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【DTM講座】バンドサウンドのミックス『ないものねだり』編
今回はバンドサウンドのミックスついて書いていきたいと思います。まずは先日公開したKANA-BOONの『ないものねだり』のCover動画を聴いてみてください。
ミックスの解説動画
本編の内容を動画で説明しています。プラグインで音がどう変化するのか確認したい方はチェックしてください。
ボーカルの処理
歌物で1番大切なパートであるボーカルに使っているプラグインを挿している順番に解説していきます。
TR5 White 2A
![](https://assets.st-note.com/img/1687400595678-rM9Q152Vro.png?width=1200)
AMPLITUBE5で有名なIK Multimediaが発売しているコンプレッサーで、LA2Aという有名なオプトコンプ(光学式コンプレッサー)をシミュレートしたモデルになります。アタックとリリースが固定されている為、セッティングが非常に簡単で迷うことはありません。僕はGR(リダクション)が-5dBぐらいになるようにインプットとピークリダクションを調整しています。アタックが遅くまろやかな掛かり方をするのでボーカル、ベース、ストリングスなどのメロディを鳴らすパートに最適です。ただドラムなどの瞬間的なアタックが強い音には相性が悪いです。他のコンプでも代用は可能なのでおすすめ度は低めですね。
おすすめ度★★★☆☆
izotope NECTAR3
![](https://assets.st-note.com/img/1687401705266-0VI0m2G8g5.png?width=1200)
これは初心者は必ず試してほしい神プラグインの1つです。ボーカル処理に必要なエフェクトが全て網羅されており、このプラグインだけでも90点くらいの音に仕上げてくれます。AIアシスタントによる自動調整が秀逸で、たった5秒ほどで僕が何時間もかけて行った処理より良い音になってしまいます。AIが作った音を少しずつ調整して自分好みに変えていくのが良いと思います。ただリバーブだけは好みのプラグインにした方が良いです。EQのカットするポイントやコンプのアタック、リリースの設定を見るだけでも勉強になりますよ。
おすすめ度★★★★★
Sonible Smart Comp 2
![](https://assets.st-note.com/img/1687404575112-bLdyeSjMJK.png?width=1200)
このプラグインは初心者が苦手なプラグインNo.1のコンプをAIが自動で最適な状態に設定してくれます。コンプの音質は癖が無く自然な感じに仕上げてくれます。何気に便利なのがCollarというパラメーターで素材のプレゼンスをナチュラルにブーストorカットできるので『もう少し抜けが欲しいな』て時に最適なんです。これも大体GRが-3dBくらいを目安に薄く掛けることが多いです。
おすすめ度★★★★☆
ハモリの処理
今回はメインボーカルの三度上のハモリを作りました。僕は音楽理論にはあまり精通していないので、メインパートにハーモナイザーを挿してその音を耳コピする形でハモリパートを作ってます。ハーモナイザーは音質劣化するので新しく作り直す方が最終的な完成度は上がると思います。
waves Doubler
![](https://assets.st-note.com/img/1687407000513-X9UvViy6Vq.png?width=1200)
モノラルのオーディオ素材をステレオに広げる為に使っているプラグインです。プリセットはBasic Doublerでセンターの音をミュートして左右の音だけが鳴るようにしています。こうすることでセンターにメインボーカルのスペースを空けることが出来ます。正直wavesは最近あまり好きではありませんが、このプラグインだけは変わりが見つからないです。
おすすめ度★★★★☆
waves CLA Vocals
![](https://assets.st-note.com/img/1687407636090-QVdGdnP0Bz.png?width=1200)
Green DayやU2などで知られる超大物ミキシングエンジニアのクリス・ロード・アルジのボーカル処理テクニックを素人にも使え得るようにしたプラグインです。簡単に音圧のある格好良い音になるので発売当初はかなり話題になりました。最近はAIの進化によりもっと便利なプラグインが出来ているので、あえて選ぶ必要性はないかと思われます。
おすすめ度★★☆☆☆
SONNOX Claro
![](https://assets.st-note.com/img/1687408648912-K2IwMbtPgn.png?width=1200)
スムースにブーストorカットをしてくれるデジタルEQで、かなり強くかけても『最初からこんな音だった』て感じにしてくれます。GUIも見やすく初心者でも簡単に操作できるのもありがたいですね。Claroを挿したトラック同士のマスキングポイント(音の被り)も教えてくれるのでミキシングにも最適です。動作も軽く音も良いのですが、Wi-Fi環境じゃないと使えないなどの不満点もあります。
おすすめ度★★★☆☆
MeldaProduction MAutoAlign
![](https://assets.st-note.com/img/1687409494231-g5dgw3RzxL.png?width=1200)
音の位相を自動で揃えてくれる時短プラグインです。地味だけど効果は抜群な縁の下の力持ちタイプですね。位相がズレるとお互いの音を打ち消し合ってピントがぼけたような音になってしまうので、同じパートで鳴らしている似た音には必ず使うようにしています。セール時には20ドルほどで買えますし生涯アップデートなのでコスパも高いですよ。
おすすめ度★★★★★
ドラムの処理
EZ Drummer 3
![](https://assets.st-note.com/img/1687410499949-ClUd03S68S.png?width=1200)
安い・音良い・使いやすいのコスパ最強ドラム音源ですね。以前はSSD5を愛用していましたが、3にアップデートしてからはこれしか使ってないです。特にEZdrummer3 Bright RoomのArtistというプリセットが最高に格好良い音です。下手に弄らすそのままパラアウトで書き出すだけなので楽ですよ。
おすすめ度★★★★★
Sonible Smart Comp 2
![](https://assets.st-note.com/img/1687411143313-UAY3qLpU2C.png?width=1200)
パラアウトした音をバストラックにまとめてSmart Comp2で-5dBくらい潰しています。こうすることで音にパンチが出てロックらしい荒々しい雰囲気になってくれます。ドラムをパラアウトにすることでKickだけにMAutoAlignを挿してベースと位相を揃えることが出来ます。後から各パートを別々に処理できるのでおすすめですよ。
ベースの処理
MODO BASS 2
![](https://assets.st-note.com/img/1687412118605-QgDctufawU.png?width=1200)
物理モデリングを使用した無限の音作りが可能なマニアック過ぎるベース音源です。ピックアップの位置や弦の錆び具合まで調整できるのヤバ過ぎです。もっとリアルな音源もあるんですが使いやすさでMODO BASSに勝てるソフトは無いと思います。今回は70s J-Bassをピック弾きで鳴らしています。エフェクトやアンプも収録されていましが数が少ないのでドライ音だけ書き出すようにしています。
おすすめ度★★★★★☆
AMPLITUBE 5
![](https://assets.st-note.com/img/1687412653994-qp19d0XDlU.png?width=1200)
ソフトウェアのアンプシミュレーターとして最強プラグインだと思っています。音質・モデル数・拡張性ともに最高クラスですがCPU負荷まで最強クラスなんですよね。プリセットの数も膨大で気に入ったらダウンロードすることも可能なので初心者にも使いやすいです。価格は高いですが最近はセールでかなり安くなるのでお買い得です。今回はAmpegのSVX PROで鳴らしています。
おすすめ度★★★☆☆
Neutron 4
![](https://assets.st-note.com/img/1687413121693-4C5xLqVlfd.png?width=1200)
自動で最適な音にミキシングしてくれる時短プラグインです。NECTARがボーカル専用だったのに対して、Neutronは全ての音源に使用することが出来ます。ベースやピアノなど普段自分が演奏しない楽器に使用することが多いです。ギターに使うと低音がやたら持ち上げられて気持ち悪い音になる印象があります。ボーカルなどの目立たせたい音とマスキングする箇所を自動でカットしてくれる機能があるのですが、ONにするとCPU負荷がありえないほど上がるので僕の環境では使えないです。正直Neutron 3からアップグレードしなくても問題ないと感じました。
おすすめ度★★★☆☆
ギターの処理
ギターの音作りはBOSS GT-1000 Coreでほぼ完成しています。ここでダメな音は何をしても無駄だと思います。まずはじっくり機材を弄って良い音を作ることが大切です。
Sonible Smart EQ 3
![](https://assets.st-note.com/img/1687415258436-EaePx1Oa5G.png?width=1200)
自動で問題のある周波数を処理してくれる多機能EQです。素材の楽器をプリセットから選んでプラグインに読み込ませるだけで最適なEQカーブを生成してくれるので、そこから好みの音に調整するだけです。僕の場合は80Hz以下にローカットを入れて1kHz ~3kHzを緩くカットして5kHZをブーストしています。特にこの帯域は女性ボーカルの美味しい部分なのでギターは少し削ってあげた方が良いです。
おすすめ度★★★☆☆
Sonible Smart Comp 2
![](https://assets.st-note.com/img/1687416928071-h6khyWen6g.png?width=1200)
このコンプは音を落ち着かせて奥に引っ込めるイメージでかけています。本当はピッキングで均一にするのでしょうが僕はプラグインに頼っています。今回のギターはEQとコンプだけの最低限の処理だけです。
まとめ
かなりAIに頼ったミックスになっていますがエンジニアが時間をかけて覚えるテクニックを素人が簡単に使えるわけないので気にせずガンガン使った方がいいです。ミックスにかける時間を作曲の方に回せるので作業効率も上がるし一石二鳥だと思います。かなり長い記事になりましたが最後まで読んでいただき本当にありがとうございます。