【令和6年王祇祭レポート】⑥上座当屋
下座当屋を出て、今度は上座当屋に向かうことに。
いつもは一つの当屋にずっといるのですが、今回の当屋は、歩いていける距離だったのもあり、それならいっそのこと当屋のはしごをしよう!と思ったわけなんですが…。
まさか、1日の午前中に雪が吹雪いてくるとは思わなかったなぁ…。王祇祭に雪がないのは、なんだか風情がないなーと思いつつも実際歩くとなると恨めしい…。
下座を出てから、上座に向かう道路が結構ツルツルしていたから、気を付けて夜道を歩く。
私についてきている多分ほろ酔いのおじさまたちのあしどりも気になるけど…。きっと地元民だから大丈夫だよね・・・。
上座の当屋に到着しました。
こちらは公民館でかなり人が入るのですが、それでもすでに満員御礼状態。
下座の1.5倍は確実にいたような気がします。
上座の王祇様は舞台のそばではなく、ずっと後ろの方に横にして吊るされていて、当屋頭人と、王祇守、提灯持ちの3名がその下に座って舞台を見据えています。
これが、両座での王祇様の祀り方の違いです。下座は立てかけてありましたよね。
上座の演目は「難波(能)」→「靭猿(狂言)」→「道成寺(能)」→「こんかい(狂言)」→「羅生門(能)」→「淡路(能)」です。
私が到着した時は、舞台では最初の演目、能「難波」の真っ最中。
この後、狂言「靭猿」 猿曳き役の遠藤さん、猿役の息子さんとの親子共演はほほえましかったです。
そして狂言が終わったら、中入りです。
当屋頭人と上座長人衆が舞台にあがり、下座からの使者の「暁の使い」が上座当屋に現れます。
下座の当屋で能が滞りなく進行していることを伝えるために訪れたもので、王祇様を拝し、当屋頭人や上座の長人衆、楽屋の方々に挨拶をして、そして舞台の中央でお膳の接待を受けたりします。
この中入りは休憩時間というのもあって、舞台では当屋豆腐を食べたりお酒を飲んだりします。
観客席側も、自分たちのお弁当を食べたり、お酒がふるまわれたりして和やかになります。私もおにぎりや当屋豆腐をごちそうになりました。美味しかったー!
そして暁の使いも帰り、舞台の片付けやらいろいろあって、次の演目へ進むころにはすでに日付が変わっていました。
中入り後に始まった演目は「道成寺」。大きな鐘が吊り下げられる能の番組で、一度見たことがあるため、内容と進み方がわかるので、嬉しい。
能を見始めたころは、言葉もわからないし、なにがおきているかわからないため、ぽかーんって感じでしたが、今は謡の本とかあれば、どこ進んでるかわかるようにはなりました!しかし、今年のパンフレットにはそれがなかったので、あるものは手持ちの本からコピーして持っていきましたとも!・・・じっくり見ると、おもしろいんですよ。これが。
それでも、ここからはだんだん睡魔との戦いになります。
中入り前までは、かなり人がぎゅうぎゅうでしたが、中入り後にはもう結構人がいなくなってきていて、飲んでつぶれた?人もいたり、私みたいに寝たくないけど、舟をこいでいる人が結構いたりしましたねー。 私はところどころでハッとして起きて、写真を撮ったりしていましたが…。
実はこの寝たくないのにうとうと船を漕いでいるこの時って、なかなか面白い状況を味わえます。
このくらいの時間になると、カメラで写真を撮る人がだんだんいなくなる→音が舞台から聞こえる謡だけになる→うとうとからぼんやりした頭で目を開くと、目の前にはきらびやかな装束の人たちがいる→「え?ここどこ?何時代?」と一瞬だけ寝ぼけてタイムスリップした気持ちになる。
ぜひ、この感覚を味わってもらいたい!笑
見る人が少なくなっても、能は続くのです。だってこれは王祇様にささげる能だから。観客のためではないのです。
今回の上座の演目は3時前には終了しました。ちなみに、下座は中入りがないようで、1時頃には終了予定でした・・・。
車を停めた王祇会館までてくてく歩きます。 休憩所になってるホールはもう静かになっていました。
もう数時間後には、「七度半の使い」が始まります。
私はほんのちょっとの休憩とスマホの充電のために帰ることにしました。(家が近場でよかった…。)
さて、あとは寝過ごさないことを祈るのみです!
次は七度半の使いと朝尋常です!