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阿吽のビーツ【小説編】
今日は阿吽のビーツを(勝手に)小説化させちゃいます。自己解釈なのでそこはご容赦を。
ー僕に、居場所をくださいー
僕はずっと孤独だった。生み親に捨てられ、他の大人には忌み子と呼ばれて避けられ、村の子供達には虐められる始末。とにかく弱かった。そんな僕もなんだかんだ過ごして来て20歳になった。今年は1877年。九州の方では戦争が始まったそうだ。
そんなヘタレな僕も結婚することができた。相手は子供の頃に出会った2つ下の女の子。
「大丈夫?」と頭の上から声がかかる。いつものように近所の子に虐められていた時だった。 「あなた達何やってるの!」 その子が一喝すると、悪ガキ達は蜘蛛の子を散らすように逃げていった。僕はあったばかりのその子に異常に懐いてしまい、今まであったことを全部話してしまった。 「愛されたい…誰かから愛されてみたい」 その言葉を聞くと女の子は、 「私も誰かを愛してみたい。今まで愛したことがなくて…。君、手伝ってくれる?」
という馴れ初めがあり、今がある。
僕はは感情表現がオーバーだ。彼女にも何回も好きと言っているが彼女は僕が気を使って言ってくれているのだと思い、いつも「ありがとう」とだけ言っていた。 僕が失敗をしたときは「大丈夫大丈夫」と言って励ましてくれる。 その時僕は「僕にも返事してね」と言っているが彼女は苦笑いするだけである。(ここでの返事は好きという言葉である)
最近彼女がやけに素っ気ない。話しかけても返事こそするもののそれ以上の会話がない。いっそ好きになる気持ちをもう一度入れ直して僕に気持ちを向けさせたい。無理だろうけど 考えることをやめて床につく。外を見ると雨が降っていた。
そんな時、彼女から妊娠したと報告があった。 もちろん僕は嬉しかったが、それと同時に不安もあった。 ーこんな僕が父親になっていいのだろうかー 彼女の前では笑顔を保っていたが、自室に行くと何故か泣き出してしまった。彼女についていくばかりだった自分に後悔。彼女がいないと自分が存在する意味がない。此処にいることが出来ない。
いつのまにか寝ていたようで、朝になっていた。彼女の部屋は隣だが、物音がしない。おかしい。嫌な予感がして急いで隣の部屋に行く。僕の嫌な予感は当たってしまった。彼女は昨日寝ていた姿と同じ姿で冷たくなっていた。 「嘘だろ…目を覚ましてくれよ…」
妻と子供を同時に失った僕は抜け殻のようになっていた。なにも考える気が起きず、部屋でただ悲しんでいた。すると彼女が大切にしていた日記が目に入った。その時、今までの記憶が脳内を駆け巡った。 僕は彼女に頼るばかりでなにも返すことが出来なかった。昔に戻りたい…今更遅いかもしれないが恩を返したい…。
運命とはなんて残酷なものだろう。子供ができて、明るい未来があったのにそれが途切れてしまった。まぁ、僕みたいな人間には妥当な人生かもしれないが。だからもういい。考えるのはやめる。彼女のことは忘れるべきなんだ…。そう思った時、何処からか彼女の声が聞こえた気がした。
『それでも、貴方から言ってくださいね』
それを聞いた瞬間、僕は彼女を自分が思う以上に愛していたことが分かった。同時に彼女を忘れることは出来ないのだと悟った。
これで小説終わります。短編小説ですねこれ…。素人が初めて執筆した小説なのでお見苦しい部分あったと思いますが、ここまで読んでくださって本当に感謝感謝です✨