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あの子

あの子、ましろい雪のよう。
でも雪よりあたたかくて、どこかあまくて、なんだかつきたてのおもちのようにやわらかくて、雲やわたあめのようだけれど、もっとハッキリしている。雪のような白さなら、くちびるは赤い"ばら"かな、でもあの子にはピオニーのようなやわらかい花びらが似合う、ふんわり満たすかおりもいい。


あの子、よくしゃべる。
でもそれが人をうれしい気持ちにさせて、いっぱい笑ってしまうし、ぎゅ〜っと胸が愛おしさでくるしくなるくらいに聞いていたくなる。それはもしかしたら世界でいちばんだね!あんなあ、それでな、ってにこにこして、全部がかわいさのパレットに彩られてる。


あの子、ハッピー。
でもふかいふかいかなしみを知るようなこころがある、ふとした時にまじるその色はますます気にさせて、でもそこにとどまっているわけじゃない。その時の経験と記憶として大事にみつめてふりかえるその瞳に、こぼした涙もキャンディーにしちゃって、永遠にとけこんでるんだ。


あの子、アニメみたい。
でもアニメじゃないなんて、なんだか不思議に思う。すらっとしたスタイルで全部のバランスがちょうどよくおさまっていて、なんにもしなくても"さまに"なってる。それってすごいよね!どんな格好もにあう、おしゃれさんでもある。いっぱい使いこなすアイテムはまるで魔法で変身するヒロインたちみたいだね、まあまあ、似たようなものか。


あの子、ミルク・ブランケット。
でもそのなかで眠りにつけるなら、今もう宇宙でいちばんしあわせな生命体になれるかも。とろんとした質感の、肌ざわりがばつぐんの、ぶあつくないけれどぽかぽかにあたたかい。子猫もいっしょにねむってしまうくらい、見る夢の笑顔に起きても出会えたらとつい浮かべて、ゆらゆらと。


あの子、ちいさなナイフ。
でも傷つけるためにもってるわけじゃない、自分を傷つけもしない。それは"いざ"につかえるようにぴかぴかに毎日磨いている。"いざ"なんて望まないけど、ただなんにもせず傍観者でいることはしない。いつでも腰にそっと入ってる、いつかこのナイフが大きくならなければいいなと願いながら。(なったその日は、また顔をあげたらいい)


あの子、かわいい。
でもかわいいだけじゃない、うんとかっこいい。けれど優勝はかわいいです!パチパチパチ!ルックスだけの話じゃあないんだ、"かわいい"という言葉がこの世にうまれたきっかけは、もしかしたら人間になった時に大天使さまがおもわずつけてしまったんじゃない?

あの子、天使。
でもそのましろい羽は、勇気と愛とおさとう、スパイス。ようくこらさないと、目に見えないんだ。