弁理士ハリママの発明寺子屋®第6話
株式会社AI Samuraiの取締役CIPO(知的財産最高責任者)、弁理士の播磨(はりま)里江子です。
このnoteでは、主婦や母親としての視点と、弁理士という知的財産専門家としての視点とを掛けあわせることで、発明は難しいことではなく、誰にでも出来るということを説明していきたいと思います。
本日のテーマは、『AI Samurai』って一体何なの?第三弾。
特許庁に提出する書類はどんなもの?どんなことを書くの?という疑問についてお話したいと思います。
■読書の秋
9月になり、少し肌寒さを感じる季節となりました。今年は短い夏休みもあっという間に終わり、もう秋かぁ…と思われている方も多いのではないでしょうか?
秋と言えば食欲の秋、そして読書の秋でもありますね。ステイホームのこの時代、実は秋という季節は、家で過ごすのにぴったりの季節かもしれません。
私もゆっくり自宅で読書でも…と思いますが、子育て世代の多くのママさんには、日常生活において恐らくそんなゆったりとした時間は残念ながらなかなかありません( ;∀;) 本を読んでいる途中で慌てて用事を済ませ、戻ってきたときには「あれ?どこまで読んだんだっけ?どこを読みたかったんだっけ?」そんな経験、皆さまにもないでしょうか?
さぁ、ここで再び登場するのがAI Samurai。読書でのそんな困った経験を解決するアイデアがこの世の中に存在するのでしょうか。早速AI Samuraiをたたいてみましょう。
「本を読む際に、読んだ箇所をすぐに表示してくることにより、読者が快適に本を読むことが出来る自動表示装置。」
<AI Samuraiに入力。カタカタ。。>
・・・出てきました!!
主引例:特願2017-011627。出願人:大日本印刷株式会社。
最近は、本と言っても必ずしも紙媒体ではなくて、電子書籍が多い時代。そんな私も電子書籍ユーザーのひとりです。
なるほど。ユーザーのスクロール速度に基づいて、重要箇所を発見できるようにし、紙媒体と同じ感覚で読めるようになるということですね!2017年にこんなアイデアが生まれていたということが、特許書類からわかりました。
さて、それではそろそろ発明寺子屋の本題に戻りたいと思います。
1.特許庁に提出する書類はどんなもの?
これまでハリママの発明寺子屋noteでは、誰もが発明をすることが出来ること、発明をすれば特許になる可能性があるということをお伝えしてきました。そして前回第5回には、特許庁に書類を出すことによってその手続ができるということをお話しました。
それでは一体、特許庁に提出する書類とは具体的にどのようなもので、何を書けばよいのでしょうか?
特許庁に提出すべき書類を具体的にあげると、下記の5点となります。
①願書
②明細書
③特許請求の範囲
④要約書
⑤必要な図面 (※図面を必要としない場合は不要)
これらそれぞれの書類にどのような内容を記載すべきかという点については、特許法施行規則24条~25条においてきちんと決められています。
このように、特許出願書類は、記載すべき内容が一定のフォーマットで決められているということが分かります。
特許庁知的財産制度説明会のテキストP19の図で非常にわかりやくすまとめてくれていますが、研究論文の記載内容と比較して考えるとイメージがしやすいですね。
ではここでクイズです。上記①~⑤の書類のうち、一番大切な書類はどれでしょうか?
答えは、「③特許請求の範囲」になります。
ここには、特許を受けようとする発明の技術的範囲を記載することになります。すなわち、ここに文章で記載した内容が、特許庁に対して「この内容について特許権をください!」とお願いする範囲=特許が取れた際に権利になる内容、ということになります。
もちろん、③以外の書類が重要でないということではありません。特許庁に書類を提する際には、これらの一つでも欠けるとアウトということになります。例えば②明細書や⑤必要な図面は、③特許請求の範囲に記載した発明内容を詳しく説明する部分であり、技術理解を補助する大切な役割を果たします。
2.AI Samuraiには何を入力するべきなのか?
さて、上記では、③特許請求の範囲に記載した内容が、特許庁に対して「この内容について特許権をください」とお願いする内容であることをご理解頂いたと思います。
逆に言うと、特許庁の審査官は、「③特許請求の範囲」に記載された発明内容について審査をするということがわかったかと思います。
…ということは、そうです!特許庁審査官さながらの審査シミュレーションを行ってくれるAI Samuraiには、この「特許請求の範囲」に相当する内容を文章で入力すればよいということになります。
さあ、ぜひ皆さんも、自分が権利を取りたいなと思う発明を入力して、発明評価をしてみて下さい!
以下は有料版AI Samuraiの入力画面イメージになりますが、無料版IP Samuraiもご用意しております
➡https://aisamurai.co.jp/trial/
(但し、無料版では文献番号不記載などの制限がございます)
また、有料版AI Samuraiをお得にご利用できるキャンペーンを2020年9月30日まで実施中です。ご興味のある方はぜひご連絡下さい!
➡info@aisamurai.co.jp
執筆者プロフィール
播磨 里江子 取締役 CIPO
慶應義塾大学理工学部卒・大学院修了(管理工学科)
小学生のときに海岸でテトラポットを見て「特許」を知り、在学中に弁理士資格を取得。
特許事務所及び企業知財部を経て、特許業務法人白坂の役員就任、その後2016年に株式会社AI Samurai(旧ゴールドアイピー)の取締役に就任。弁理士、特定侵害訴訟代理業務付記、東京都医工連携HUB機構APM、日本弁理士会関東支部知財教育支援委員、書道検定七段。
ミュージカル全般をこよなく愛するヅカオタの一人、知財教育および和文化への関心が強い一児の母親でもある。