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事大主義「へたれちょうちん持ち」

「事大主義」

日常的な事大主義は、個人や集団が権力や影響力のある人に従属し、自分の利益や安全を確保しようとする態度を指します。これは、歴史的な外交政策に基づく事大主義と似た概念ですが、現代社会では職場、学校、家庭、コミュニティといったさまざまな場面で見られます。

「日常生活における事大主義の具体例」

1. 職場での事大主義

◾️上司に媚びへつらう態度
会社や組織の中で、権力を持つ上司に対して過度に従順な態度を取り、自分の地位を守ろうとする行動が見られます。このような人は、上司の意見に無条件で同意し、必要以上に褒めたり、過度に気を使ったりします。一方で、地位の低い同僚や部下には冷たく接したり、偉そうな態度を取ることが多いです。

🔹例: 会議中、上司の意見にのみ従い、他の意見を軽視する。上司がいない場では部下に高圧的な態度を取る。

2. 学校やコミュニティでの事大主義

◾️人気者や権力者に従う
学校やコミュニティでは、人気者やリーダーに従うことで、自分の立場を守る人がいます。こうした人は、リーダーに対しては従順である一方で、自分より弱い立場の人やグループに対しては無視やいじめなどの行動を取ることがあります。

🔹例: クラスのリーダー的存在に気に入られようとするために、リーダーに同調して他の生徒をいじめたり、冷たくする。

3. 家庭内での事大主義

◾️権威的な家族に依存する
家庭内では、権威のある家族、例えば親や配偶者に従うことで、自分の地位や安定を保つための行動が見られます。家庭内での決定権を持つ人に対して過度に従い、他の家族メンバー、特に年少者や地位の低い者に対しては横暴な態度を取ることがあります。

🔹例: 家庭内で親の前では従順な態度を取るが、兄弟や姉妹に対しては支配的に振る舞う。

4. 友人関係での事大主義

◾️影響力のある友人に依存する
友人関係の中で、特定の友人が経済力や社会的地位などで優位に立っている場合、その人に媚びることで自分の利益を守ろうとすることがあります。影響力の強い友人に過剰に従順な態度を取り、その影響力を利用して他の友人関係でも優位に立とうとするのが典型的です。

🔹例: 影響力のある友人がいるグループで、その友人の意見に無条件で同意し、その友人に反対する他のメンバーを無視する。

5. 企業や組織での事大主義

◾️顧客や取引先に対する態度の変化
企業やビジネスの場でも事大主義的な行動が見られます。特に大手企業や重要な取引先には媚びへつらい、彼らの要求を過度に優先する一方で、小さな取引先や影響力の少ない顧客には冷たく接することがあります。

🔹例: 大企業の顧客には特別なサービスを提供するが、個人客や小規模な取引先にはあまり対応しない。

「事大主義が日常で取られる理由」

1. 自己保身

権力や影響力のある者に従うことで、自分が不利な状況に陥ることを避け、職場や学校での地位を守るための行動です。これは、失敗や対立を避けたいという心理的な防衛機制の一環として行われることが多いです。

2. 利益追求

権力者や強者に媚びることで、経済的・社会的な利益を得ようとする目的があります。昇進や特権を得るために、強い人に好かれるように行動し、自分より下位の人に対しては支配的になることが見られます。

3. 恐れや不安

強者に反抗することで、罰を受ける、仲間外れにされるといったリスクを恐れて、従順になることも事大主義の一因です。特に権威に対して抵抗することを恐れ、無意識に従う傾向があります。

「事大主義の問題点」

1. 倫理的問題

事大主義的な態度は、他者を公平に扱わないことから不正や不公平を助長します。強者に従順でありながら、弱者を軽視することで社会的な分断や不平等が生まれやすくなります。

2. 自主性の欠如

事大主義に陥ると、自分の意見や信念を貫くことができず、常に他者に依存する生き方になります。これは個人の成長を妨げ、真のリーダーシップや自己実現を難しくします。

3. 長期的リスク

短期的には利益を得ることができるかもしれませんが、長期的には信用を失う可能性があります。事大主義的な態度は他者から信頼されなくなり、強者の保護がなくなると孤立することもあります。

まとめ

日常生活における事大主義は、権力者や影響力のある人に従いながら、弱い立場の人に対して偉そうに振る舞う態度を指します。職場、学校、家庭、友人関係、企業の中でこの態度は見られ、自己保身や利益追求、恐れなどがその背景にあります。事大主義は一時的には安定や利益を得る手段かもしれませんが、倫理的問題や自主性の欠如、長期的な信用の喪失といったリスクを伴います。


「事大主義的な人々の精神構造と、脳科学的な見地」

1. 精神構造

事大主義的な人々の精神構造には、いくつかの重要な心理的要因があります。

◾️a. 自己保身と不安回避
事大主義的な人は、自分の安全や利益を守るために、強者に従う傾向があります。彼らの行動は、潜在的なリスクや不利益を避けるための自己防衛機制として機能します。心理学的には、不安や恐れが強く影響していると考えられます。権力者に従うことで、自分が攻撃されるリスクや社会的に不利になることを避けようとするのです。

🔹例: 権力者に従わないことで罰を受けるかもしれない、あるいは自分の立場が危うくなるという恐れから、事大主義的な行動を取ります。

◾️b. 承認欲求
事大主義的な人々は、強者からの承認を求める傾向が強いです。彼らの自己評価は、しばしば他者、特に権力を持つ者からの評価によって決まるため、強者に従うことで自分が「認められている」と感じます。この傾向は、依存的な人格特性や外的な承認への過度な依存と関わっています。

🔹例: 上司に気に入られるために過剰に従順な態度を取り、他の同僚を軽視する。

◾️c. 自己評価の低さ
事大主義的な行動を取る人々は、しばしば自己評価が低い傾向があります。自分に自信がないため、強者に寄り添うことで自分の価値を確認しようとします。自分の力で状況をコントロールできるという感覚が弱いため、外部の力に依存することが彼らにとっての安全策です。

🔹例: 強者に媚びることで自分が守られると信じ、自分より弱い人には威張ることで一時的な優位感を得る。

◾️d. 二重基準と認知的不協和
事大主義的な態度は、強者に対して従順でありながら、弱者には支配的になるという矛盾した行動を取ることが多いです。この矛盾は、心理学的に認知的不協和として説明できます。自分が矛盾した行動を取っていると感じると、不快感が生じますが、それを回避するために「強者に従うのは正しい」「弱者は支配されるべきだ」といった自己正当化が生まれます。

🔹例: 権力者に従うことを正当化する一方で、弱者を軽んじる自分の行動も「正当なもの」として解釈しようとする。

2. 脳科学的な視点

事大主義的な行動には、脳のいくつかの特定の領域が関与しています。これらの領域は、恐怖反応、社会的認知、報酬システムなどを制御しています。

◾️a. 扁桃体(へんとうたい)と恐怖反応
扁桃体は脳内で恐怖や不安を処理する重要な領域です。事大主義的な人々は、強者に従うことで恐怖や不安を和らげようとするため、扁桃体の活動が関連している可能性があります。強者に逆らうことで感じる恐怖や不安を避けるために、強者に従順な態度を取るという行動が促進されます。

🔹研究例: 扁桃体が過敏に反応する人は、強者に対する恐怖心が強く、それを避けるために従順になる傾向があるとされています。

◾️b. 前頭前野(ぜんとうぜんや)と自己制御
前頭前野は、判断力や自己制御、社会的規範に従うための脳の中心です。事大主義的な人は、強者に従うことで自己保身を図るため、この領域が積極的に働いている可能性があります。また、前頭前野は自分の行動を理性的に評価し、矛盾を解決しようとする役割も担っています。事大主義的な態度に対して「これで正しい」という理性的な判断を下す過程にも関与しています。

🔹例: 前頭前野が自己正当化や長期的な利益を見据えて、強者に従うことで得られる報酬を優先する判断を下す。

◾️c. 報酬系(ドーパミンシステム)
報酬システムは、特に強者からの承認や利益を得た際に活性化します。事大主義的な人々は、強者に従うことで得られる報酬(昇進、特権、社会的評価)に対して強く反応しやすいです。脳内のドーパミンがその報酬感覚を強化し、強者に媚びる行動を繰り返すよう促します。

🔹例: 上司からの褒め言葉や昇進を受け取ると、ドーパミンの分泌が増加し、その行動が報われたという感覚が強まり、さらなる従順な態度を取るようになる。

◾️d. 鏡像ニューロンと社会的共感
鏡像ニューロンは、他者の行動や感情を理解し、共感するために機能しますが、事大主義的な人々は強者には共感を示しやすい一方、弱者に対しては共感が欠如していることがあります。これは、社会的地位や権力に対する認知バイアスが関与しており、強者には共感するが、弱者には共感を抱かないような神経活動が反映されています。

🔹例: 上司の指示に共感し、その意図を理解しようとする一方で、部下や同僚に対する共感が薄れ、冷たい態度を取る。

まとめ

事大主義的な行動は、心理的な不安、自己保身、承認欲求、自己評価の低さなどが絡み合い、脳の恐怖反応、報酬システム、自己制御機能などが働く結果生じるものです。精神構造と脳科学の両面から見ると、彼らは外的な圧力や報酬に強く影響され、特に強者に対しては不安を和らげるために従順な態度を取り、逆に弱者には優越感を得るために支配的な態度を取る傾向があることがわかります。