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【令和6年王祇祭レポート】⑦七度半の使い&朝尋常

さて家に帰って2時間ちょい休憩し、7時過ぎには王祇会館へ。車を停めて、いざ「七度半の使い」をする榊屋敷へ向かう。
 榊屋敷とは、遠藤重左衛門家の事を言います。
はい。今年の下座当屋のお宅です。ここの家は毎年この「七度半の使い」をするところなのです。
だから、当屋を家でする…?榊屋敷で?と疑問に思ったわけですね…。

 おうちに入りましたら、おぉ!なんと!もうすっかり能舞台が片付いている!
下座は1時頃に能の奉納が終わり、そのあとに能舞台を片付けたという事でした!なんてこった・・・すごいハードワーク!

 これからの【七度半の使い】
これは、下座の皆さんが夜通しの演能の後、ここ榊屋敷に来ることになっていて、そこに上座が一緒に宮のぼりをするために、使いを出すというもの。今年はここが当屋なので、移動はないのですね。
昨晩、下座から上座に『暁の使い』が行ったので、今朝は上座から下座に『七度半の使い』が来るという事なのだそう。

下座の王祇様に拝礼

 いつもはここで大地踏をするのですが、今回はないそうで、下座の長人衆が王祇様を安置した座敷に移り、神事がスタート。
お酒などが出てきて盃を交わすのですが、お漬物などは手で受け取って食べていて、皆さんにぎやかに談笑しています。

 個人的に、黒川の人の扇を開いての拝礼がとても美しいと思って見ています。自分がやってもそうそう様にはならんのがわかるのでなおさら✨
しばらくすると、上座の使者が来たようで、皆さんが居住まいを正します。

上座の使者


上座の使者は、まずは座敷に上がってきて王祇様に拝礼し、それから、下座の皆さまに挨拶の口上を述べます。
内容は、昨晩の「暁の使い」に対するお礼と、今日の大切な神事に、時間になったので行きましょう。というお誘い。
そのあと、盃を交わし、ほどなくして使者は榊屋敷を出ます。これが1回目。

遊の庭で待つ上座の方々

ちなみに、上座の使いの人たちは、榊屋敷の前にある、「遊の庭」にいて、そこから使者を出しています。
下座の人たちが出てこないので、上座の使者は、また榊屋敷に足を運びます。今度は屋敷にあがらず、玄関先での口上を述べます。

上座の使者「ものーもーす」
下座の人「どうれ」
上座の使者「時分ようございまーす。おはようお上りなされ、ませいと申し越しまーす」
・・・これを2〜6回繰り返します。そして最後には、
「おはようお上りっ」 
と全部言わず言い捨てて終わります。(これが半にあたる)「七度半の使い」と言われる所以だそうです。

・・・・さて、この後は春日神社に向かいます。
これから下座と上座の御一行が合流し、王祇様を担いで一緒に春日神社に上るのですが、上りきる直前に「朝尋常」が行われます。
「朝尋常」は、神社に帰ってくる王祇様を、上座・下座の若い衆が早く社殿に戻そうと競うものです。
“尋常”とは、競争の事で、王祇祭では上座・下座で競争するそうで、この日はこれから何回も、尋常事が続きます。

春日神社前で構えている座の若い衆

 いつ来るかいつ来るかと、皆さん待っている中、座の若い衆は声をあげ、気合を入れています。なにかの合図があったのか、あっという間に、王祇様を抱えた若い衆が目の前を通っていきました。
王祇様を神社の両端にある小窓に入れて、社殿内の王祇柱に先に立てかけることができたら勝ちというもの。
 ちなみに私の画像でいうと、手前が上座、奥が下座です。

こちらは下座

これを見る限り、今回は上座だったのでは…と思いますが、中に入ってからはどうだったんでしょう?
両座とも盛り上がっているからどっちが勝ったんだ?ってなりますね。

さて、次回は春日神社前半です!

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