停電時にも頼れる自立型GHP ─ ハイパワープラスの実力と配線設計を解説


はじめに

最近なにかと話題の自立型GHP(ガスヒートポンプエアコン)、商品知識として皆さんに知っておいて貰いたいレベルで解説させていただきます。
各社ホームページより参照しております。

1. 自立型GHPの概要と特徴


自立型GHP(ガスヒートポンプ)は、バッテリーを搭載し、停電時にもエンジンを起動して空調と電力供給を同時に行える設備です。
ヤンマーやパナソニックの「ハイパワープラス」シリーズは、最大4台の並列運転が可能で、BCP(事業継続計画)強化に最適です。

• 親機1台+子機3台の運用例:

最大12kWの発電が可能で、停電時にも施設内の照明やスマートフォン充電、空調を維持します。ただし、親機が故障すると、子機単独での発電ができないため、冗長性を持った設計が重要です。

2. 配線設計の要点と具体例


2.1 電源線と通信線の詳細設計


• 電源線の太さ:

発電負荷に耐えうるよう、太い電源線を使用します。電線サイズは、連結するGHPの総負荷に基づき、適切な許容電流値を計算して決定します。例えば、12kWの負荷に対しては、VVFケーブルの22sq(平方ミリメートル)が推奨されます。
• 通信線の敷設:
親機と子機間の通信線は、制御信号を正確に伝達するためにシールドケーブルを使用します。これにより、発電量のバランス調整が自動的に行われ、エネルギー効率が最適化されます【15】。

2.2 切替盤とブレーカーの配置


• 切替盤の設置:
通常時の商用電源から停電時の自立運転にスムーズに切り替えるため、各負荷に対応するブレーカーを切替盤内に配置します。停電時には、リモートで自立運転を開始できる「自立運転スイッチ」も導入することで、迅速な対応が可能です【17】。
• バッテリーマネジメントシステム(BMS):
バッテリーの寿命を延ばし、過充電・過放電を防ぐため、BMSが不可欠です。BMSはバッテリー残量に応じて充電を制御し、最大効率で運用します。

3. BCP対策と補助金の活用


3.1 都市ガス・LPガスの活用


• LPガスによる連続運転:
災害時には、LPガスのバルクタンクを設置することで、最大72時間の連続運転が可能です。LPガスは、災害時の燃料供給が比較的安定しているため、避難所や医療施設での利用が増えています。

3.2 補助金制度の活用


• 補助金の範囲:
公的避難所や医療施設でのGHP導入には、導入費用の50%から66%を補助する制度があります。これにより、導入コストを大幅に削減しつつ、災害対策を強化できます。

4. GHP導入事例と効果


4.1 学校体育館での活用


• 体育館の空調設備を改善し、熱中症対策や冬季の卒業式での寒さ対策を実現しています。また、災害時には避難者の健康維持に貢献する空調が、地域社会の信頼を高めています。

4.2 医療施設での活用


• 停電時にも医療機器への電力供給を維持し、BCPの要となる施設運営が可能です。これにより、患者の安全が確保され、医療の提供を継続できます。

5. まとめ ─ GHPの価値と将来への展望


自立型GHPは、通常の空調機能に加えて、災害時の電力供給にも対応するため、BCP対策として非常に有効な設備です。
補助金制度を活用しながら導入することで、初期コストを抑えつつ、災害時にも安心できるインフラを構築できます。学校、病院、避難所など、さまざまな施設において、今後さらに導入が進むと期待されます。

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