した結果を記す。

楽曲のキー

「ガラスボールリジェクション」のキーはDマイナーキー。

図1 Dマイナースケール

R(ルート)とP8(パーフェクト8度)はオクターブ違いの同じ音のためスケールの構成音は7音。通常12音の中から7音を選んでスケールを構成する。(例外有り)


「ガラスボールリジェクション」のスケール音は、
レ:根音
ミ:長2度
ファ:短3度
ソ:完全4度
ラ:完全5度
シ♭:短6度
ド:短7度
この7音である。

ただ、Aメロのみ違うスケールになっている。

フリジアン・ドミナントスケール

図2 フリジアン・ドミナントスケール

現代のポップスではあまり見かけないスケールが「ガラスボールリジェクション」では使われている。
このスケールの曲で思い浮かぶのはクラシック音楽である「道化師の朝の歌」(モーリス・ラヴェル)である。

この曲に限らずラヴェルはスペイン音楽に影響を受けているのかこのスケールがよく登場する。
フリジアン・ドミナントスケールは、
マイナースケールの第2音を半音下げ、第3音を半音上げることでできるスケール。
鳴らしてみると分かるが、とても不思議な響きをしている。
一般的にはスペイン民謡的なメロディと言われている。
以上を踏まえて「ガラスボールリジェクション」のAメロを見てみる。

「ガラスボールリジェクション」のAメロ

図3 Aメロの1~2小節目

ここはキーの主音であると短7度のの音を行き来しているシンプルなメロディ。

※コードはDとしているが、実際の楽曲ではベースとパーカッション類、効  果音などが鳴っているためコード感はない。
DマイナースケールであればDmだが、フリジアン・ドミナントスケールのトニックコードはDとなるため、便宜上Dと表記している。

図4 Aメロの3~4小節目

3小節目からフリジアン・ドミナントスケールの特性音が登場する。
上の画像の赤く囲ったところがそれに該当する。
Dマイナースケールに含まれるミとファの音は一切登場せず、ミ♭、ファ♯になっていること。
そして最後のレに解決感を抱くことからもこのメロディはDフリジアン・ドミナントスケールであることが分かる。

図5 Aメロの5~8小節目

1巡目の最後。このパートでもミ♭が登場する。
主音と短二度の動きは滑らかながらも暗い印象を受ける。
まさに四季の心が「ガラスボール」に閉ざされている様を思わせる。

ちなみに2巡目のこのパートでは後半が少し異なる。

図6 Aメロの13~16小節目

二つ目の赤枠の音。
Dフリジアン・ドミナントスケールの特性音であるミ♭から同じく特性音のファ♯に変化している。
これだけでもフリジアン・ドミナントスケールであることを強調しているように思える。

最後に

「ガラスボールリジェクション」に関してはAメロ以外にも注目したいところはあるのだが、特に異彩を放つAメロに着目して記事を書いた。
このスケールから受ける非日常感と「ガラスボールに閉じこもっている」という非現実的な事象が絶妙にマッチしていると言える。

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