DTM制作裏話『ふたりぼっち』
どうもロックが好きなボカロPの本田あいるです。今回は『ふたりぼっち』について書いていきたいと思います。
制作のきっかけ
この曲は「カノン進行で綺麗なメロディの曲を作りたい」と思い今年の2月くらいから制作を始めました。僕には珍しくAメロのメロディから膨らませていった感じです。ギター以外のパートは3月くらいには完成していたのでボカコレに出すつもりでしたが、何故かギターを弾く気になれず3ヵ月も放置してしまった可哀そうな作品になります。おそらくBOSS GT1000 Coreのサウンドに納得できていなかったのが原因だと思います。その後に『ないものねだり』をカバーした際に自分の音を見つけたことで制作意欲が再燃して完成させることができました。
歌詞について
この曲の歌詞は僕が妻と出会ったばかりの頃をモチーフにしています。孤独を感じる生活の中でやっと出会えた大切な人を思いながら待ち合わせ場所まで歩いている少年の心情を書いています。恥ずかしくて本人には言えませんが…。
「信号待ちみたな~」からの歌詞の流れは自分の作品の中でも特に気に入ってます。ただ2番のサビに使えるなんてようか歌詞が思いつかなかったのでワンコーラスの短い曲になりました。
コード進行について
key=G 転調後=B♭
イントロ
G D Em Bm7 C D B7 E♭dim Em C6 D7
Aメロ
G D/F# B7 G/E CM7 D Bm7 Em Am7 D6 / G D/F# B7 G/E CM7 D Bm7 Em Am7 D6 G
Bメロ
CM7 D Bm7 Em D7sus4 CM7 Cm7 D7 F7
サビ
B♭ F Gm7 Dm7 E♭ F D7 F#dim7 Gm Cm7 F7 ×2
アウトロ
B♭ F Gm7 Dm7 / E♭ F D7 F#dim7 Gm Cm7 F7 B♭
この曲はシンプルなカノン進行を意識しているので単純な流れになっていますが、Bメロに出てくるCm7が曲の雰囲気を変えてくれています。これはサブドミナントマイナーというコードでGメジャーからGマイナーへ転調することで切なさを演出することが出来ます。この手法はB´zの『Don't Leave Me』のサビ前でも使用されています。その後サビでB♭へさらに転調しています。GからGmへ同主調の転調して更にGmからB♭へ平行調の転調をする形ですね。3度の転調は簡単に導入できるのでおすすめです。
使用したプラグイン
ドラム
ドラムはToontrack EZ Drummer3のBright Room Artistというプリセットをパラアウトで書き出してバスにまとめた後にSonible Smart comp2で軽く整えてます。最近はこの音がお気に入りでロック系のファーストチョイスにしています。昔の僕の曲はドラムにコンプをかけ過ぎてスネアの音がゴムみたいな質感になっているので、この音で全部リミックスしたいですね。
ベース
今回のベースはいつものMODO BASS2ではなくToontrack EZ BassのVintageのピック弾きにしてみました。ロックの時は指弾きよりアタックがあるピック弾きの方が格好良い氣がします。この音源は本当に音がリアルなので音にこだわりたい人におすすめです。ただベースが2種類しか搭載されていないので、バリエーションが欲しい人は拡張音源を別途購入するしかないのが難点ですね。この曲ではEZ Bassに内蔵されているアンペグアンプを使用して書き出した後にNeutron4で微調整しています。あまり歪ませずにアンサンブルを支える感じの音にしてみました。
ピアノ
ピアノはXLN Audio Addictive KeysのTight Studioというプリセットを少し硬めの音にした後にNeutron4、Claro、Trackspacerの順に挿しています。特にマスキング(音の被り)を軽減してくれるTrackspacerは動作も軽くて扱いやすいのでダイナミックEQの使い方が分からない人も安心して使えます。ボーカルと被っている1kHz~3kHz付近を少しカットしてあげることでスッキリした音像になってくれます。Neutron4にも同じような機能はありますがCPU負荷が激重なので使用できないんですよね。
マレット
サビの後ろで鳴っているマレットはMASSIVE XのAll Luckというプリセットを使用しました。この音は存在感があり過ぎると邪魔になるので少し丸い音にしてみました。
ギター
この曲のギターサウンドはテレキャスとGT1000 Coreでほぼ完結しています。ギターだけで聴くと歪みが少ないクランチサウンドですが、全体と混ぜると抜けのある良い音になったと思います。その音をSmart EQ3でボーカルと被る不要な帯域と低音をカットしてSmart comp2で軽く潰した後にPan Nnob2で左右に振って広がりを持たせれば完成です。100%振り切るよりは95%くらいの方が自然な感じで僕は好きです。パンナーてDAWに最初からあるプラグインなので買う必要はない気もしますが、製品によって微妙に音質が変わるので気になる人は試してみてください。個人的な感想ですが、Neurtron4はギターとの相性が悪くて使える音を出してくれないので改善して欲しいポイントですね。低音が盛られた不自然な音になるので調整に余計な時間がかかります。AIも万能ではないということですかね。
ボーカル
この曲ではCevio AIの音楽的同位体 裏命に歌ってもらいました。flowerもロックで良い感じだったのですが、裏命の少し切ない雰囲気が曲に合っていると思いました。もっと人気が出てほしいライブラリですね。その後でClaro、White 2A、Nctar3、Smart comp2で音を整えています。特にWhite 2Aは滑らかにコンプレッションしてくれるので自然だけど歌が前に出る感じで良いです。
リファレンス楽曲
明るいロックな曲で参考にしたのがUNISON SQUARE GARDENの『オリオンをなぞる』です。アニメ『TIGER & BUNNY』のOPで知ったんですがメッチャ格好良いので大好きです。ポップでキャッチーでテクニカルという三拍子揃った名曲です。ボーカルとギターの音量バランスはとても勉強になりました。
さいごに
この曲で本田あいる流のロックサウンドは定まった感じがします。ギターの音作りが上手く出来れば格好良いギターロックは作りやすくなると思います。そういう意味でも好きなアーティストの曲をカバーするのは意味のあることだと思います。
最後まで読んでいただき本当にありがとうございます。